45 / 53
裏切り者
しおりを挟む
この旅は、とっても疲れるものだった。
早くシェトラに会って癒されたい。ルータリア帝国から美味しいお菓子を持ってきたの。シェトラにあげたら、喜ぶかしら。
城にたどり着くなり、ダスティと一緒にシェトラのいる牢屋に駆け付けた。ライリーも何故か私についてきた。もしかしたら、私の思考を探っているのかもしれない。だけど、今はそれどころじゃない。早く誰よりもかわいいあの子に会いたい。
私が帰ってきたことに気がついたシェトラは、天使のように微笑んだ。
「おかえりなさい、ユリア様」
そして、懐から銃を出して引き金を弾いた。
「うぐっ……」
腹部に激しい痛みを感じる。
「ユリア様!!!!」
「ユリア!!!」
ダスティとライリーが駆け寄ってくる
ユリアって……私は、皇族なんだから、呼び捨てなんてしないで欲しいな……。そう言ってやりたいのに、舌が動かない。
血が足りないのかしら……。
指先さえも動かせない。
力を失ってその場に倒れていく。
背後から、誰かに抱きしめられたかもしれないが、それを確認する余裕はなかった。
* *
倒れるユリアを受け止めたのは、ライリーだった。
どうして自分がそんなことをしたのか、自分でもわからない。ハンスは素早くシェトラから銃を力づくで奪って、彼を拘束した。
「離せっ」
シェトラを押さえつけたハンスは、銃を二度とシェトラの手に届かないように牢屋の外に飛ばした。
腕の中にいるユリアは、意識がない。
そばにいたダスティに「早く医者を呼んで来い」と怒鳴りつける。彼は、一瞬だけ不満げな顔をした後にすぐに走り出した。
ユリアの傷口を布で圧迫する。
しっかりしろ、ユリア……。
お前は、こんなに簡単に死ぬ女じゃないだろう。嵐みたいに激しく生きている女だ。こんなところで、奴隷に殺されて死ぬな。
お前に死なれると俺が困るんだよ。お前がいないと俺は……。
「離せっ!離せよ!!!」
シェトラは、ハンスの下で暴れている。
「どうしてユリアを撃った?」
「ああん?皇族なんて大嫌いだからだ。美味しいものをたらふく食べて、何の苦労もしていない人間が嫌いだ!!あいつらは、カルタヤ人の気持ちなんて一ミリも理解していない」
彼は、さっきまでの天使のような顔から、怒りと憎しみに満ちた悪魔のような顔になって怒鳴りつけた。
「この銃は、誰からもらった?」
「……」
「答えなければ拷問するぞ」
「すればいい。俺を殺したければ、殺せばいい。ただし、その頃には状況が全部、変わっているだろうけどな」
少年は、まるでライリーを嘲笑うように不気味な笑みを浮かべた。
早くシェトラに会って癒されたい。ルータリア帝国から美味しいお菓子を持ってきたの。シェトラにあげたら、喜ぶかしら。
城にたどり着くなり、ダスティと一緒にシェトラのいる牢屋に駆け付けた。ライリーも何故か私についてきた。もしかしたら、私の思考を探っているのかもしれない。だけど、今はそれどころじゃない。早く誰よりもかわいいあの子に会いたい。
私が帰ってきたことに気がついたシェトラは、天使のように微笑んだ。
「おかえりなさい、ユリア様」
そして、懐から銃を出して引き金を弾いた。
「うぐっ……」
腹部に激しい痛みを感じる。
「ユリア様!!!!」
「ユリア!!!」
ダスティとライリーが駆け寄ってくる
ユリアって……私は、皇族なんだから、呼び捨てなんてしないで欲しいな……。そう言ってやりたいのに、舌が動かない。
血が足りないのかしら……。
指先さえも動かせない。
力を失ってその場に倒れていく。
背後から、誰かに抱きしめられたかもしれないが、それを確認する余裕はなかった。
* *
倒れるユリアを受け止めたのは、ライリーだった。
どうして自分がそんなことをしたのか、自分でもわからない。ハンスは素早くシェトラから銃を力づくで奪って、彼を拘束した。
「離せっ」
シェトラを押さえつけたハンスは、銃を二度とシェトラの手に届かないように牢屋の外に飛ばした。
腕の中にいるユリアは、意識がない。
そばにいたダスティに「早く医者を呼んで来い」と怒鳴りつける。彼は、一瞬だけ不満げな顔をした後にすぐに走り出した。
ユリアの傷口を布で圧迫する。
しっかりしろ、ユリア……。
お前は、こんなに簡単に死ぬ女じゃないだろう。嵐みたいに激しく生きている女だ。こんなところで、奴隷に殺されて死ぬな。
お前に死なれると俺が困るんだよ。お前がいないと俺は……。
「離せっ!離せよ!!!」
シェトラは、ハンスの下で暴れている。
「どうしてユリアを撃った?」
「ああん?皇族なんて大嫌いだからだ。美味しいものをたらふく食べて、何の苦労もしていない人間が嫌いだ!!あいつらは、カルタヤ人の気持ちなんて一ミリも理解していない」
彼は、さっきまでの天使のような顔から、怒りと憎しみに満ちた悪魔のような顔になって怒鳴りつけた。
「この銃は、誰からもらった?」
「……」
「答えなければ拷問するぞ」
「すればいい。俺を殺したければ、殺せばいい。ただし、その頃には状況が全部、変わっているだろうけどな」
少年は、まるでライリーを嘲笑うように不気味な笑みを浮かべた。
応援ありがとうございます!
0
お気に入りに追加
50
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる