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2.剣聖(性)誕生
次の朝、騎士たちの住む城内の一室にて。
私は目覚めてすぐ、枕元に置いてあった愛刀を手に取り、鞘から抜こうとしたのだが――――何かがおかしい。剣を鞘に戻し、チャキンと金属音が鳴ると共に、剣がまるで私の身体の一部であるかのように感じられ、全身をなんともいえない快感が駆け巡った。
これが悪魔の言っていた性の快感というものなのだろうか……。毎回こんなものが剣から伝わってくると思うと、まともに戦うことさえままならないような気がしてきてしまった。
しかし不思議なことに……もう一度剣を抜いてみたいという衝動に駆られ、私はいつも練習を重ねているように、素早く居合切りを放ってみると、先ほどよりも強い快感が背筋をゾクゾクと震わせた。
この時、私は十六歳。町の娘であれば既に結婚しているか、そろそろさせなければと両親が慌て始める頃だったろうと思うけれど、剣の道に人生をかけることに決めていた私は、そういったことにめっぽう疎かったのだ。
そうして、その日の訓練が始まった。
***
結果、私は悪魔から聞いていた通りの、素晴らしく鮮やかな足さばき、そして素早く重い剣戟が身に着いていたということが分かった。
しかし、やはり剣を振るっていると、例のムズムズとした感覚が全身を襲ってきたのも事実である。
私たち騎士が行う訓練の一つに、模擬戦というものがある。その名の通り、実際に甲冑を身に着け、仲間同士一対一で剣の腕を競い合うというものだ。
息が荒くなり、頬を紅潮させていたことは、頭部に着けていた甲冑に覆い隠されていたけれど、内心ヒャッハーと叫びながらテンションを上げ、夢中になって次々と剣を打ち込むことは今までに無かったと言って良いほどに気持ち良かった。
その勢いに圧されて、私と戦った他の騎士たちがみな敗れて行ったことは言うまでも無い。
半日の訓練を終え、私は師匠に呼び出された。もしや悪魔と契約を結んだことが見抜かれたのではないかと心配になったけど、年老いた彼の口から発されたのは純粋な称賛の言葉だった。
突然の飛躍的な実力の上昇に驚いていたようだったけど、剣士はある日コツを得て急激に強くなるということもそう珍しくはないらしい。
自室に戻ると、いつもとは違った、経験したことのない疲労感が私の身体にのしかかってきた。やはり悪魔に騙されて、命を削られているのかとも思い、私は急に剣を抜くのが怖くなってきてしまった。
今思えば、これは快感を得ることでエネルギーを消費したから、いつもよりも体力を消耗して疲れが溜まったということだと分かるけれど、当時の私はそんなことは見ず知らず。
翌日から私は、一応訓練には参加したけど、なるだけ剣は使わずに、相手の攻撃をいなすことに重点を置いて練習をするようになった。
しばらくして、再び私は重要な話があると、師匠に呼び出された。
なにやら、私の練習を見ていて、きっと私は若くして剣術の境地に達したのであろうと思ったらしい。大切なのはむやみに斬ることではなく、人を斬ることの意味を考えて最低限の剣を振るうことだと気付いたのだろうと、彼は言った。
全くそういうつもりは無かったので、私はまだまだだと否定したが、師匠はそこである話を持ち出してきた。
近頃魔大陸に巣くう魔王軍の動きが活発化してきていて、どうやらナルガ王国は異世界から「勇者」なるものを召喚するつもりであると、国王が発表しているらしいのだ。にわかに信じがたかったけれど、この話は、師匠を含む騎士団の中でも幹部に位置する人たちだけに知らされており、師匠には騎士団の中から一人、優秀な騎士を選び出して、その勇者の魔王討伐の旅に同行させるべしと伝えられていたようだった。
そこで、近頃実力がめきめきと進歩している私を、その一人の騎士に選びたいと、師匠は言った。
どうやら召喚はいるになるか分からないらしいので、私はとりあえず剣術が磨けるのならばそれでも良いと師匠に伝えて、部屋に戻った。
私は目覚めてすぐ、枕元に置いてあった愛刀を手に取り、鞘から抜こうとしたのだが――――何かがおかしい。剣を鞘に戻し、チャキンと金属音が鳴ると共に、剣がまるで私の身体の一部であるかのように感じられ、全身をなんともいえない快感が駆け巡った。
これが悪魔の言っていた性の快感というものなのだろうか……。毎回こんなものが剣から伝わってくると思うと、まともに戦うことさえままならないような気がしてきてしまった。
しかし不思議なことに……もう一度剣を抜いてみたいという衝動に駆られ、私はいつも練習を重ねているように、素早く居合切りを放ってみると、先ほどよりも強い快感が背筋をゾクゾクと震わせた。
この時、私は十六歳。町の娘であれば既に結婚しているか、そろそろさせなければと両親が慌て始める頃だったろうと思うけれど、剣の道に人生をかけることに決めていた私は、そういったことにめっぽう疎かったのだ。
そうして、その日の訓練が始まった。
***
結果、私は悪魔から聞いていた通りの、素晴らしく鮮やかな足さばき、そして素早く重い剣戟が身に着いていたということが分かった。
しかし、やはり剣を振るっていると、例のムズムズとした感覚が全身を襲ってきたのも事実である。
私たち騎士が行う訓練の一つに、模擬戦というものがある。その名の通り、実際に甲冑を身に着け、仲間同士一対一で剣の腕を競い合うというものだ。
息が荒くなり、頬を紅潮させていたことは、頭部に着けていた甲冑に覆い隠されていたけれど、内心ヒャッハーと叫びながらテンションを上げ、夢中になって次々と剣を打ち込むことは今までに無かったと言って良いほどに気持ち良かった。
その勢いに圧されて、私と戦った他の騎士たちがみな敗れて行ったことは言うまでも無い。
半日の訓練を終え、私は師匠に呼び出された。もしや悪魔と契約を結んだことが見抜かれたのではないかと心配になったけど、年老いた彼の口から発されたのは純粋な称賛の言葉だった。
突然の飛躍的な実力の上昇に驚いていたようだったけど、剣士はある日コツを得て急激に強くなるということもそう珍しくはないらしい。
自室に戻ると、いつもとは違った、経験したことのない疲労感が私の身体にのしかかってきた。やはり悪魔に騙されて、命を削られているのかとも思い、私は急に剣を抜くのが怖くなってきてしまった。
今思えば、これは快感を得ることでエネルギーを消費したから、いつもよりも体力を消耗して疲れが溜まったということだと分かるけれど、当時の私はそんなことは見ず知らず。
翌日から私は、一応訓練には参加したけど、なるだけ剣は使わずに、相手の攻撃をいなすことに重点を置いて練習をするようになった。
しばらくして、再び私は重要な話があると、師匠に呼び出された。
なにやら、私の練習を見ていて、きっと私は若くして剣術の境地に達したのであろうと思ったらしい。大切なのはむやみに斬ることではなく、人を斬ることの意味を考えて最低限の剣を振るうことだと気付いたのだろうと、彼は言った。
全くそういうつもりは無かったので、私はまだまだだと否定したが、師匠はそこである話を持ち出してきた。
近頃魔大陸に巣くう魔王軍の動きが活発化してきていて、どうやらナルガ王国は異世界から「勇者」なるものを召喚するつもりであると、国王が発表しているらしいのだ。にわかに信じがたかったけれど、この話は、師匠を含む騎士団の中でも幹部に位置する人たちだけに知らされており、師匠には騎士団の中から一人、優秀な騎士を選び出して、その勇者の魔王討伐の旅に同行させるべしと伝えられていたようだった。
そこで、近頃実力がめきめきと進歩している私を、その一人の騎士に選びたいと、師匠は言った。
どうやら召喚はいるになるか分からないらしいので、私はとりあえず剣術が磨けるのならばそれでも良いと師匠に伝えて、部屋に戻った。
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