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Ouragan [ウラゴン〜暴風雨〜] 6

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「梨愛……俺、もしかして、終わった……?」
顔面蒼白とはこのこと。満紘、貧血で倒れる直前の人と同じ顔してる。
「明日の朝、無事に目を覚ますことができたら大丈夫、かもね」

仲、良くも悪くも悪くもないんだけど。でも、朔にシスコンの気があるのは否定できなかった。
「あいつは梨愛に相応しくない。お前の彼氏は俺より強くないと」
まだ私が実家にいた頃、珍しく顔を出した朔が真顔で言い出した時は、その先の未来を思って軽く憂鬱になったのはよく覚えている。

スマホの画面が光る。着信表示には朔の名前。

「ねえ……朔から電話、来たけど」
「電話にでんわ」
だめだ。パニックになり過ぎて満紘が普段滅多に言わない親父ギャグを呟いた。顔面蒼白で親父ギャグとか。軽く錯乱じゃんこれ。

大人しく電話に出るしかない。
「もしもし」
「おい、満紘って、あの満紘か?あの悪ガキの」
「悪ガキって……今はちゃんとしてるよ。商社勤務」
「えっあの満紘が……あいつちゃんと成長したんだな。じゃなくて。何だよあのメッセージは」
「あれは満紘が勝手に」
これ以上無いぐらいビビった様子の満紘と目が合った。何でバラすんだよ!と目で訴えている。知るもんか。勝手にメッセージ送ったのは満紘なんだし。自業自得。

「満紘、今いるのか?こんな夜中に梨愛の部屋にいるって」
「満紘、朔が話したいって」
満紘にとっては最悪のタイミングかもしれない。でももう逃げられないんだから、腹を括ってもらうしかない。
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