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硝子 4
しおりを挟む「ちょ、チョコレートって……」
「澄麗、こないだカレー作ってた時にココナッツミルク入れてたろ?」
「いや入れたけど」
「そこで閃いたんだよ。料理に甘いの入れるのアリだなって」
だからってチョコレートは……。喉元まで言葉が出かかった。何とか耐えた。うん。この人と暮らす時が来たら私がご飯を作ろう。その方がきっと平和。私は美味しいご飯が食べたい。いや匠のご飯が不味いだなんて言ってませんよ、全く。
「お風呂、お先に」
今日のお風呂は珍しく平和に、一人で入れた。いつもだったら匠が乱入してくるから正直疲れが取れなくて、どうしたものかと最近密かに悩んでいた。今日はバッティングセンターの件があったから遠慮してくれたのかもしれない。
「風呂、やっぱ一人じゃ寂しかった?一応遠慮したんだけど」
「ん、ありがとう。快適だったよ。疲れが取れた」
一瞬むっとした顔をした直後、微笑んで彼は言い放った。
「やっぱ一人で入るの寂しいか。明日は一緒に入ろうな」
「いや一人で入ったほうが疲れが」
「俺すぐ出てくるから。ベッド入ってていいよ」
「だから匠くん?」
「くん、はいらないでしょ。入ってくるね」
今日の匠は日本語が通じないというか、何というか。
ベッドの中でうとうとしていた。匠が薄い夏布団の中に入ってくる気配がした。
「──匠?」
「あ、起こしちゃったか。ごめん」
「いいの。ね、もっとこっち来なよ」
いつもだったらすぐ腕に包まれるのに、何だか今日は同じ布団の中なのに距離がある。
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