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初めて一緒に過ごす、昼休み

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    ◇    ◇    ◇

 「ふうくん.....購買いこ?」
 昼休み。桃菜はいつものように俺を購買へ誘いに来た。
 「ああ、ごめん。今日は萌と一緒に食べるんだ」
 「えぇ.....でも、一緒に購買に行くくらい良いでしょ?」
 明らかに残念そうにしてるな...めちゃめちゃ申し訳ない...。
 「いや、今日は弁当を作ってきたから、必要ないんだよ」
 「.....ふうくんのばか」
 桃菜はそう言い残して、教室を出て行ってしまった。
 うーん.....仕方ない、桃菜にはあとで謝っておくか。
 萌を待たせないためにも、さっさと生徒会室に向かうことにした。

 「生徒会室って.....どこだ?」
 いままで生徒会室の場所なんて知る必要もなかっただけに、完全に迷ってしまっている。
 だが、しばらく廊下をさまよっているうちに、職員室の隣に『生徒会室』の文字が見えた。
 「あっ、見つけた!」
俺はあわてて教室の扉を開けた。
 「ごめん! おまたせ!」
 教室に入ると、二つの机が向き合って置いてあり、一人の女子がすでに座って弁当を広げていた。
 「もぉ~、遅いよ.....。いつになっても来ないから、教室に探しに行こうとしちゃったよ」
 「ごめん.....生徒会室の場所が分からなかったから」
 「生徒会室は職員室の隣よ。これからはちゃんと覚えててね」
 「ああ、わかった」
 「それじゃあ、食べましょうか」
 「「 いただきます 」」

 「うん、うまいな!」
 今日の弁当はシンプルにサンドイッチだが、萌と一緒に作ったことを考えると特別だ。
 「男の子だから、もっとお腹いっぱい食べられるようなお弁当のほうがいいかな?」
 「いや、これでも十分だよ。俺は帰宅部だし、体を鍛えてるわけでもないから」
 「それでも、栄養はきちんと考えるから、任せて」
 「萌は本当によくできた女の子だよなぁ~。良いお嫁さんになるよ」
 「.....なら、私が風人のお嫁さんになろうか?」
 「うぐぅっ!」
 萌の言葉に、思わずサンドイッチを喉に詰まらせる。
 「なんてね。でも、せっかく風人と一緒に暮らし始めたんだから、これからも一緒に料理を作りたいわ」
 「それはうれしいけど.....そのうち萌に彼氏ができそうで心配だな」
 「安心して。誰かに告白する気はないし、告白されても断るから」
 前にも似たようなことを言ってたけど、萌はそれでいいのだろうか.....。
 「ところで、今日の放課後に柚木さんが家に来るんでしょ?」
 「ああ、そうだな」
 「.....明日のご飯を買ってないんだけど、.....柚木さんも一緒にスーパーに寄るってことよね?」
 「まあ.....そうなるな」
 「.....私、風人と二人きりで買い物がしたいから、柚木さんとは学校で話を済ませたいんだけど.....」
 「そうか.....じゃあ、そういう風に桃菜に伝えておくよ」
 「お願い」
 そんなに俺と二人きりで買い物がしたいのか.....なんて、勘違いしちゃうぞ.....。
 おそらく、単純に桃菜がプライベートに居合わせることが気に入らないのだろう。
 放課後の予定について話し合いながら、萌と二人きりでの昼休みは終わった。
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