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プロローグ

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 高校受験に落ちた日。俺は横断歩道に突っ込んできた暴走トラックから子どもを助けたが、車両のタイヤに足が巻き込まれ、長い間コンクリートに引きずられ、死んだ。


 痛い。
 手のひらが無くなる。
 肘が擦り剥けて白い骨が露わになる。
 頬が裂けてちぎれ飛んでいく。
 トラックに引きずられ、皮膚が少しずつ確実に、ガリガリと道路にかすめとられていく。
 死んだな、と思った。


 それが前世での、俺の最後の記憶になった。
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