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花の下にて春集まらむ 2

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「みんな、彼氏とかどうなの?」
碧は飲みっぷりが良ければ食べっぷりも良い。露天で買った唐揚げを頬張ってハイボールを飲むその姿、テレビに出てきそうだ。
「彼氏、ねえ…。英、どうなの?」
「え?澄麗、なんで私に振る?」
「なんとなく」
「どうなの?英ちゃん?」
「梨愛ちゃんまで…」
「その反応はいるんでしょ?英さん?」
言葉に詰まる英を肴に飲むお酒は美味しい。碧が良い感じに英を吐かせてくれそうだ。
 
「いなくはない、ってところかしら?」
「澄麗…後で澄麗にも聞くからね?」
「いいから早くお吐きなさいな」
「澄麗も後から吐いてね」
「じゃあ碧も白状してよ?」
「え、碧、何かあった?」
梨愛ちゃんが嬉しそうな表情で碧を見た。
「じゃあ、碧から…」
「英、逃げられると思っちゃダメだって」
「澄麗…」
恨めしそうに私を睨む英の反応はスルーすることが決定した。

「さあ、英ちゃん?何かあったよね?」
梨愛ちゃんの言葉を皮切りに追及が始まった。



「うちの、職場の人なんだけど……」
「動物園?獣医さん?」
獣医さんの恋愛事情。え、楽しそう。獣医さん同士かな?
「同僚に、元彼がいるんだよね」

──英以外の3人の目が丸くなった。

「え、同僚が、元彼?」
それは楽しいのか、気まずいのか、やりやすいのかやりにくいのか…?
「そんなことあるんだ…いいな、私、女ばっかの職場だからそんなドリームは無いよ」
「私、同僚が元彼とか、やりづらいかも…」
「碧はそうかもね」
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