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しおりを挟む「美咲、幸せそうだったね」
大学からの親友、結城美咲が結婚した。お式は親戚の方々だけで沖縄で挙げていた。私達は一昨日、お披露目パーティーに参加するという形でお祝いしてきた。
私は勿論、雄二くんも大学の仲間枠で出席したのだけど。美咲の旦那様の悠さんが「なんで美咲の招待客に男がいんの?」と拗ねてちょっと大変だったと美咲から聞いた。美咲の悠さんとのエピソードは何をどう聞いても惚気にしか聞こえない。
「俺、旦那さんと何回か目ぇ合ったわ。その度に若干背筋が凍ったけど」
「ちょ、ラーメン吹くじゃん」
「あんなに人前で拗ねられる程好きになれるってすごいよな」
「ほんと。あんな風に愛されてみたいよ」
「九条先生とは、最近どう?」
グフッ…
口の中でラーメンを本当に吹いた。口から中身が出なかったのは私の女のプライドが成し得た技だ。
「……どうって、何をどう…答えるのかな…?」
コップに水が入ってて良かった。ぐびぐびと飲み干し、カウンターテーブルにあるピッチャーに手を伸ばす。
「──やっぱり、九条先生と……あるんだな」
動揺を隠しながらピッチャーからコップに水を注ぐ。雄二くんを睨んでみたけど何の効果も無さそうだ。そのドヤ顔が憎たらしい。
「あ、あ、ある…とは?」
「ここで即答しないのが証拠だろ」
「……黙秘します」
「却下」
「即答だし」
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