殺された俺、今世はヤンデレ美形に溺愛されています

夜刀神さつき

文字の大きさ
5 / 21

調査

 しばらくすると、エアハルトは、俺から身体を離してくれた。俺は、すぐに後ずさってエアハルトから距離をとった。
 ふー。エアハルトから離れると、空気が美味しく感じられる。
 今日は、何とかして帰ってもらわないといけない。

「あ、あのさ……エアハルト。俺、体調が悪いから、残念だけど、もう帰ってくれない?」

 エアハルトは、心配そうに俺の方に近づいてくる。

「大丈夫?俺が看病してあげるよ」

 お前がいると体調が悪化するんだよ!
 そう怒鳴りつけたいのを必死でこらえて、具合が悪そうに壁にもたれかかる。

「エ、エアハルトの手を煩わせるわけにはいかないよ。俺は、休んでいればよくなるから、早く帰って。風邪かもしれないし、うつしてしまうかもしれない」
「ユリアン……。こんな時期に風邪をひくなんて、体調管理が甘いね。バカだな」

 とてもイラっとしたが、自分の中で怒りを治めることにした。
 どうして俺は、こんな無神経な奴と結婚してしまったのだろうか。
 自分がかわいそうで涙が出てきそうだ。

「はははは。うっかりしていたなー」

 俺の棒読み口調の声が響き渡る。

「そうだね。これからは気をつけてね」
「……」
「じゃあ、今日はもう帰るけれど、また来るよ。さようなら、愛しのユリアン」

 エアハルトは、ウインクをしながら投げキッスを飛ばしてきた。
 キモイ……。
 これを全然好きでもない男にできるのだから、サイコパスなのだろう。

「さようなら、エアハルト」

 俺は、エアハルトが出ていくと、すぐにドアのカギをしっかりと閉めた。



 ふうううううう。
 おでこについた汗を拭きながら、床に崩れ落ちる。
 大丈夫。俺はまだ生きている。エアハルトに殺されてはいない。

 さっきのエアハルトの服装は、記憶にあるものとそっくりだった。

 やはり、俺はエアハルトに殺されて、2年前に戻ったに違いない。
 夢みたいな出来事だけど、俺は確かに過去に戻っている。

 過去に戻って一番やりたかったことは、エアハルトとの婚約破棄だ。あんな男と結婚したことが、人生最悪の失敗だった。
 どうやってエアハルトとの婚約破棄をしよう。

 そもそも、エアハルトとの結婚は、親同士が決めたものであった。エアハルトも俺との結婚に反対していたわけではなく、積極的に俺を口説いてきた。昔の俺は、自分がエアハルトから愛されていると浮かれていたが、エアハルトは俺に魔力がたくさんあったから金が儲けられると目をつけていたに違いない。

 今から実家に帰ってエアハルトとの婚約破棄をしたいと言ったら、両親は、猛反対するだろう。俺みたいな出来損ないをもらってくれるのはエアハルトしかいないとよく言っていたからだ。

 エアハルトの浮気をしている証拠があれば、別れることができるだろうか。そもそも、エアハルトはいつから浮気をしていたのだろう。異性愛者だというなら、もうこの時期から他の女と浮気をしていたのではないか。マリリンとも、付き合っていた可能性もある。

 とにかく、何としても情報収集しなければならない。そして、エアハルトが浮気していることを暴いて、婚約破棄をするのだ。
 それができなければ、国外逃亡をしてでもエアハルトとの結婚から逃げよう。
感想 0

あなたにおすすめの小説

毒を孕んだ身代わりオメガ〜復讐の代償は皇帝の寵愛だった〜

ひなた翠
BL
「兄様の代わりに愛されるのなら、それでいい」 最愛の妻セレンを亡くし、再び暴君へと変貌した皇帝ヴァレン。その荒んだ心を鎮めるため、家臣団が下した残酷な決断――それは、亡き妻と生き写しの弟・リアンを「身代わり」として差し出すことだった。 生まれつき弱視なオメガのリアンは、幼い頃から密かにヴァレンに恋心を抱いていた。兄の香水を纏い、兄の振る舞いを装い、冷徹な皇帝の褥へと向かうリアン。正体が露見すれば死。嘘を重ねるたびに心は千切れるが、その激しい抱擁に、リアンは歪んだ悦びを見出していく。 だが、夜明けとともにヴァレンが放ったのは、氷のように冷たい一言だった。 「お前……誰だ」 身代わりから始まる、狂おしくも切ない執着愛の幕が上がる。

ストーカーから逃げ切ったのも束の間、転移後はヤンデレ騎士団に殺されかけている現実!

由汰のらん
ファンタジー
ストーカーから逃げていたある日、ハルは異世界に召喚されてしまう。 しかし神官によれば、どうやらハルは間違って召喚された模様。さらに王子に盾ついてしまったことがきっかけで、ハルは国外追放されてしまう。さらに連行されている道中、魔族に襲われ、ハルの荷馬車は置き去りに。 そのさなか、黒い閃光を放つ騎士が、ハルに取引を持ちかけてきた。 「貴様の血を差し出せ。さすれば助けてやろう。」 やたら態度のでかい騎士は、なんとダンピールだった。しかしハルの血が特殊だと知ったダンピールはハルを連れ帰って? いっそ美味しい『血』(治癒)と『体液』(バフ)と『癒し』を与えるダンピール騎士団のセラピストを目指します!

幼馴染みのハイスペックαから離れようとしたら、Ωに転化するほどの愛を示されたβの話。

叶崎みお
BL
平凡なβに生まれた千秋には、顔も頭も運動神経もいいハイスペックなαの幼馴染みがいる。 幼馴染みというだけでその隣にいるのがいたたまれなくなり、距離をとろうとするのだが、完璧なαとして周りから期待を集める幼馴染みαは「失敗できないから練習に付き合って」と千秋を頼ってきた。 大事な幼馴染みの願いならと了承すれば、「まずキスの練習がしたい」と言い出して──。 幼馴染みαの執着により、βから転化し後天性Ωになる話です。両片想いのハピエンです。 他サイト様にも投稿しております。

人気アイドルの俺、なぜかメンバー全員に好かれてます

七瀬
BL
デビュー4年目の人気アイドルグループ「ECLIPSE(エクリプス)」に所属する芹沢 美澄(せりざわみすみ)は、昔からどこか抜けていてマイペースな性格。 歌もダンスも決して一番ではないはずなのに、なぜかファンからもメンバーからも目を離されない存在だった。 世話焼きな幼なじみ、明るく距離の近い同い年、しっかり者で面倒見のいい年上、掴みどころのない自由人、そして無言で隣にいるリーダー——。 気づけば、美澄の周りにはいつも誰かがいて、当たり前のように甘やかされていく。

魔王の息子を育てることになった俺の話

お鮫
BL
俺が18歳の時森で少年を拾った。その子が将来魔王になることを知りながら俺は今日も息子としてこの子を育てる。そう決意してはや数年。 「今なんつった?よっぽど死にたいんだね。そんなに俺と離れたい?」 現在俺はかわいい息子に殺害予告を受けている。あれ、魔王は?旅に出なくていいの?とりあえず放してくれません? 魔王になる予定の男と育て親のヤンデレBL BLは初めて書きます。見ずらい点多々あるかと思いますが、もしありましたら指摘くださるとありがたいです。 BL要素までとても遠いです。前半日常会多め。

「ねぇ、俺以外に触れられないように閉じ込めるしかないよね」最強不良美男子に平凡な僕が執着されてラブラブになる話

ちゃこ
BL
見た目も頭も平凡な男子高校生 佐藤夏樹。 運動神経は平凡以下。 考えていることが口に先に出ちゃったり、ぼうっとしてたりと天然な性格。 ひょんなことから、学校一、他校からも恐れられている不良でスパダリの美少年 御堂蓮と出会い、 なぜか気に入られ、なぜか執着され、あれよあれよのうちに両思い・・・ ヤンデレ攻めですが、受けは天然でヤンデレをするっと受け入れ、むしろラブラブモードで振り回します♡ 超絶美形不良スパダリ✖️少し天然平凡男子

妖精です、囲われてます

うあゆ
BL
僕は妖精 森で気ままに暮らしていました。 ふと気づいたら人間に囲まれてました。 でもこの人間のそばはとても心地いいし、森に帰るタイミング見つからないなぁ、なんて思いながらダラダラ暮らしてます。 __________ 妖精の前だけはドロ甘の冷徹公爵×引きこもり妖精 なんやかんやお互い幸せに暮らします。

春野くんち―僕の日常は、過保護な兄弟たちに囲まれている―

猫に恋するワサビ菜
BL
春野家の朝は、いつも賑やかで少しだけ過保護。 穏やかで包容力のある長男・千隼。 明るくチャラめだが独占欲を隠さない次男・蓮。 家事万能でツンデレ気味な三男・凪。 素直になれないクールな末っ子・琉生。 そして、四人の兄弟から猫のように可愛がられている四男の乃空。 自由奔放な乃空の振る舞いに、兄たちは呆れながらも、とろけるような笑顔で彼を甘やかす。