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露見 7
しおりを挟むこの話を、時緒にするべきか、否か──。
梨愛ちゃんのお兄さんで碧の彼氏である朔さんが、恐らく時緒をマークしている警察官だ。碧の話では、動物園まで来て時緒に接触を試みたという。
あの、絶望でいっぱいだった時緒の顔。見ていられなかった。そこまで追い詰められている時緒に、私はただ泣きじゃくってしがみつくことしか出来なかった。
「英に知られたら別れようと思っていた」だなんて力無く言い放った彼。そんなこと、させない。
碧から聞いていた話を時緒にするには、今まではハードルが高かった。でも、この話を聞いた後なら。
碧に立ち会ってもらって時緒と朔さんを会わせてみる?時緒の話を朔さんに聞いてもらう。でも──。
「俺を警察に売るのか」って言われてしまったら?もう2度と時緒は私に心を開いてくれなくなると思う。心を開くどころか、別れ話をされてしまうかもしれない。
時緒の警察に対する警戒心は今、最高潮だと思う。傷だらけの動物達と同じ。彼らは傷を負っても尚、自らを奮い立たせて相手を威嚇する。
傷だらけの相手に対峙するには。安心感を与えるに限る。「私はあなたにとって安全なんだよ。警戒しなくていいんだよ」って感じ取って貰うしかない。
入浴を済ませて寝る準備をしている彼に、ブランデーを垂らしたホットミルクを渡した。
「ねぇ時緒、ちょっと話があるの」
「話?さっきのこと?」
「それに、関連する話だと、思うの……」
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