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HYPNOTIC POISON [ヒプノティックプワゾン]8
しおりを挟む「俺と一緒に、東京に行こう。ここは……水無瀬市は梨愛には危険過ぎる」
確かに……。怖い何かに巻き込まれそうな、そんな恐怖は今日、より強くなった。新しい街でも、満紘がいてくれれば、やっていけるかもしれない。
「考えとく。──ねぇ、満紘」
「ん?」
「私、そろそろ動きたいんだけど……」
「もうちょっとこうしてようぜ?」
「いや立ちっぱなしだし」
「じゃあ座る?」
「着替えたり色々したいし」
「このまま脱いでくれてもいいけど?」
顔を上げて、思いっきり冷たい視線を送りつけてやった。
「いいね、梨愛の冷たい視線。ゾクゾクするわ」
「このドM」
「梨愛のどの視線も一生、俺だけのものな」
「え、私監禁されるの?」
「それもいいな」
怖い事をさらりと口にした満紘は、まだ私を腕の中から解放してくれない。
「──はい、やはりクロセの件、慎重に動いた方が良さそうです。──ええ、勿論行かせて頂きます。彼女も怖がってますし」
暗闇の中、満紘が誰かと電話している声がする。──会社の人?
「ええ、明日研究所に行ってみます。詳しい話はそれから、ですね」
こんな夜中でも仕事の電話か……。商社って、大変なんだな。
「厄介ですね。海山商事が産業スパイだとは……」
え、今、スパイって……?産業スパイって、何かやばそうな……。
「大丈夫です。今彼女、寝てるんで」
──いや背を向けてるけど、起きてますけども。
「無いと思いますけどね。知られたら、そのときは──いや、そんな物騒なこと……」
えっ⁉︎何⁉︎
物騒って。満紘が私に物騒って……⁉︎
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