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Boy meets girl…? 4

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「ち、近い…よね、やっぱり…」
澄麗ちゃんが碧の大きな目から視線を逸らす。
「距離が近いって自覚はあったわけね」
満足気な碧は枝豆に手を伸ばした。澄麗ちゃんはというと、梅酒ロックを片手に項垂うなだれていた。何だろう、この取り調べ感。

「で、付き合ってんの?」
碧、斬り込むなあ。カシスミルクに少し口をつける。右を見ると英ちゃんがさっきと同じくわくわくした顔をしていた。
「付き合ってない」
顔を上げてきっぱりと告げた澄麗ちゃんは複雑そうな、少し悲しそうな目をしていた。
「そういう話にはならないよ。九条くん、彼女いるもん」
「えっ…彼女いるのに澄麗に近付いてるの?」
さっきまであんなにわくわくしていた英ちゃんが、一気に表情を歪めた。
「それ…遠距離の彼女のこと?」
「碧、知ってるの?」
「九条先生から直接じゃないけど。他の先生から聞いた事がある」
澄麗ちゃんの顔が強張った。

「何でだろうね。私、彼女いる人からばっかり気に入られるってね。九条くんのことも拒まなきゃいけないって分かってるんだけど…」
「九条先生、顔整ってるからね」
「え、イケメンってやつ?」
顔が整ってたら私、ちょっと許しちゃうかも。でもあの高橋さんはあり得ないけど。
「碧、写真無いの?」
「私も見たい」
英ちゃんも私と一緒に身を乗り出した。
「えー…たぶん無い」
「そこを何とか。スマホに無いの?」
「ねぇ澄麗。澄麗のスマホには無いの?」
「……無いよ」
「今の間は?あるでしょ澄麗ちゃん。私達から逃げ切れるとでも思ってんの?」
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