消しゴム君

桐生デンジ

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消しゴム君

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 男の子が、消しゴム君を使っています。

 ごしごし、ごしごし。

 紙に書かれた文字たちが、消えてゆきます。
 消しゴム君も、擦り減ってゆきます。

 男の子が、消しカスを机から払い落とします。

 ぱらぱら、ぱらぱら。

 役目を終えた消しゴム君の残骸が、床に落ちてゆきます。

 消しゴム君は文字たちと混じり合い、黒ずんで消しカスになります。
 消されてしまった文字たちの悲しみが、白い消しゴム君をまっ黒に色づけるのです。

 消しゴム君は自分の運命の悲しさを嘆きます。
 自分をすり減らし、文字たちを悲しませなければ、人を幸せにできないその定めを。

 やがて消しゴム君は擦り切れ、服も脱がされてしまって、小さな丸っこい消しゴムになりました。
 男の子は、震える指先で消しゴム君を掴み、荒っぽく文字をこすります。


 大きな「好きです」という文字が、最後の消しカスとともに、ごみ箱の底へと消えてゆきました。
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