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紅に染まる 4
しおりを挟む「朔さん?」
「私の彼氏が……その、警察と繋がりのある人で」
警察官は簡単に身分を明かしてはいけないって朔さんが言っていたのを思い出す。いくら澄麗の知り合いだからって、口を滑らせるのは良くない。
「もしかして、早乙女朔、ですか?」
「えっ?朔さんをご存知なんですか?」
「大学からの友達です。小学校の先生の彼女ができたって話は最近聞きましたけど、もしかして」
「はい、多分私です」
「多分じゃないでしょ、碧」
朔さん、私のことを友達に話してくれてたんだ。まだ謎を多く感じる彼が私を生活の一部にしていてくれていたことが素直に嬉しい。
「朔、今呼びましょうか」
「でも仕事中だろうし」
「大事な人の一大事に、何も出来ないって男にとってはすごく嫌なことなんですよ。ちょっと電話かけますね」
その場でスマホを取り出し、黒瀬さんは電話をかけ始めた。
大事な人の一大事、か。何も出来ないのは女だって、私だって嫌だ。そうやって、相手を思いやることの積み重ねが愛情になっていくのかもしれない。
「お二人とも、近くに車があるので送ります」
「えっ、でも」
澄麗が躊躇う表情を見せた。友達の旦那さんとはいえ、そんなに深い面識があるわけではなさそう。
「朔は別件で。どうしても今すぐには来られないみたいなので、僕が送るという話になりました。僕の顔を立てると思って」
柔らかいその微笑みから余裕を感じた。この人、きっと奥さんと上手くいっているんだろうなあ。こんな緊急時にそんな呑気なことを考えた。
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