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露見 5
しおりを挟む私の顔を見た時緒は目を細めた。
「休憩か……。でも一気に話したくなってきたから、このまま聞いてくれるか?」
首を縦に振って彼の手を握る自分の手に力を込めた。
「充は自分のしていることが犯罪行為だと、少し経ってから気付いた。でもその頃には……」
「内情を知ってしまったから。もう逃がしてもらえない……ってこと?」
「そう。でも製薬会社の社員も馬鹿じゃない。充達の動きに気付いた社員に問い詰められて、自分は何も知らないとだけ言い捨てて逃げようとした。でも今度は例の先輩に捕まった」
「その、先輩って……」
「産業スパイの幹部に近い立場らしい。俺、充を足洗わせてくれって掛け合ったんだけどな。内情を知ってるからって納得してくれなくてさ」
「それで、悩んでたんだ……」
「ああ……。ただな。話はそれだけでは終わらないんだ」
また、時緒の口が重くなった。沈黙が続く。やっぱり私に出来ることって、彼の手を握って、彼の次の言葉を待つことしか無い。本当に、私って無力なんだな。
「どうやら警察が動いているらしくて。製薬会社の社長の息子が刑事と話しているのを、充とは別の下っ端が目撃したらしい。充は知らずに加担したんだし、気付いてからも抵抗していたから、何とか見逃してもらえないか……なんて虫のいいことを考えてたんだけどな」
一瞬、彼が悲しそうな表情をしたのを私は見逃さなかった。
「俺も。警察にマークされているらしい」
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