光と闇を抱えたお嬢様〜アンデッドと不思議な剣〜

マコ

文字の大きさ
1 / 11
0章「プロローグ」

彼女の名はエリカ

しおりを挟む

ここはありふれた剣と魔法の世界「アトランティス」

剣を使って戦い、魔法で日常生活を豊かにしている、そんな世界

そしてアトランティスには、不思議な剣を持ったとても強い女性がいる
ある時は、長い銀髪をおろし、なびかせながら双剣を華麗に操り
またあるときは、長い黒髪をひとつにまとめ自分の身長と同じ大きさの大剣たいけんを豪快に操る


彼女の名は「エリカ・ヴァイス」


「王都セドニック」のヴァイス家のお嬢様だ


なぜが付くかというと、彼女は1度死にゾンビとして蘇っている


つまり不死者アンデッド


この世界では魔物モンスターがいたるところに蔓延はびこっている
あるいは深い森の中、あるいは遺跡ダンジョンの中、果てには湖や海といった水中にもいる

弱い魔物モンスターなら小鬼ゴブリン不定形生物スライムなどが、強い魔物モンスターならドラゴンオーガなどがあちこちにいる

魔物モンスターはニンゲンを襲う傾向がとても強いため、討伐が推奨すいしょうされている
そうでなくても、ニンゲンは貪欲どんよくな生き物
魔物モンスターの素材の価値を見出みいだし、生活の一部としている


先に出てきた不死者アンデッド魔物モンスターに分類される
そのため現在の彼女は不死者アンデッドなのを隠し、ただのエリカとして冒険者ギルドで活動している
なぜ彼女がニンゲンの生活圏で活動できるかは、またのちほど──



彼女の実家、ヴァイス家は伯爵家でありながらも代々聖騎士せいきしの家系ということもあり、民を守ることに重きを置いていた


また、エリカの父、ヴァイス家当主の「アレックス・ヴァイス」は王国騎士団の騎士団長をしている


そしてエリカは幼少の頃、父の戦う姿に憧れ、剣の鍛錬たんれんを騎士団の人達に混じっておこなっていた
また髪の色も冒頭のモノとは違い、美しいブロンドヘアーだった


もちろん、伯爵家のお嬢様なので社交界にも出るために、社交の所作しょさ、及びマナーの勉強もしていた


転婆てんばだったのもあいまって訓練時には着替えるのが面倒だった彼女は、『ドレスを着ながら剣を振ったほうが優雅ゆうがなのでは?』と、およそ伯爵家のお嬢様とは思えない破天荒はてんこうなことを考えるようになった
彼女が10才のとき、ちまたさわがせていた盗賊団「強欲グリード」を壊滅かいめつさせるために突き止めたアジトへ、父のアレックスと一緒に乗り込んだことがあった


初めもアレックスはエリカの実力を考慮こうりょし、何度も「ダメだ」とエリカに言ったが、それでも「わたくしも強くなりましたから、行きますわ!」と聞かなかった。
アレックスは『自分から絶対に離れないこと』を条件に渋々しぶしぶ同行を許した

エリカは「強欲グリード」のメンバーで比較的ヒョロい体型のぞくを見つけた
そして彼女は簡単に倒せると勝手に判断し、そのぞくに真正面から向かった

相手がヒョロいとはいえ、そんじょそこらの盗賊団では無いためかなりの手練てだれ


一撃一撃をいなされ、返り討ちにあう


的確に心臓を狙われ、彼女は呆気なくこの世を去った


盗賊団「強欲グリード」は父の騎士団により壊滅した


エリカただ1人の犠牲者を出して


父アレックスは同行を許可したのを悔いた


転婆てんばが過ぎるとは思ったがここまでとは思わなかった
そして2度として最愛の娘は帰らぬ人となったのだ


結果として決断したのはアレックス


娘を死地に向かわせた、その罪を一生背負って生きていくことになる


エリカを墓地に埋葬まいそうし、団長の座を辞退した


アレックスは2度とこのような事がないように徹底てっていして鍛える鬼教官として後生ごしょうをすごした




のち不死者アンデッドとなった娘と再開することになったのは、また別の話──』





    
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

幼女はリペア(修復魔法)で無双……しない

しろこねこ
ファンタジー
田舎の小さな村・セデル村に生まれた貧乏貴族のリナ5歳はある日魔法にめざめる。それは貧乏村にとって最強の魔法、リペア、修復の魔法だった。ちょっと説明がつかないでたらめチートな魔法でリナは覇王を目指……さない。だって平凡が1番だもん。騙され上手な父ヘンリーと脳筋な兄カイル、スーパー執事のゴフじいさんと乙女なおかんマール婆さんとの平和で凹凸な日々の話。

勇者パーティーを追放されました。国から莫大な契約違反金を請求されると思いますが、払えますよね?

猿喰 森繁
ファンタジー
「パーティーを抜けてほしい」 「え?なんて?」 私がパーティーメンバーにいることが国の条件のはず。 彼らは、そんなことも忘れてしまったようだ。 私が聖女であることが、どれほど重要なことか。 聖女という存在が、どれほど多くの国にとって貴重なものか。 ―まぁ、賠償金を支払う羽目になっても、私には関係ないんだけど…。 前の話はテンポが悪かったので、全文書き直しました。

妻からの手紙~18年の後悔を添えて~

Mio
ファンタジー
妻から手紙が来た。 妻が死んで18年目の今日。 息子の誕生日。 「お誕生日おめでとう、ルカ!愛してるわ。エミリア・シェラード」 息子は…17年前に死んだ。 手紙はもう一通あった。 俺はその手紙を読んで、一生分の後悔をした。 ------------------------------

スラム街の幼女、魔導書を拾う。

海夏世もみじ
ファンタジー
 スラム街でたくましく生きている六歳の幼女エシラはある日、貴族のゴミ捨て場で一冊の本を拾う。その本は一人たりとも契約できた者はいない伝説の魔導書だったが、彼女はなぜか契約できてしまう。  それからというもの、様々なトラブルに巻き込まれいくうちにみるみる強くなり、スラム街から世界へと羽ばたいて行く。  これは、その魔導書で人々の忘れ物を取り戻してゆき、決して忘れない、忘れられない〝忘れじの魔女〟として生きるための物語。

追放された私の代わりに入った女、三日で国を滅ぼしたらしいですよ?

タマ マコト
ファンタジー
王国直属の宮廷魔導師・セレス・アルトレイン。 白銀の髪に琥珀の瞳を持つ、稀代の天才。 しかし、その才能はあまりに“美しすぎた”。 王妃リディアの嫉妬。 王太子レオンの盲信。 そして、セレスを庇うはずだった上官の沈黙。 「あなたの魔法は冷たい。心がこもっていないわ」 そう言われ、セレスは**『無能』の烙印**を押され、王国から追放される。 彼女はただ一言だけ残した。 「――この国の炎は、三日で尽きるでしょう。」 誰もそれを脅しとは受け取らなかった。 だがそれは、彼女が未来を見通す“預言魔法”の言葉だったのだ。

【完結】捨て去られた王妃は王宮で働く

ここ
ファンタジー
たしかに私は王妃になった。 5歳の頃に婚約が決まり、逃げようがなかった。完全なる政略結婚。 夫である国王陛下は、ハーレムで浮かれている。政務は王妃が行っていいらしい。私は仕事は得意だ。家臣たちが追いつけないほど、理解が早く、正確らしい。家臣たちは、王妃がいないと困るようになった。何とかしなければ…

人質5歳の生存戦略! ―悪役王子はなんとか死ぬ気で生き延びたい!冤罪処刑はほんとムリぃ!―

ほしみ
ファンタジー
「え! ぼく、死ぬの!?」 前世、15歳で人生を終えたぼく。 目が覚めたら異世界の、5歳の王子様! けど、人質として大国に送られた危ない身分。 そして、夢で思い出してしまった最悪な事実。 「ぼく、このお話知ってる!!」 生まれ変わった先は、小説の中の悪役王子様!? このままだと、10年後に無実の罪であっさり処刑されちゃう!! 「むりむりむりむり、ぜったいにムリ!!」 生き延びるには、なんとか好感度を稼ぐしかない。 とにかく周りに気を使いまくって! 王子様たちは全力尊重! 侍女さんたちには迷惑かけない! ひたすら頑張れ、ぼく! ――猶予は後10年。 原作のお話は知ってる――でも、5歳の頭と体じゃうまくいかない! お菓子に惑わされて、勘違いで空回りして、毎回ドタバタのアタフタのアワアワ。 それでも、ぼくは諦めない。 だって、絶対の絶対に死にたくないからっ! 原作とはちょっと違う王子様たち、なんかびっくりな王様。 健気に奮闘する(ポンコツ)王子と、見守る人たち。 どうにか生き延びたい5才の、ほのぼのコミカル可愛いふわふわ物語。 (全年齢/ほのぼの/男性キャラ中心/嫌なキャラなし/1エピソード完結型/ほぼ毎日更新中)

処理中です...