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HYPNOTIC POISON [ヒプノティックプワゾン]4
しおりを挟む「なあ美和。もう一回」
「え……また?」
「いいから」
「もう……何回目よ?私全然食べれないじゃん」
「いいじゃん。週末しか会えないんだから」
「家にいてもやってるよね?」
「……それはそれ、これはこれでなあ」
満紘に連れられて着いた焼肉屋。店員さんに案内されて着いた席の隣でカップルが「あーん」を複数回かましていた。……うん、幸せそうだな。
2人とも左手薬指に指輪が見えた。新婚さんかな?
「ねえ満紘……ね、満紘、どうしたの?」
隣の新婚さんに負けじと自分の恋人の顔を見やると、満紘が豆鉄砲を喰らった鳩みたいな顔をしていた。
「い、一ノ瀬リーダー……?」
その声に新婚さんのご主人の方が振り向いた。
「っ‼︎……あ、綾野……!」
一瞬狼狽えた一ノ瀬さんは一瞬にして顔をキリッとさせた。
「誠……?」
奥さんぽい方がご主人に声を掛けた。何かを悟ったらしく、私達2人を見てにっこりと会釈をした。
「驚いたな。彼女か?」
「はい、彼女です。てか一ノ瀬リーダーこそ。……奥様ですか?溺愛してるって噂の」
「ちょ、綾野!溺愛って……そ、そうだよ。うちの家内だ」
「美和です。いつも主人がお世話になっております」
奥さん、溺愛って言われても動じない。これは慣れてるな?
「綾野です。寧ろ僕がご主人にお世話になりっぱなしというか」
「いや、綾野はよく出来る男だよ。彼女さん、こいつはいい男だよ」
急に話題を振られて動揺してしまう。
「は、はい……。すごく良い彼氏だと思います」
「惚気られちゃったよ。綾野。お前幸せだなあ」
満紘が声を掛ける直前までの一ノ瀬夫妻の甘い雰囲気とのギャップと、自分がうっかり惚気てしまったことに驚きを隠せない。
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