お前を独り占め

新橋泉

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お前を独り占め

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俺は今日12年間暮らしてきたこの街を、さよならする。雨が降っていなくてよかった。沢山手紙をもらったなぁ…次行く街はどんな所だろう。楽しいかな?
「矢城ー。行くわよ」
あっ母さんの声だ。早く行かなきゃ。でも、この街とさよならしたくない。
「矢城早くぅー」
「はいはい」
緑が多いこの街を、さよならか・・・いつか帰ってくるからな。ばいばい・・・
「もう遅い。おねぇちゃんもおにぃちゃんも矢城を待っていたのよ」
母さんもこの街好きって言ってたのに、なんでだろう
「今日母さん変だよな。姉貴」
「久しぶりに父さんと暮らすからでしょ」
あっそっか、引っ越す理由それだったっけ?忘れてた。ごめん母さん。
「隣町だったらいいのに他県まで行くとか、聞いてなかったし。」
姉貴昨日から、そればっかだな。まぁしょうがねぇよな、好きな先輩と離れ離れになるんだし。
「何よ。その顔」
「ごめんごめん。早く行こ」
車から見えた景色は、ほとんど覚えていないけど、寂しそうな風が、車に当たったことだけ覚えていた。初めて車で5時間過ごした。そして俺が住む街にやってきた。空気が変わった気がした。
「おっ矢城。大きくなったな」
父さんも、見ないうちに大きくなってる。お腹が・・・
「優希も、絵美莉も」
「私大きくなったと?」
うわー。父さん姉貴にそれは、行っちゃだめだろ。ちょっとバカなところは、変わらね。
「ごめん。絵美莉。お前は可愛くなったな」
ご機嫌とった。
「そう。可愛くなった?ってうれしすぎ」
姉貴はチョロすぎ。
それから、学校の手続きをして、家に戻ろうとした時だった・・・

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