異世界に転生した俺は元の世界に帰りたい……て思ってたけど気が付いたら世界最強になってました

ゆーき@書籍発売中

文字の大きさ
36 / 161
第一章 冒険者活動始めました

第二十八話 この肉、魚は絶品だ

しおりを挟む
「は~よく寝た」

 昨日はなんだかんだ一時間くらいさまよってようやく良さそうな宿を見つけたのだ。風の精霊亭という宿で、一泊食事つきで一万八千セルと、かなりお高い。ただ、その分宿の中には護衛がいたり、部屋が前に泊まった緑林亭よりも少しだけ広い。
 俺はベッドから起き上がると、靴を履き、ローブを羽織った。昨日神の涙が襲ってきたことと、一度狙った相手はしぶとく追い続けるということを考慮して、フードをかぶることにした。前の世界ならこの格好は怪しいと言われて通報されるが、この世界なら一定数いるので特に問題はない。
 この宿は三階建てで、一階に食堂、二、三階が宿泊部屋となっている。俺は朝食を食べるために三階から一階へ階段で降りた。一階では多くの人が食事をとっており、その大半が高級そうな服を着ていた。

(ここってやっぱ高級宿だよな…)

 それなりの出費だが、身の安全を考慮しての選択だし、稼ぎ的には痛手というわけでもない為後悔はない。
 席に座ると、十分ほどで食事が届けられた。

「こちらは米、氷魚アイスフィッシュの刺身、野菜のスープです」

 今更だが、何故ご飯や白米ではなく米と言うのだろうか?
 まあ、恐らく米を伝えた勇者がやらかしたのだろう。俺としては呼び方についてはそこまで気にはしないので問題はない。

(それにしてもようやく魚が食べられる…か)

 ずっと肉だらけの生活をしていたので、魚が恋しくなってきた今日この頃。しかも刺身という魚料理の中で一番好きなものだ。
 俺はフードをとると、さっそく氷魚アイスフィッシュの刺身を食べてみた。

「ああ…美味いな……」

 氷魚アイスフィッシュの刺身は赤身魚で、マグロに近い味がする。醤油がないのが残念だが、それでもおいしい。そして、気がついたら完食していた。

「あー美味かった」

 俺は余韻に浸りつつもフードをかぶり、店を出た。

(どうするか…この街にいても神の涙とやらに襲われる危険性があるからな…)

 当初の予定としてはこの街で時間のかからない依頼を受けたり、街を散策したりして、夕方にこの街を出て途中で野宿をし、明日の昼頃にグランに到着することにしようと思っていた。ただ、この街に長くいたら神の涙に襲われる危険性が高いと思った俺は今すぐにでも出発しようと思っている。

「じゃ、帰るか…と、その前に昼飯買ってくか」

 グランで買った串焼きの在庫がないことを思い出した俺は冒険者ギルドの前にある屋台に行くことにした。

「お、いい匂いがしてきたな」

 冒険者ギルドの周辺には肉を焼くいい匂いが漂っていた。俺はいくつかある屋台の中で、一番人が多く集まっている屋台へ向かった。

(やっぱ美味しいものを食べたいしな…)

 人が多いということはその分期待値も高まる。なので俺は人が多い所を選んだのだ。





「はい。まいどあり」

 ここにあったのは森虎フォレストタイガーの串焼きだ。店主の話によるとこの辺では中々現れないBランクの魔物で、知り合いの冒険者から高値で取引したものだと言われた。そして、売れ行き的に明日には完売してしまうとのことだ。
 俺はそれを五本買って〈アイテムボックス〉に入れた。これは一本七百セルとかなりお高い。まあ、きっと値段通りの味だと思うので期待しておこう。

「よし、ここを出るとするか」

 俺は街の門に向けて歩き出した。










「……ただ走り続けるっていうのも暇だな~」

 俺は今いつも魔物を倒す時と同じように〈身体強化〉を使って走り続けていた。大体時速四十キロメートルくらいだろうか?なんか改めて使うと前より速くなっている気がする。恐らくステータスが上がっているのが原因だろう。

「あれからどのくらいLV上がったか?」

 馬車の護衛でそれなりの数の魔物を倒した。冒険者ギルドの受付嬢曰く、ゴブリン五十匹=オーク一体分のLVアップということなのでかなり期待できる……はず。
 俺は走りながらステータスを見た。
 ー--------------
 名前 ユート・アラキ 不老人族 LV.33
 体力 4700/5900
 魔力 9800/9800
 攻撃 6100
 防護 4800
 俊敏性 7000
 スキル
 ・鑑定LV.MAX
 ・言語翻訳LV.MAX
 ・身体強化LV.8
 ・剣術 LV6
 ・アイテムボックスLV.MAX
 魔法
 ・火属性
 ・水属性
 ・風属性
 ・土属性
 ・光属性
 ー--------------
「1しか上がらないか……」

 まあ、何となく予想していたことなので「そうだよな~」と思ってしまう自分がいる。
 どうやら走るスピードが上がったのは俊敏性が上がっただけでなく、〈身体強化〉のLVが上がったことも原因の一つのようだ。
 俺はステータスを見るのを止めると、また走ることに集中した。







「ここらで昼飯にするか」

 何時間もぶっ通しで走ったのでかなり体力を消費したし、お腹もすいてきた。
 俺は立ち止まると、〈アイテムボックス〉から森虎フォレストタイガーの串焼きを一先ず三本取り出した。高かったので、どれほど美味しいのか楽しみだ。

「いただきまーす」

 俺はまず一口食べた。

「う、美味い……」

 肉は柔らかくて食べやすい。そして肉の中には肉汁がたっぷりと詰まっている。味は牛肉のような感じだが、ちょっと違う。
 俺はあっという間に三本を食べきると、そのまま〈アイテムボックス〉から残り二本も取り出し、食べた。

「は~美味しかった…」

 この世界は料理のレパートリーは俺が見てきた限りだと前の世界よりも少ないが、味に関して言えばこの世界の方が美味しいと思った。俺はもう少し買えばよかったと思ったが、過ぎたことなので仕方ない。
 食べ終わった俺は〈身体強化〉を使い、いざ出発しようと思った時、道沿いにある森から音がした。気配は全く感じられない。ただ、人が「ふぅ」と息をつく音を〈身体強化〉のおかげでギリギリ拾うことが出来たのだ。LV8で僅かに聞こえるくらいなのだからLV7では恐らく聞こえなかっただろう。
 まあ、何となくだがコソコソ隠れて俺のことを見張っていることから察するに、碌な人間ではないのだろう。

「おい!そこで何をしている!」

 と、俺は叫んだ。
しおりを挟む
感想 30

あなたにおすすめの小説

男女比がおかしい世界の貴族に転生してしまった件

美鈴
ファンタジー
転生したのは男性が少ない世界!?貴族に生まれたのはいいけど、どういう風に生きていこう…? 最新章の第五章も夕方18時に更新予定です! ☆の話は苦手な人は飛ばしても問題無い様に物語を紡いでおります。 ※ホットランキング1位、ファンタジーランキング3位ありがとうございます! ※カクヨム様にも投稿しております。内容が大幅に異なり改稿しております。 ※各種ランキング1位を頂いた事がある作品です!

異世界転生おじさんは最強とハーレムを極める

自ら
ファンタジー
定年を半年後に控えた凡庸なサラリーマン、佐藤健一(50歳)は、不慮の交通事故で人生を終える。目覚めた先で出会ったのは、自分の魂をトラックの前に落としたというミスをした女神リナリア。 その「お詫び」として、健一は剣と魔法の異世界へと30代後半の肉体で転生することになる。チート能力の選択を迫られ、彼はあらゆる経験から無限に成長できる**【無限成長(アンリミテッド・グロース)】**を選び取る。 異世界で早速遭遇したゴブリンを一撃で倒し、チート能力を実感した健一は、くたびれた人生を捨て、最強のセカンドライフを謳歌することを決意する。 定年間際のおじさんが、女神の気まぐれチートで異世界最強への道を歩み始める、転生ファンタジーの開幕。

45歳のおっさん、異世界召喚に巻き込まれる

よっしぃ
ファンタジー
2巻決定しました! 【書籍版 大ヒット御礼!オリコン18位&続刊決定!】 皆様の熱狂的な応援のおかげで、書籍版『45歳のおっさん、異世界召喚に巻き込まれる』が、オリコン週間ライトノベルランキング18位、そしてアルファポリス様の書店売上ランキングでトップ10入りを記録しました! 本当に、本当にありがとうございます! 皆様の応援が、最高の形で「続刊(2巻)」へと繋がりました。 市丸きすけ先生による、素晴らしい書影も必見です! 【作品紹介】 欲望に取りつかれた権力者が企んだ「スキル強奪」のための勇者召喚。 だが、その儀式に巻き込まれたのは、どこにでもいる普通のサラリーマン――白河小次郎、45歳。 彼に与えられたのは、派手な攻撃魔法ではない。 【鑑定】【いんたーねっと?】【異世界売買】【テイマー】…etc. その一つ一つが、世界の理すら書き換えかねない、規格外の「便利スキル」だった。 欲望者から逃げ切るか、それとも、サラリーマンとして培った「知識」と、チート級のスキルを武器に、反撃の狼煙を上げるか。 気のいいおっさんの、優しくて、ずる賢い、まったり異世界サバイバルが、今、始まる! 【書誌情報】 タイトル: 『45歳のおっさん、異世界召喚に巻き込まれる』 著者: よっしぃ イラスト: 市丸きすけ 先生 出版社: アルファポリス ご購入はこちらから: Amazon: https://www.amazon.co.jp/dp/4434364235/ 楽天ブックス: https://books.rakuten.co.jp/rb/18361791/ 【作者より、感謝を込めて】 この日を迎えられたのは、長年にわたり、Webで私の拙い物語を応援し続けてくださった、読者の皆様のおかげです。 そして、この物語を見つけ出し、最高の形で世に送り出してくださる、担当編集者様、イラストレーターの市丸きすけ先生、全ての関係者の皆様に、心からの感謝を。 本当に、ありがとうございます。 【これまでの主な実績】 アルファポリス ファンタジー部門 1位獲得 小説家になろう 異世界転移/転移ジャンル(日間) 5位獲得 アルファポリス 第16回ファンタジー小説大賞 奨励賞受賞 第6回カクヨムWeb小説コンテスト 中間選考通過 復活の大カクヨムチャレンジカップ 9位入賞 ファミ通文庫大賞 一次選考通過

異世界に召喚されて2日目です。クズは要らないと追放され、激レアユニークスキルで危機回避したはずが、トラブル続きで泣きそうです。

もにゃむ
ファンタジー
父親に教師になる人生を強要され、父親が死ぬまで自分の望む人生を歩むことはできないと、人生を諦め淡々とした日々を送る清泉だったが、夏休みの補習中、突然4人の生徒と共に光に包まれ異世界に召喚されてしまう。 異世界召喚という非現実的な状況に、教師1年目の清泉が状況把握に努めていると、ステータスを確認したい召喚者と1人の生徒の間にトラブル発生。 ステータスではなく職業だけを鑑定することで落ち着くも、清泉と女子生徒の1人は職業がクズだから要らないと、王都追放を言い渡されてしまう。 残留組の2人の生徒にはクズな職業だと蔑みの目を向けられ、 同時に追放を言い渡された女子生徒は問題行動が多すぎて退学させるための監視対象で、 追加で追放を言い渡された男子生徒は言動に違和感ありまくりで、 清泉は1人で自由に生きるために、問題児たちからさっさと離れたいと思うのだが……

スーパーの店長・結城偉介 〜異世界でスーパーの売れ残りを在庫処分〜

かの
ファンタジー
 世界一周旅行を夢見てコツコツ貯金してきたスーパーの店長、結城偉介32歳。  スーパーのバックヤードで、うたた寝をしていた偉介は、何故か異世界に転移してしまう。  偉介が転移したのは、スーパーでバイトするハル君こと、青柳ハル26歳が書いたファンタジー小説の世界の中。  スーパーの過剰商品(売れ残り)を捌きながら、微妙にズレた世界線で、偉介の異世界一周旅行が始まる!  冒険者じゃない! 勇者じゃない! 俺は商人だーーー! だからハル君、お願い! 俺を戦わせないでください!

最強無敗の少年は影を従え全てを制す

ユースケ
ファンタジー
不慮の事故により死んでしまった大学生のカズトは、異世界に転生した。 産まれ落ちた家は田舎に位置する辺境伯。 カズトもといリュートはその家系の長男として、日々貴族としての教養と常識を身に付けていく。 しかし彼の力は生まれながらにして最強。 そんな彼が巻き起こす騒動は、常識を越えたものばかりで……。

スキルはコピーして上書き最強でいいですか~改造初級魔法で便利に異世界ライフ~

深田くれと
ファンタジー
【文庫版2が4月8日に発売されます! ありがとうございます!】 異世界に飛ばされたものの、何の能力も得られなかった青年サナト。街で清掃係として働くかたわら、雑魚モンスターを狩る日々が続いていた。しかしある日、突然仕事を首になり、生きる糧を失ってしまう――。 そこで、サナトの人生を変える大事件が発生する!途方に暮れて挑んだダンジョンにて、ダンジョンを支配するドラゴンと遭遇し、自らを破壊するよう頼まれたのだ。その願いを聞きつつも、ダンジョンの後継者にはならず、能力だけを受け継いだサナト。新たな力――ダンジョンコアとともに、スキルを駆使して異世界で成り上がる!

バーンズ伯爵家の内政改革 ~10歳で目覚めた長男、前世知識で領地を最適化します

namisan
ファンタジー
バーンズ伯爵家の長男マイルズは、完璧な容姿と神童と噂される知性を持っていた。だが彼には、誰にも言えない秘密があった。――前世が日本の「医師」だったという記憶だ。 マイルズが10歳となった「洗礼式」の日。 その儀式の最中、領地で謎の疫病が発生したとの凶報が届く。 「呪いだ」「悪霊の仕業だ」と混乱する大人たち。 しかしマイルズだけは、元医師の知識から即座に「病」の正体と、放置すれば領地を崩壊させる「災害」であることを看破していた。 「父上、お待ちください。それは呪いではありませぬ。……対処法がわかります」 公衆衛生の確立を皮切りに、マイルズは領地に潜む様々な「病巣」――非効率な農業、停滞する経済、旧態依然としたインフラ――に気づいていく。 前世の知識を総動員し、10歳の少年が領地を豊かに変えていく。 これは、一人の転生貴族が挑む、本格・異世界領地改革(内政)ファンタジー。

処理中です...