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Are you ready? 6

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「俺、ちょっと飲んでみたい」
「じゃあ明日医局持ってくよ」
「今日は?」
「え?」
「俺に紅茶、淹れてくれよ」
時緒の表情は読めない。昔からポーカーフェイスで、彼が私にどうして欲しいのか、もっと言葉をくれないとわからない。

「…今日、飲みたいの?」
「うん。今日飲みたい。ああ、めっちゃ気になってきた。今日飲まなかったら気になって眠れなくて明日仕事にならないかもな」
「え、明日ミスったら私のせいにされるの?」
「英のせい、とは言わないけどな」
不敵に笑う時緒のペースに、いつも私は翻弄されてしまう。でもそれが嫌じゃないっていうのは惚れた弱みというものか。

「…紅茶ぐらい、淹れてもいいけど」
淹れる場所は…どちらかの家、だよね?また私、流されてしまうのかな。
「じゃあ決まり。英、ラーメン食べに行こうぜ」
「え?紅茶じゃなくて?」
「紅茶はラーメンの後。俺、腹減った」
「ラーメンと紅茶?ミスマッチにも程が」
「いいから。早く行こう」
またしても手を絡め取られる。胸の奥の早鐘はどんどん速くなっている。このままでは私の心臓がもたない。


「美味しそう」
「俺の行きつけだからな」
「二郎系ばっか行ってるのかと思ってた」
「二郎系も好きだけどな」
「スープ…これは、私の実力では家で再現出来なさそう」
「素人が簡単にスープ再現出来たら、そいつ天才だろ」
「それもそうか」
「替え玉お願いします」
「え、もう替え玉?」
「英もいっとく?」
「いや、まだ半分も食べれてないし」

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