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縁 3
しおりを挟む「──ねえ時緒」
「ん?もっかいする?」
色気を爆発させて私をもう一度組み敷こうとする彼に少しばかりの抵抗をと、腕に力を込める。
「私、お腹空いた」
「俺も腹減った」
「じゃあハンバーグ食べよ?」
「もう一回英を食べたらな」
「ねえ、明日も仕事だよ?」
「明日の為に英気を養うことも仕事のうち」
そのまま口づけが降ってくる。時緒はいつも、一回では満足してくれない。
「この性欲おばけ」
「その性欲おばけに気持ち良くさせられてる英も十分性欲おばけだな」
「え、ちょ、時緒……ああんっ‼︎」
1度目の情事で十分に潤っていたそこに、彼が挿入ってきた。また時緒のペースだ。空腹が満たされるのはまだ先になりそう…。
「──九条匠です。時緒の弟の。どうも」
時緒の弟、九条匠さんと顔を合わせたのは偶然だった。日曜日に行ってみたかった紅茶専門店に時緒と足を運んだ。隣のテーブルに座っていたのが偶然にも匠さんだった。驚いたのは、その向かいの席に座っていた人物が、どう見ても……。
「山吹英です。えっと、匠さん……」
その向かいに座っているのは…?
「はい。苗字は違いますが、ちゃんと兄弟です」
これぞポーカーフェイスってやつだろう。申し訳程度に微笑みを浮かべているけど、ほとんど表情を変えない。
「はい、時緒さんから伺っています。あの、その向かいの…」
その人物はまだ固まっている。私の目がおかしくなければ、その固まってるその人は……。
「如月澄麗さんです。俺の、彼女です」
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