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現世編
021.『彼が今日自殺をする理由』13
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真琴の成績は高校でも上位を維持し続けた。「成績が安定していて素晴らしい」と担任は褒めたが少しも嬉しさは感じなかった。真琴は塾へは通わず自学で受験対策をし、浪人することなく東都の公立の大学の経済学部に合格した。大学へは柳原から通うこともできたし、父親もそれを勧めてくれたが「一人で勉強に集中したい」と言って大学の近くの寮を借り、そこへ引っ越した。荷造りをしてみると三年住んだ父のアパートの部屋にはほとんど真琴の荷物はなかった。段ボールにしてたった四箱にしかならず、それは奇しくも母と暮らしたアパートから親戚の家に引っ越すときのそれと同じ数だった。どうせ断られると知っていた父親は駅まで見送りに行こうかと提案もしなかった。
悠樹は常浜の公立大学の工業学部へ進学した。勉強の苦手な悠樹だが猛勉強したらしい。杏奈は東都の私立大学の語学部へ進学した。琢磨は一年生のときに高校を辞めてフリーターになり、中学生の頃の同学年の女子と柳原で同棲しているらしい。
母を亡くしてから真琴は墓参りに行くようになった。墓は母方の先祖のものであり、柳原から延びるローカル路線で二時間ほど行った街の山の中腹にあった。電車に揺られる二時間は真琴にとって悪いものではなかった。彼は文庫本を電車の中で読んだ。柳原を出る頃には車両の座席は半分以上埋まったが、墓のある街に着く頃には必ず二人以下になった。
真琴は墓参りに出かける鞄にはライターとブラシと虫よけスプレーとおにぎりとお菓子と飲み物と文庫本を入れて行った。墓に飾る樒と線香は墓の最寄りの駅の近くに一軒だけあるスーパーで買った。そこは避暑地としてかつて栄えた街だった。駅前の商店街は今ではほとんどシャッターが降りていたがそれでも周辺には別荘と思われる大きな屋敷が並ぶ閑静で美しい街だった。地元の農家はほとんどが果樹園か林業で生計を立てているようだった。墓所に行くにはタクシーで二十分ほどかかった。お金がもったいないと思いつつも、一時間かけて山道を歩くのは大変なので帰りだけ歩くようにした。タクシーの運転手に行き先を告げると「若いもんが墓参りとは偉いな」とよく褒められた。タクシーの運転手は「帰りもタクシー呼ぶだろ?」と言って名刺を渡してくれたが真琴は「帰りは歩きます」と言って断った。墓は親戚が管理料を払っているにも関わらず荒れ放題だった。木は伸び雑草は生え蜘蛛の巣はいたるところに張っていた。真琴は墓に着くと必ず念入りに掃除をした。墓場にはお寺が用意したたわしが置いてあったが、何年も使われているため毛が倒れていたし、買ったブラシの方が汚れが良く落ちたので真琴は必ずそれを使った。掃除が終わると彼は樒を供え、線香を上げ、手を合わせた。
彼は手を合わせてから一時間ほど母に近況を報告した。報告は必ず声に出した。今どんな勉強をしているとか、誰とどんな風に過ごしているとか、どんなものを食べているとか、元気に過ごしているとか、母を心配させないように、母が生きていたら聞いてくれそうなことを話した。親戚のことや父のことは話さないようにした。彼は報告の前後に必ず謝った。
「あまり来れなくてごめん。もっと大切にしてあげられなくてごめん。お母さんの心の痛みに気付いてあげられなくてごめん。本当にごめん。ごめん」
彼は必ず言葉とともに涙をこぼした。
帰りは遠くに柳原の街と田園、手前に果樹園が見渡せる美しい景色を眺めて山道をゆっくり下った。真琴が過ごした場所のおおよそすべてをそこから見ることができた。暑い日は陽が当たって大変だったが、彼はその景色を見るのが好きだった。たまに立ち止まって水分補給をした。彼にとっては自分一人だけの冒険のような時間だった。しかしその道を通るたびに次第に新鮮さは薄らいでいった。
彼はお盆やお彼岸、年始など多くの人が墓参りに来る時期を避けた。最初は月命日のたびに墓参りに来ていた彼だったが、高校生活で忙しくなったことをきっかけに行く頻度は減っていった。大学に行く頃には年に二度しか墓参りに行かなくなった。
真琴の大学は東都の郊外のニュータウンにあった。そこは山を切り拓いてつくられた、駅を中心に複数のショッピングモールが広がる綺麗な街だった。綺麗だがあまりにも人工的で、あまりにも造形にこだわりすぎており、また駅を少し離れるとマンションばかりで店がなく、坂道も多いため、決して住みやすい街ではなかった。真琴は大学の近くにある学生寮に住んだ。大学や寮やショッピングモールやマンションなど、ニュータウンのすべてが常に清潔だった。知らない誰かが知らないうちにそこいら中を隅々まで掃除しているとしか思えない清潔さだったが、そんな人を一度も見たことはなかった。ほとんどすべての場所が広くて快適で、ほとんどすべての道路はほとんど車が通らないのに二車線以上あった。公園や並木道は整然とし心地よく、夏の緑も秋の紅葉も美しかったし春には桜が咲いた。最初は真新しい景色に心が躍ったが、そのうち見飽きるとただの坂がちな街でしかなかった。大学には様々な運動施設があり、あまり活発に使われている印象は受けなかったが、どれも一般的な中高の運動施設よりも広くて設備が充実していた。真琴の通う大学は有名なデザイナーが設計したものらしく施設の随所に意匠へのこだわりが感じられ、ドラマの撮影によく使われた。実際に広告の中でしか見たことのない芸能人を真琴は構内で何度か見かけた。
大学へ入っても部活やサークルには参加しなかった。経済的事情もありその分アルバイトに力を入れた。時給の高さから深夜のカラオケの仕事を選んだ。アルバイト自体が初めての真琴はそこで仕事の大変さを大いに学ばされた。しかし慣れると達成感とやりがいを覚えるようになった。ただ、それも長くは続かず次第にただの「楽な仕事」になり、ついには億劫に思うようになった。アルバイトは規定では一時間休憩をとることになっていたが、先輩たちが仕事さえ終わっていればもっと休憩をとって良いと言ってくれたので客の少ないときは二時間以上とることもできた。
真琴は経済学を専攻した。ビジネスと金融について学びたいというのがその動機だったが、大学の経済学は基礎的な「理屈」ばかりで将来社会に出て役に立つものではないということを先輩などから教えられると勉強への興味は失くした。勉強に興味がなくなると大学は何のための場所なのか真琴にはわからなかった。とりあえず彼は単位を落とさない程度に頑張った。大学生活は総じて快適だった。授業は空き時間を設けながら適度に受講すれば良かったし、授業を休んでもレジュメと教科書の指定範囲を学んでいればテストである程度の点を取ることができたし、単位を落とすことはなかった。寮に住んでいたため家を出てすぐ授業を受けることができた。勉強は専門的ではあったが難しくはなかった。体育やPC教室もあったため、楽しみながら単位を取ることができた。教養科目では哲学や倫理学を学んだ。非常に範囲の広いとらえどころのない学問ではあったが、それだけに講師の特色が出て、雑学のような面白さがあった。
学費と当面の生活費は父親が出してくれた。真琴は父親から仕送りを極力もらわないため奨学金は満額借りた。実際アルバイト代と奨学金で何とか生活できたため、真琴は仕送りを一度ももらわなかった。ほとんど遊ぶことのなかった真琴はお金が余るほどだった。寮で生活していたため、家賃は光熱水費合わせて一万円にも満たなかった。寮は当初もっと狭くてプライバシーがなくて不便なものと想像していたが、実際には一人部屋で六畳の広さがそれぞれ与えられた。部屋には最低限のものしか置かなかったため、彼の部屋は同じ大学に通う誰の部屋よりも質素だった。PCも大学で借りれば良いと考えて買わなかったし、娯楽を知らない真琴は娯楽の要素に乏しい部屋に住んだ。服も無地のものを選んだし、家に帰って来ると彼はシャワーを浴びて課題をこなして寝る以外のことをしなかった。生活に必要のないものはもう履かなくなった母がくれたスニーカーと伯父に買ってもらったストラップと由衣と買ったブレスレットだけだった。大学に入った当初はたくさんの知り合いができ、たくさんの人が真琴の部屋を訪れた。部屋を訪れた友人のうち半分はそれを見て「シンプルで機能的でおしゃれな部屋」だと言った。もう半分は「質素で寂しい部屋」だと言った。最初は物珍しがって多くの者がその部屋を訪れたが、行っても面白味がないことがわかると次第に誰も真琴の部屋に遊びに行かなくなった。
高校生までの不便さが嘘のようで、一体どうしてこんなに快適な生活が許されるのかと真琴は不思議がった。自分はこんなに恵まれていて良いのかと自問した。多くの富がこの生活やこの快適さを実現するために使われているはずで、その富のほんの一部でも母や由衣に誰かが恵んでいれば、母は死なずに済んだし由衣は失踪せずに済んだかもしれないと思うと理不尽に感じた。世の中の誰がどんな理由でこの街をこんなに快適にすることを決め、母や由衣の生活を不便にすることを決めたのだろうか。真琴はその清潔さと快適さの一つ一つを有難く享受しつつも、それを素直に楽しめずにいた。
女子の友達も増えた。女子の方から積極的に声を掛けてくれたし、連絡先も交換してくれたし、遊びに誘ってくれる子もいた。「女紹介してやるよ」と言う男友達や先輩も多かった。アルバイトや授業を通じて交友関係も生まれた。生来の人の良さや「相手に合わせる力」もあって、彼は相変わらず人から好かれた。コンパはできるだけ断るようにしたが、一度だけアルバイトの先輩の顔を立てるため仕方なく参加した。そこで会った近くの偏差値の低い私立大学の女の子に好かれ連絡先を交換した。天真爛漫な第一印象だったが、少し影のあるところが気になった。その子から二人で会いたいと何度か誘われたが、気乗りしなくてできるだけ相手が傷つかないような「用事」を考えて断った。アルバイトの先輩の送別会にはその子も来た。一次会が終わり、大学の部室で二次会をするため二人で駅前の居酒屋から移動しているとき、その子から「真琴くんて好きな子いるの?」と聞かれた。真琴はその質問について考えてみた。だが何もわからなかった。その質問をされたのはちょうど大学へ続く階段を上りきったところだった。そこからはニュータウンの全貌と遠くの大小のマンションの群が見渡せた。マンションとマンションの隙間からは遠くの稜線が見えた。その稜線の終端には遠くの平野の街の灯りが見えた。あの街はどこだろうと真琴は考えてみた。柳原の街にも見えたが、距離を考えるとその可能性はなかった。ではどの街だろうと真琴は思案した。それは距離と方角を考慮するとどの街にも該当しないように思えた。しばらく考えても答えが出ないので真琴はその思索をやめた。もう十一月だったため夜ともなると吐く息が白かった。真琴はその息の流れゆく先を目で追った。それはオレンジ色の街灯に溶けて消えた。ニュータウンが明るすぎるためか、あるいは東都の空気が濁っているためか、晴れているのに星は一つも見えなかった。真琴は唐突にこの黒いだけの空がどこか別の国やあるいは別の星やあるいは別の世界と繋がっていて、そのどこかに由衣がいるような気がした。
「わからない」
真琴はそう呟いた。その先輩とその女の子とはそれ以来会うことはなかった。
明日で母が死んだ日から五年、由衣が樹海に消えた日から四年になるという日、真琴は久しぶりに悠樹に通話を掛けた。しかし悠樹は留守だった。真琴は少し迷ってから杏奈に掛けた。杏奈は二回目のコールで出た。
「もしもし」
「もしもし」
「久しぶりだね」
突然の深夜の通話なのに杏奈は嬉しそうだった。真琴も調子を合わせることにした。
「久しぶり」
「真琴? どうしたの?」
真琴はぎくりとした。杏奈はやけに鋭いところがあった。「どうしたの?」は突然の通話に対するものか、自身の内面を声色から見透かされてのものか。
「いや、なんとなく。ずっと連絡してないなって」
「ほんとだね。めっちゃ久しぶり」
「元気?」
「うん元気だよ。真琴は?」
杏奈は昔と少しも変わっていないようにも、どこか少し大人っぽくなったようにも思えた。また、杏奈との距離感も昔のままのようにも、遠く隔たってしまったようにも思えた。
「俺も元気」
「そっかあ。またみんなで遊びたいね」
「何して遊ぶ?」
「卓球」
杏奈は即答したが、真琴はその答えを唐突に感じた。
「卓球?」
「市民体育館でしたじゃん」
「うん」
「卓球がしたい」
「そっか。うん。したいね」
「うん」
それから二人はたくさんの昔話をした。杏奈に明日の予定を聞くと朝の八時半からカフェでアルバイトだと言った。「じゃあ早く寝ないとね」と真琴は言った。「いいよ全然。もっと話そうよ」と杏奈は言った。「それじゃ悪いから、また話そうよ」と真琴が言うと杏奈はしぶしぶ了承して通話は終わった。
そうじゃない生き方もあったと思う。
たくさんの人を傷つけた。もう償えない。どうしたって取り返しがつかない。一番謝りたい人はもういない。
ずっと同じことを繰り返してる。ずっと同じことを繰り返し続ける。
翌日真琴は電車で月見が丘へ向かった。はじめは満員だったが、月見が丘へ近づくにつれ人はまばらになり、着く頃には同じ車両に三、四人しかいなくなった。車窓から月見が原の森が見えると真琴は窓に頭を預けてそれをぼんやりと眺めながら涙をこぼした。月見が丘駅を出ると真琴は昔母と暮らしたアパートへと向かった。そこには新しく誰かが住んでいるようだった。何か懐かしい気もしたが、昔そこに住んでいたことが嘘だったかのようにまったく別の家のようにも見えた。
次に真琴は悠樹たちとよく歩いた通学路の並木道を歩いた。思い出は蘇ってきたが、同時にそこはまったく知らない道のようにも思えた。小学校と中学校にも寄ってみた。途中で悠樹や翔吾と話した公園にも寄った。それからウサギ教の施設の跡地を目指した。ウサギ教の施設は事件のあと高校生の頃に解体されて平坦な更地になっていた。施設がなくなって更地になると、そこはあれほど巨大な施設があったことが嘘のように狭く感じた。
そこから少し歩いて真琴は樹海の遊歩道の入り口に立った。ほとんどためらうことなく真琴はその暗がりに歩を進めて行った。彼はその途中の社のあるところで道を外れ、深い森へと歩を進めた。遊歩道を外れると地面は急に木の根と石と苔に覆われ、起伏に富み、歩くたびに体は上下に揺られ、足腰は疲れ、息は切れた。特に目的地をもたない彼は自身の感覚の赴くままに歩いた。木々に覆われると自分が真っ直ぐに歩いているのか斜めに歩いているのかさえわからなかった。しばらく歩いて振り返るともうそこには遊歩道も社もなかった。戻ろうと思えば遊歩道に戻れるような気もしたが、真っ直ぐ引き返しても遊歩道には永久に行き当たらないような気もした。
真琴は何気なくスマートフォンを見た。電波は圏外だったが、それ以上に着信があることが気になった。かけてきていたのは杏奈と悠樹と翔吾だった。杏奈はやはり昨日の通話で自身の様子がおかしかったことを看破していたのかもしれないと真琴は思った。杏奈に心配をかけてしまったことを深く反省し、真琴は心の中で謝った。悠樹からの着信は単純な折り返しだろう。翔吾からの珍しい着信はどういった意図のものか真琴にはわからなかった。
真琴はさらに歩を進めた。一時間ほど歩くと何となく真琴は疲れて木にもたれかかって休んだ。地面は湿っていて冷たかったが、ほどなく慣れた。一度腰を下ろしてしまうとそこから動く気はまったく起きなくなった。いっそもうそのまま動かなくても良いような気がした。樹海の空気は真琴が思っていた以上に冷たかった。歩くのをやめると途端に急激に体の芯が冷えた。しかしこのまま寒さによって感覚が失われてしまうならそれも良いような気がした。真琴は体重のすべてを木の幹と地面に預け、体の感覚のすべてを樹海の空気に預けた。彼は目を閉じた。
真琴は声を聞いた。その声で目を覚ました。いつの間にか眠ってしまったらしい。視界はほぼ真っ暗で月明かりしかない。木と地面の固い感触があって、冷え切ってはいるが体はまだ動く。どうやら死んではいないらしい。
「たすけて」
女性の声がした。森のどこか遠くから聞こえるようでもあり、耳朶に直接響くようでもあった。真琴は立ち上がった。声は再び聞こえた。
「たすけて」
真琴はその声に聞き覚えがあるような気がした。だが由衣とも違う。杏奈とも母とも違う。森で迷った誰かだろうか。
「たすけて」
真琴は呼び掛けた。
「どこ?」
「たすけて」
真琴は再び呼び掛けた。
「聞こえる?」
しかし声はそこでやんだ。真琴は焦って声を張った。
「ねえ! 聞こえる?」
真琴は声の聞こえてきたような気のする方向へと歩を進めた。木々の間からこぼれるかすかな月明かりだけを頼りにしているため、どこに何があるのかほとんどわからない。暗がりの中でいろいろなものに蹴躓きながら、真琴は手探りで進んだ。彼は必死に叫んだ。
「おい! 返事しろ! 諦めんなよ! 今助けてやるからな!」
そのとき唐突に真琴は思い出した。四年前にもここで同じ声を聞き同じことを言ったことを。真琴は愕然とし、呟くように言った。
「誰だお前。何で俺に助けを求める…」
すると真琴の視界が急に明るくなった。視界を白い光が染めた。真琴は目を細めながらその光の発生源を確かめようとした。ところがそれは自分自身だった。自分の体が、手が、足が光を放っているのだ。
「何これ…」
すると真琴の視界の中で自身の手が透けていった。手の向こう側の木や地面が透けて見えるのだ。それとともに光も弱くなっていき、体の感覚も薄れていった。真琴は自身が消えてしまうのだと悟った。これが死かと思った。しかし死にしてはそれは皮肉なほど柔らかく甘美な感覚だった。やがて真琴は唐突に光とともに消えた。樹海は再び本来の暗闇に覆われた。
悠樹は常浜の公立大学の工業学部へ進学した。勉強の苦手な悠樹だが猛勉強したらしい。杏奈は東都の私立大学の語学部へ進学した。琢磨は一年生のときに高校を辞めてフリーターになり、中学生の頃の同学年の女子と柳原で同棲しているらしい。
母を亡くしてから真琴は墓参りに行くようになった。墓は母方の先祖のものであり、柳原から延びるローカル路線で二時間ほど行った街の山の中腹にあった。電車に揺られる二時間は真琴にとって悪いものではなかった。彼は文庫本を電車の中で読んだ。柳原を出る頃には車両の座席は半分以上埋まったが、墓のある街に着く頃には必ず二人以下になった。
真琴は墓参りに出かける鞄にはライターとブラシと虫よけスプレーとおにぎりとお菓子と飲み物と文庫本を入れて行った。墓に飾る樒と線香は墓の最寄りの駅の近くに一軒だけあるスーパーで買った。そこは避暑地としてかつて栄えた街だった。駅前の商店街は今ではほとんどシャッターが降りていたがそれでも周辺には別荘と思われる大きな屋敷が並ぶ閑静で美しい街だった。地元の農家はほとんどが果樹園か林業で生計を立てているようだった。墓所に行くにはタクシーで二十分ほどかかった。お金がもったいないと思いつつも、一時間かけて山道を歩くのは大変なので帰りだけ歩くようにした。タクシーの運転手に行き先を告げると「若いもんが墓参りとは偉いな」とよく褒められた。タクシーの運転手は「帰りもタクシー呼ぶだろ?」と言って名刺を渡してくれたが真琴は「帰りは歩きます」と言って断った。墓は親戚が管理料を払っているにも関わらず荒れ放題だった。木は伸び雑草は生え蜘蛛の巣はいたるところに張っていた。真琴は墓に着くと必ず念入りに掃除をした。墓場にはお寺が用意したたわしが置いてあったが、何年も使われているため毛が倒れていたし、買ったブラシの方が汚れが良く落ちたので真琴は必ずそれを使った。掃除が終わると彼は樒を供え、線香を上げ、手を合わせた。
彼は手を合わせてから一時間ほど母に近況を報告した。報告は必ず声に出した。今どんな勉強をしているとか、誰とどんな風に過ごしているとか、どんなものを食べているとか、元気に過ごしているとか、母を心配させないように、母が生きていたら聞いてくれそうなことを話した。親戚のことや父のことは話さないようにした。彼は報告の前後に必ず謝った。
「あまり来れなくてごめん。もっと大切にしてあげられなくてごめん。お母さんの心の痛みに気付いてあげられなくてごめん。本当にごめん。ごめん」
彼は必ず言葉とともに涙をこぼした。
帰りは遠くに柳原の街と田園、手前に果樹園が見渡せる美しい景色を眺めて山道をゆっくり下った。真琴が過ごした場所のおおよそすべてをそこから見ることができた。暑い日は陽が当たって大変だったが、彼はその景色を見るのが好きだった。たまに立ち止まって水分補給をした。彼にとっては自分一人だけの冒険のような時間だった。しかしその道を通るたびに次第に新鮮さは薄らいでいった。
彼はお盆やお彼岸、年始など多くの人が墓参りに来る時期を避けた。最初は月命日のたびに墓参りに来ていた彼だったが、高校生活で忙しくなったことをきっかけに行く頻度は減っていった。大学に行く頃には年に二度しか墓参りに行かなくなった。
真琴の大学は東都の郊外のニュータウンにあった。そこは山を切り拓いてつくられた、駅を中心に複数のショッピングモールが広がる綺麗な街だった。綺麗だがあまりにも人工的で、あまりにも造形にこだわりすぎており、また駅を少し離れるとマンションばかりで店がなく、坂道も多いため、決して住みやすい街ではなかった。真琴は大学の近くにある学生寮に住んだ。大学や寮やショッピングモールやマンションなど、ニュータウンのすべてが常に清潔だった。知らない誰かが知らないうちにそこいら中を隅々まで掃除しているとしか思えない清潔さだったが、そんな人を一度も見たことはなかった。ほとんどすべての場所が広くて快適で、ほとんどすべての道路はほとんど車が通らないのに二車線以上あった。公園や並木道は整然とし心地よく、夏の緑も秋の紅葉も美しかったし春には桜が咲いた。最初は真新しい景色に心が躍ったが、そのうち見飽きるとただの坂がちな街でしかなかった。大学には様々な運動施設があり、あまり活発に使われている印象は受けなかったが、どれも一般的な中高の運動施設よりも広くて設備が充実していた。真琴の通う大学は有名なデザイナーが設計したものらしく施設の随所に意匠へのこだわりが感じられ、ドラマの撮影によく使われた。実際に広告の中でしか見たことのない芸能人を真琴は構内で何度か見かけた。
大学へ入っても部活やサークルには参加しなかった。経済的事情もありその分アルバイトに力を入れた。時給の高さから深夜のカラオケの仕事を選んだ。アルバイト自体が初めての真琴はそこで仕事の大変さを大いに学ばされた。しかし慣れると達成感とやりがいを覚えるようになった。ただ、それも長くは続かず次第にただの「楽な仕事」になり、ついには億劫に思うようになった。アルバイトは規定では一時間休憩をとることになっていたが、先輩たちが仕事さえ終わっていればもっと休憩をとって良いと言ってくれたので客の少ないときは二時間以上とることもできた。
真琴は経済学を専攻した。ビジネスと金融について学びたいというのがその動機だったが、大学の経済学は基礎的な「理屈」ばかりで将来社会に出て役に立つものではないということを先輩などから教えられると勉強への興味は失くした。勉強に興味がなくなると大学は何のための場所なのか真琴にはわからなかった。とりあえず彼は単位を落とさない程度に頑張った。大学生活は総じて快適だった。授業は空き時間を設けながら適度に受講すれば良かったし、授業を休んでもレジュメと教科書の指定範囲を学んでいればテストである程度の点を取ることができたし、単位を落とすことはなかった。寮に住んでいたため家を出てすぐ授業を受けることができた。勉強は専門的ではあったが難しくはなかった。体育やPC教室もあったため、楽しみながら単位を取ることができた。教養科目では哲学や倫理学を学んだ。非常に範囲の広いとらえどころのない学問ではあったが、それだけに講師の特色が出て、雑学のような面白さがあった。
学費と当面の生活費は父親が出してくれた。真琴は父親から仕送りを極力もらわないため奨学金は満額借りた。実際アルバイト代と奨学金で何とか生活できたため、真琴は仕送りを一度ももらわなかった。ほとんど遊ぶことのなかった真琴はお金が余るほどだった。寮で生活していたため、家賃は光熱水費合わせて一万円にも満たなかった。寮は当初もっと狭くてプライバシーがなくて不便なものと想像していたが、実際には一人部屋で六畳の広さがそれぞれ与えられた。部屋には最低限のものしか置かなかったため、彼の部屋は同じ大学に通う誰の部屋よりも質素だった。PCも大学で借りれば良いと考えて買わなかったし、娯楽を知らない真琴は娯楽の要素に乏しい部屋に住んだ。服も無地のものを選んだし、家に帰って来ると彼はシャワーを浴びて課題をこなして寝る以外のことをしなかった。生活に必要のないものはもう履かなくなった母がくれたスニーカーと伯父に買ってもらったストラップと由衣と買ったブレスレットだけだった。大学に入った当初はたくさんの知り合いができ、たくさんの人が真琴の部屋を訪れた。部屋を訪れた友人のうち半分はそれを見て「シンプルで機能的でおしゃれな部屋」だと言った。もう半分は「質素で寂しい部屋」だと言った。最初は物珍しがって多くの者がその部屋を訪れたが、行っても面白味がないことがわかると次第に誰も真琴の部屋に遊びに行かなくなった。
高校生までの不便さが嘘のようで、一体どうしてこんなに快適な生活が許されるのかと真琴は不思議がった。自分はこんなに恵まれていて良いのかと自問した。多くの富がこの生活やこの快適さを実現するために使われているはずで、その富のほんの一部でも母や由衣に誰かが恵んでいれば、母は死なずに済んだし由衣は失踪せずに済んだかもしれないと思うと理不尽に感じた。世の中の誰がどんな理由でこの街をこんなに快適にすることを決め、母や由衣の生活を不便にすることを決めたのだろうか。真琴はその清潔さと快適さの一つ一つを有難く享受しつつも、それを素直に楽しめずにいた。
女子の友達も増えた。女子の方から積極的に声を掛けてくれたし、連絡先も交換してくれたし、遊びに誘ってくれる子もいた。「女紹介してやるよ」と言う男友達や先輩も多かった。アルバイトや授業を通じて交友関係も生まれた。生来の人の良さや「相手に合わせる力」もあって、彼は相変わらず人から好かれた。コンパはできるだけ断るようにしたが、一度だけアルバイトの先輩の顔を立てるため仕方なく参加した。そこで会った近くの偏差値の低い私立大学の女の子に好かれ連絡先を交換した。天真爛漫な第一印象だったが、少し影のあるところが気になった。その子から二人で会いたいと何度か誘われたが、気乗りしなくてできるだけ相手が傷つかないような「用事」を考えて断った。アルバイトの先輩の送別会にはその子も来た。一次会が終わり、大学の部室で二次会をするため二人で駅前の居酒屋から移動しているとき、その子から「真琴くんて好きな子いるの?」と聞かれた。真琴はその質問について考えてみた。だが何もわからなかった。その質問をされたのはちょうど大学へ続く階段を上りきったところだった。そこからはニュータウンの全貌と遠くの大小のマンションの群が見渡せた。マンションとマンションの隙間からは遠くの稜線が見えた。その稜線の終端には遠くの平野の街の灯りが見えた。あの街はどこだろうと真琴は考えてみた。柳原の街にも見えたが、距離を考えるとその可能性はなかった。ではどの街だろうと真琴は思案した。それは距離と方角を考慮するとどの街にも該当しないように思えた。しばらく考えても答えが出ないので真琴はその思索をやめた。もう十一月だったため夜ともなると吐く息が白かった。真琴はその息の流れゆく先を目で追った。それはオレンジ色の街灯に溶けて消えた。ニュータウンが明るすぎるためか、あるいは東都の空気が濁っているためか、晴れているのに星は一つも見えなかった。真琴は唐突にこの黒いだけの空がどこか別の国やあるいは別の星やあるいは別の世界と繋がっていて、そのどこかに由衣がいるような気がした。
「わからない」
真琴はそう呟いた。その先輩とその女の子とはそれ以来会うことはなかった。
明日で母が死んだ日から五年、由衣が樹海に消えた日から四年になるという日、真琴は久しぶりに悠樹に通話を掛けた。しかし悠樹は留守だった。真琴は少し迷ってから杏奈に掛けた。杏奈は二回目のコールで出た。
「もしもし」
「もしもし」
「久しぶりだね」
突然の深夜の通話なのに杏奈は嬉しそうだった。真琴も調子を合わせることにした。
「久しぶり」
「真琴? どうしたの?」
真琴はぎくりとした。杏奈はやけに鋭いところがあった。「どうしたの?」は突然の通話に対するものか、自身の内面を声色から見透かされてのものか。
「いや、なんとなく。ずっと連絡してないなって」
「ほんとだね。めっちゃ久しぶり」
「元気?」
「うん元気だよ。真琴は?」
杏奈は昔と少しも変わっていないようにも、どこか少し大人っぽくなったようにも思えた。また、杏奈との距離感も昔のままのようにも、遠く隔たってしまったようにも思えた。
「俺も元気」
「そっかあ。またみんなで遊びたいね」
「何して遊ぶ?」
「卓球」
杏奈は即答したが、真琴はその答えを唐突に感じた。
「卓球?」
「市民体育館でしたじゃん」
「うん」
「卓球がしたい」
「そっか。うん。したいね」
「うん」
それから二人はたくさんの昔話をした。杏奈に明日の予定を聞くと朝の八時半からカフェでアルバイトだと言った。「じゃあ早く寝ないとね」と真琴は言った。「いいよ全然。もっと話そうよ」と杏奈は言った。「それじゃ悪いから、また話そうよ」と真琴が言うと杏奈はしぶしぶ了承して通話は終わった。
そうじゃない生き方もあったと思う。
たくさんの人を傷つけた。もう償えない。どうしたって取り返しがつかない。一番謝りたい人はもういない。
ずっと同じことを繰り返してる。ずっと同じことを繰り返し続ける。
翌日真琴は電車で月見が丘へ向かった。はじめは満員だったが、月見が丘へ近づくにつれ人はまばらになり、着く頃には同じ車両に三、四人しかいなくなった。車窓から月見が原の森が見えると真琴は窓に頭を預けてそれをぼんやりと眺めながら涙をこぼした。月見が丘駅を出ると真琴は昔母と暮らしたアパートへと向かった。そこには新しく誰かが住んでいるようだった。何か懐かしい気もしたが、昔そこに住んでいたことが嘘だったかのようにまったく別の家のようにも見えた。
次に真琴は悠樹たちとよく歩いた通学路の並木道を歩いた。思い出は蘇ってきたが、同時にそこはまったく知らない道のようにも思えた。小学校と中学校にも寄ってみた。途中で悠樹や翔吾と話した公園にも寄った。それからウサギ教の施設の跡地を目指した。ウサギ教の施設は事件のあと高校生の頃に解体されて平坦な更地になっていた。施設がなくなって更地になると、そこはあれほど巨大な施設があったことが嘘のように狭く感じた。
そこから少し歩いて真琴は樹海の遊歩道の入り口に立った。ほとんどためらうことなく真琴はその暗がりに歩を進めて行った。彼はその途中の社のあるところで道を外れ、深い森へと歩を進めた。遊歩道を外れると地面は急に木の根と石と苔に覆われ、起伏に富み、歩くたびに体は上下に揺られ、足腰は疲れ、息は切れた。特に目的地をもたない彼は自身の感覚の赴くままに歩いた。木々に覆われると自分が真っ直ぐに歩いているのか斜めに歩いているのかさえわからなかった。しばらく歩いて振り返るともうそこには遊歩道も社もなかった。戻ろうと思えば遊歩道に戻れるような気もしたが、真っ直ぐ引き返しても遊歩道には永久に行き当たらないような気もした。
真琴は何気なくスマートフォンを見た。電波は圏外だったが、それ以上に着信があることが気になった。かけてきていたのは杏奈と悠樹と翔吾だった。杏奈はやはり昨日の通話で自身の様子がおかしかったことを看破していたのかもしれないと真琴は思った。杏奈に心配をかけてしまったことを深く反省し、真琴は心の中で謝った。悠樹からの着信は単純な折り返しだろう。翔吾からの珍しい着信はどういった意図のものか真琴にはわからなかった。
真琴はさらに歩を進めた。一時間ほど歩くと何となく真琴は疲れて木にもたれかかって休んだ。地面は湿っていて冷たかったが、ほどなく慣れた。一度腰を下ろしてしまうとそこから動く気はまったく起きなくなった。いっそもうそのまま動かなくても良いような気がした。樹海の空気は真琴が思っていた以上に冷たかった。歩くのをやめると途端に急激に体の芯が冷えた。しかしこのまま寒さによって感覚が失われてしまうならそれも良いような気がした。真琴は体重のすべてを木の幹と地面に預け、体の感覚のすべてを樹海の空気に預けた。彼は目を閉じた。
真琴は声を聞いた。その声で目を覚ました。いつの間にか眠ってしまったらしい。視界はほぼ真っ暗で月明かりしかない。木と地面の固い感触があって、冷え切ってはいるが体はまだ動く。どうやら死んではいないらしい。
「たすけて」
女性の声がした。森のどこか遠くから聞こえるようでもあり、耳朶に直接響くようでもあった。真琴は立ち上がった。声は再び聞こえた。
「たすけて」
真琴はその声に聞き覚えがあるような気がした。だが由衣とも違う。杏奈とも母とも違う。森で迷った誰かだろうか。
「たすけて」
真琴は呼び掛けた。
「どこ?」
「たすけて」
真琴は再び呼び掛けた。
「聞こえる?」
しかし声はそこでやんだ。真琴は焦って声を張った。
「ねえ! 聞こえる?」
真琴は声の聞こえてきたような気のする方向へと歩を進めた。木々の間からこぼれるかすかな月明かりだけを頼りにしているため、どこに何があるのかほとんどわからない。暗がりの中でいろいろなものに蹴躓きながら、真琴は手探りで進んだ。彼は必死に叫んだ。
「おい! 返事しろ! 諦めんなよ! 今助けてやるからな!」
そのとき唐突に真琴は思い出した。四年前にもここで同じ声を聞き同じことを言ったことを。真琴は愕然とし、呟くように言った。
「誰だお前。何で俺に助けを求める…」
すると真琴の視界が急に明るくなった。視界を白い光が染めた。真琴は目を細めながらその光の発生源を確かめようとした。ところがそれは自分自身だった。自分の体が、手が、足が光を放っているのだ。
「何これ…」
すると真琴の視界の中で自身の手が透けていった。手の向こう側の木や地面が透けて見えるのだ。それとともに光も弱くなっていき、体の感覚も薄れていった。真琴は自身が消えてしまうのだと悟った。これが死かと思った。しかし死にしてはそれは皮肉なほど柔らかく甘美な感覚だった。やがて真琴は唐突に光とともに消えた。樹海は再び本来の暗闇に覆われた。
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