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第一章 冒険者活動始めました
第三十五話 取り調べ
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カルトリのスラム街にある家の地下にて…
「ちっ何で四回も殺し損ねるんだよ。しかもその内の一回は見失って接触すら出来なかっただと?ガキだぞガキ!強いと言っても経験では絶対にこっちの方が上だ!不意を突けば必ず殺れるはずだ!」
ここには酒を飲みながら声を荒げる身長二メートルはある大男と、その前で膝をつく男、ケイルがいた。
「は、申し訳ありません。カルトリ部隊長様」
ケイルは少し震えながらも落ち着いた口調で謝罪した。
ただ、それでは目の前の大男をを落ち着かせることは出来ない。
「謝罪したからってあいつが死ぬわけじゃねえ。謝罪する暇があったらさっさと今わかってる情報を言え!」
謝罪をしなかったらしなかったで「謝罪しろこのクズが!」と言われることをケイルは分かっていたが、それを口に出すことは絶対に出来ない。
「は、はい。ユートは最近Dランクに上がったグラン出身の冒険者で、火、水、土の三属性の魔法を操る魔法戦士。更に、Dランクに上がった直後にラルティ伯爵と面会したという情報もあります」
「なるほどな…領主も目をつけるほどの逸材となると今までに向かわせた刺客では勝てない…か……」
はい。ただ、幸いなことにユートと話すことに成功した者が神影の中に一人いるそうです」
「そうか…なら何故殺害されていないんだ!」
話すことが出来た。つまり殺せるチャンスがあったのにもかかわらず殺さなかったことに大男はまた怒りだした。
「いや、彼は本部からの命令による潜入調査中でして、周囲から怪しまれるわけにはいきませんので…」
「そうか…ならしょうがない。ただ、殺れるチャンスがあったら必ず殺れと言っとけ」
「分かりました」
次の日の朝、俺は衛兵詰所の取調室にいた。内容は昨日の宿襲撃事件についてだ。
真ん中に机があり、対面する形で椅子が置かれており、そこに俺とカルトリ支部衛兵副隊長が座っている。
「まずは挨拶だね。私の名前はメイズ。衛兵の副隊長をやっている」
メイズは二十代半ばほどに見え、深紅の髪と眼をした身長百七十センチメートルくらいの細身の男性だ。そして、注目すべきところは頭についてる狼の耳だろう。
「Dランク冒険者のユートです」
「うん。分かった。それで、早速昨日のやつらについて説明するけど、二人は君も分かっている通りその場で死亡の確認が取れた。そして、一人は意識を取り戻した時に自殺をした。だから情報は何一つない状態なんだ。それで、君から何か知っていることがないか聞きたいんだけどいいかな?」
メイズさんは優しい口調ながらも真剣な眼差しで聞いてきた。
襲ってきたやつらだが、十中八九神の涙だろう。
生き残った一人も自殺したことには一瞬驚いたが、前にグランへいく道中に襲ってきたやつらも俺が勝ち、「目的は何か?」と聞いたら直ぐに自殺したことを思い出し、「やっぱりか…」と納得した。
「はい。恐らくそいつらは神の涙の連中で、俺を殺す為に襲撃したのでしょう」
「神の涙!?確かに自殺する時点で一筋縄じゃいかない相手だとは思っていたけど…本当にそいつらなのか?というか何で分かったんだ?」
メイズさんは目を見開いて驚いたが、直ぐに落ち着きを取り戻した。
「はい。前にも何度か襲われたことがありますからね」
「何度も…か……まだ若いのに大変だな……やつらに関してはトカゲのしっぽ切りがずっと続いている状態なんだ。この街にあった神の涙のアジトも数年前に潰したはずなのにもう復活してるという情報が来てるし…こちらとしてはもうお手上げ状態なんだ…」
メイズさんは「はあっ」とため息をついた。
「俺はこの後ティリアンへ向かう為に出発しますのでこの街でトラブルを起こすことは当分ないと思います」
メイズさんはかなり疲れているみたいなのでこれ以上迷惑をかけない為にも早めに町から出ようと思った。
すると、メイズさんはさらに深くため息をついた。
「やれやれ…神の涙に狙われているというのに平然としていられる精神が逆に羨ましいよ…」
褒められている…というよりはあきれられてしまった気がする。
恐らくだが、俺の精神が強くなったのは盗賊を殺してからだと思う。あの時に罪人といえど、人を殺す覚悟が出来たから…
「取り調べはこれで以上だ。まあ…死なないように頑張れよ……」
「分かりました」
最後に握手をしてから俺は衛兵詰所の外に出た。時計を見ると今は午前八時三十分を指していた。
次に行く街はマリノだ。マリノはカルトリから歩いて四日もかかる道のりだ。つまり、走っても一日でたどり着くことは出来ない為、途中で野宿する必要がある。もちろんこのことはグランにいる時に確認済みなのでちゃんとテントを持ってきてある。
このテントはウォルフさんが昔使っていたものを「せっかくだから使ってくれ」と言われて貰ったものだ。また、流石はSランク冒険者のテントと言うべきかテントは魔道具で、耐久力上昇と魔物や人が近づいてきたら自然と目が覚める機能がついている。これで魔物や盗賊対策もばっちりだ。
「よし!行くか!」
マリノへ行くに俺は北門へ向かって歩き出した。
「ちっ何で四回も殺し損ねるんだよ。しかもその内の一回は見失って接触すら出来なかっただと?ガキだぞガキ!強いと言っても経験では絶対にこっちの方が上だ!不意を突けば必ず殺れるはずだ!」
ここには酒を飲みながら声を荒げる身長二メートルはある大男と、その前で膝をつく男、ケイルがいた。
「は、申し訳ありません。カルトリ部隊長様」
ケイルは少し震えながらも落ち着いた口調で謝罪した。
ただ、それでは目の前の大男をを落ち着かせることは出来ない。
「謝罪したからってあいつが死ぬわけじゃねえ。謝罪する暇があったらさっさと今わかってる情報を言え!」
謝罪をしなかったらしなかったで「謝罪しろこのクズが!」と言われることをケイルは分かっていたが、それを口に出すことは絶対に出来ない。
「は、はい。ユートは最近Dランクに上がったグラン出身の冒険者で、火、水、土の三属性の魔法を操る魔法戦士。更に、Dランクに上がった直後にラルティ伯爵と面会したという情報もあります」
「なるほどな…領主も目をつけるほどの逸材となると今までに向かわせた刺客では勝てない…か……」
はい。ただ、幸いなことにユートと話すことに成功した者が神影の中に一人いるそうです」
「そうか…なら何故殺害されていないんだ!」
話すことが出来た。つまり殺せるチャンスがあったのにもかかわらず殺さなかったことに大男はまた怒りだした。
「いや、彼は本部からの命令による潜入調査中でして、周囲から怪しまれるわけにはいきませんので…」
「そうか…ならしょうがない。ただ、殺れるチャンスがあったら必ず殺れと言っとけ」
「分かりました」
次の日の朝、俺は衛兵詰所の取調室にいた。内容は昨日の宿襲撃事件についてだ。
真ん中に机があり、対面する形で椅子が置かれており、そこに俺とカルトリ支部衛兵副隊長が座っている。
「まずは挨拶だね。私の名前はメイズ。衛兵の副隊長をやっている」
メイズは二十代半ばほどに見え、深紅の髪と眼をした身長百七十センチメートルくらいの細身の男性だ。そして、注目すべきところは頭についてる狼の耳だろう。
「Dランク冒険者のユートです」
「うん。分かった。それで、早速昨日のやつらについて説明するけど、二人は君も分かっている通りその場で死亡の確認が取れた。そして、一人は意識を取り戻した時に自殺をした。だから情報は何一つない状態なんだ。それで、君から何か知っていることがないか聞きたいんだけどいいかな?」
メイズさんは優しい口調ながらも真剣な眼差しで聞いてきた。
襲ってきたやつらだが、十中八九神の涙だろう。
生き残った一人も自殺したことには一瞬驚いたが、前にグランへいく道中に襲ってきたやつらも俺が勝ち、「目的は何か?」と聞いたら直ぐに自殺したことを思い出し、「やっぱりか…」と納得した。
「はい。恐らくそいつらは神の涙の連中で、俺を殺す為に襲撃したのでしょう」
「神の涙!?確かに自殺する時点で一筋縄じゃいかない相手だとは思っていたけど…本当にそいつらなのか?というか何で分かったんだ?」
メイズさんは目を見開いて驚いたが、直ぐに落ち着きを取り戻した。
「はい。前にも何度か襲われたことがありますからね」
「何度も…か……まだ若いのに大変だな……やつらに関してはトカゲのしっぽ切りがずっと続いている状態なんだ。この街にあった神の涙のアジトも数年前に潰したはずなのにもう復活してるという情報が来てるし…こちらとしてはもうお手上げ状態なんだ…」
メイズさんは「はあっ」とため息をついた。
「俺はこの後ティリアンへ向かう為に出発しますのでこの街でトラブルを起こすことは当分ないと思います」
メイズさんはかなり疲れているみたいなのでこれ以上迷惑をかけない為にも早めに町から出ようと思った。
すると、メイズさんはさらに深くため息をついた。
「やれやれ…神の涙に狙われているというのに平然としていられる精神が逆に羨ましいよ…」
褒められている…というよりはあきれられてしまった気がする。
恐らくだが、俺の精神が強くなったのは盗賊を殺してからだと思う。あの時に罪人といえど、人を殺す覚悟が出来たから…
「取り調べはこれで以上だ。まあ…死なないように頑張れよ……」
「分かりました」
最後に握手をしてから俺は衛兵詰所の外に出た。時計を見ると今は午前八時三十分を指していた。
次に行く街はマリノだ。マリノはカルトリから歩いて四日もかかる道のりだ。つまり、走っても一日でたどり着くことは出来ない為、途中で野宿する必要がある。もちろんこのことはグランにいる時に確認済みなのでちゃんとテントを持ってきてある。
このテントはウォルフさんが昔使っていたものを「せっかくだから使ってくれ」と言われて貰ったものだ。また、流石はSランク冒険者のテントと言うべきかテントは魔道具で、耐久力上昇と魔物や人が近づいてきたら自然と目が覚める機能がついている。これで魔物や盗賊対策もばっちりだ。
「よし!行くか!」
マリノへ行くに俺は北門へ向かって歩き出した。
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