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熱 3
しおりを挟む今日は非番だったそうで、朔さんはこのサラダとカレーを作ってくれた。カレーは私の食べ慣れた市販のルーを使ったものじゃなくて。スパイスに拘っているのがよくわかる香りがした。
どうしよう。朔さんの部屋で晩ごはんを食べるなら私が腕を振うのかなとか思ってたんだけど。現時点でお料理偏差値が明らかに朔さんの方が高い。
次回は私が作るのかな?スパイスカレーを超えるものか……うん無理。開き直って超絶定番の肉じゃがとか?
「──碧ちゃん?」
でも肉じゃがって明らかに狙ってる感あるよね?うーんそれじゃあ……
「碧?」
「えっ?」
今、名前呼びされた?前触れも無く朔さんの整った顔が至近距離にあって、少し後ずさっちゃう。
「また百面相」
「あ……すいません」
「敬語禁止って言ったよね?」
顎を掬われ唇が重なる。リップ音を立てて、ゆっくりと、唇の柔らかさを味わうように何度も何度も重なる。
「カレーより碧が食べたい」
「私、カレーが食べたいです。朔さんが作ってくれたんだから、あったかいうちに……んっ……!」
深くなる口付けに、脳の奥がじんとなる。頭の中がぼんやりとして、何も考えられない。
無意識に朔さんの首に腕を絡ませていた。絡まる舌の刺激が私を快楽の波に誘う。
気持ちいい。朔さんとのキスは、唇も、舌の刺激も、脳の中が痺れるこの感じも、私の全てを支配してしまう。これが快楽に溺れるってことなのかな。
クスリの依存症ってこんな感じなのかな。私は法に触れるようなことはしたくないから手を出したことは無いけど。留学していたときは非合法と紙一重の薬物に手を出している芸術家を何人か見たことがある。
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