【完結/改稿済】転生して妖狐の『嫁』になった話

那菜カナナ

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第2章:馴れ初め

13.約束

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「はぁ……っ、はぁ……ここが頂上、か?」

 目の前には原っぱが広がっている。何もないかと思いきや、片隅には小さな小屋が。もしかして、あの中か?

「リカさん? すみません、優太ゆうたです」

 すだれを押して中を覗く。日影にあるせいかどうにも薄暗い。小屋の5分の2が土間で、その先はフローリングか。真ん中にあるのは囲炉裏かな――。

「っ!? リカさん!」

 囲炉裏の脇にリカさんの姿を捉える。俺は大慌てでローファーを脱ぎ捨てて土間の上へ。

「しっかりしてください! リカさん!!」

 リカさんは眠ってた。紺色の布団に包まるような恰好で。

「……ゆう、た……?」

 リカさんの顔は真っ青だった。生気をまるで感じない。

「……っ」

 背筋が凍る。リカさんが死ぬ。マジでそんな気がした。俺は居ても立っても居られず、自分の着物のえりを力任せに開いた。

「飲んでください」

「ありがとう。でも、この前もらったばかりだから」

「……っ」

 イライラする。こんなボロボロなのに、それでもアンタは。

ないがしろに、しないでもらえますか?」

「え?」

「俺達の気持ちを。~~っ、俺らだってリカさんのことを思ってる。大好きで、大切で、失いたくないんですよ」

「優太……」

「っ、お願いです。信じてください」

 何かが零れ落ちた。涙だ。慌てて拭うと、ぐっと腕を掴まれた。リカさんだ。困り顔かと思いきや、何処かくすぐったそうに笑っていて。

「ありがとう」

「お礼はいいから約束してください」

「約束?」

「これからは1人で抱え込んだりしない。困った時は、ちゃんと俺や里のみんなを頼るって」

「分かった。約束するよ」

「っ!」

 やった! まずは一歩。泣き落としにはなっちゃったけど……まぁ、良しとしよう。

「じゃあ、早速お願いしてもいいかな?」

「勿論です。あっ……」

 腕を引かれた。息を呑みつつ身を委ねると、ゆっくりと布団の上に寝かされる。見上げれば天井を背にしたリカさんの姿が。

「ん?」

「~~っ!!!」

 目が合うなり、俺の顔はかぁーーっと熱くなった。っていうか、これ今更だけどヤバくないか? 布団の上で乳首を、なんて。これじゃまるで……っ。

「帯、外すね」

「はっ……はい……」

 返事をした。酷くか細い声で。さっきまでの威勢は何処へやらだ。

「っ!」

 しゅるっとやらしい音を立てて紺色の帯を解いていく。押さえを失った俺の着物は、左右に分かれてはらりと落ちていった。

 死ぬほど恥ずかしい! なんて思ってたのに……気付けば俺の目は、リカさんのはだけた胸元に釘付けになっていた。広い肩、広い胸、脇腹は綺麗な曲線を描いていて、その終着点である腰はきゅっと締まっていた。

「……っ」

 カッコイイ。素直に憧れる。けど、たぶん……それだけじゃなくて。

「ふふっ、何を見てるの?」

「っ! いっ、いえ! ただその……っ、ぼーっとしてただけです!」

「ふ~ん?」

 バレてる? けど、満更でもない……? 自慢の体だから? それとも……~~っ、バカ!! これは恩返しだ。余計なことは考えるな!!

「いただくね」

「……はい」

 俺はそう返事をしつつ自分の右拳を唇へ。ついでに、リカさんから視線を外した。見ないようにすれば少しはマシか。

「あっ……!」

 来た。触れてる。リカさんの熱くてしっとりとした舌が。


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