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ライトサイド 第1話 「勇者?」
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「ルクス……大好きだよ」
光り輝く少女は、最後に最高の笑みを浮かべた。
こことは異なる異空間へと、魔王と魔族を封印する。
分かりやすく表現すれば、それは閉じ込める為の『蓋』の役割だ。
中身を押さえつける『蓋』に、開かないように『鍵』をかける。
発光し、世界が白く染まっていく中で、青年は叫ぶ。
「やめろ! やめるんだっ!」
誰かの犠牲の上に成り立った勝利や平和など、欲しくはない。
青臭いと言われようとも、青年は本気でそう思っていた。
思い通りに行かないシステムに、抗議の声をあげる。
「………ごめんね」
困ったような、はにかむような、ごちゃ混ぜになった表情で少女は消えていく。
「セフィ……セフィ………僕は……僕は………」
理由は分からない。
だが、この話を知っている。
この帝国の人間なら誰でも知っているおとぎ話。
勇者が仲間たちと魔王を封じ平和を得た、そんな普通の話。
話自体は知っている。
だが、ここまでの臨場感で再現されるこの状況は一体、何なんだろうか?
ぐらり、ぐらりと世界が揺れる。
『聖女』『義務』『犠牲』『魔王』『勇者』。
様々な単語が頭をぐるぐると駆け巡り、視界は光に包まれる。
「………ス…………………―クス……」
<そう、これは僕の記憶であって、君の記憶ではない>
脳裏に響く、青年の声。
(なんというか、随分珍しい夢だなぁ……)
<僕が……>
ごがしゃっ!
「ふぬおわっ!!」
容赦ない鉄拳が後頭部に炸裂し、少年が珍妙な悲鳴を上げる。
「リュークス、私の授業中に居眠りとは…いい度胸ね?」
視界が急速に鮮明になる。
見覚えのある教会の一室。
机に突っ伏すリュークスと、それを見下ろす尼僧(シスター)。
そして、周囲から漏れ聞こえる、くすくすという笑い声。
『子供たちへの義務教育』などという概念の無いこの世界。
子供たちは、貴重な働き手として農作業に駆り出されるのが普通だ。
教育を受けられるのは、貴族や経済的に裕福な層の子供たちだけである。
だがこの村、セリオン領土にある『勇者の生まれる村』は例外と言える。
その名の通り代々勇者を生み出してきたと言われるこの村では、帝国からの補助もあり、教育を受ける事が出来る。
「さて、居眠りリュークス君。
君が暢気に居眠り出来るのも、帝国が平和なのも、『勇者』が世界を救ってくれたからなのよ。
そしてその『勇者』をバックアップするのが、聖ルコナーア教会の神父や尼僧たちね」
手加減の欠片もなくリュークスをぶん殴った尼僧、シュティーは、話を続ける。
シスターの服装ながら、律動的に動く様子は、新人教師と言った様子だ。
「『勇者』だからって、絶対に『魔王』に勝てるわけじゃない。
世界を旅して、各地に存在する力を得なければならない。
その旅を手伝うのも、やはりあたしたちなわけよ」
ボリュームある胸を張り、シュティーは誇らしげに言う。
「………チチデカの魔獣(ぼそり)」
殴られたリュークスの聞こえるか聞こえないかくらいの報復(呟き)。
「形骸化しているけど、神父たちはその旅をなぞる必要があって、それが巡礼と言うんだけど……そりゃ!
その巡礼の旅はこの村にもやって来るのよっ……と、その教会関係者への道案内を、誰かにやって貰いたいのよ………ねぇえええ……うりゃ!」
にこやかに話ながらも、若いシスターは俊敏かつ的確な動きでリュークスに関節技を決める。
具体的に言うならば、コブラツイスト。
「うごっ!? ぐ……うぐぐぐぐ」
「あー、誰か快く道案内を引き受けてくれる良い子はいないかしらねぇ~」
そこから華麗に、卍固めへと移行する。
「ぎぎぎぎ…ギブギブ!!」
「あたしの聞きたい言葉は、そんな言葉じゃなくって~」
さらに一段階、締め付けが強くなる。
「ぎゃあああああああ! やります! やればいいんでしょう!
その案内、僕にやらせて下さいぃいいいいいい!!」
「あら、そう。ありがとうリュークス君」
教師シュティーは、何事もなかったかのような笑みを浮かべる。
「せんせー、巡礼に来る教会関係者って、男っすか、女っすか?」
リュークスの友人、ガッタが質問する。
「女の人の場合、若いですか?」
友人マールも追加で質問を加える。
「女性が来る事、前提の質問ありがとう。
結論から言うと女性、しかも若いわよ」
おおおおぉ、とクラスの半数(男)から声が上がる。
「あたしの後輩で、『百年に一人』と呼ばれるほどの才女よ。
神聖術法のレベルはかなりのもんだし、格闘術もあたしと互角だもん」
歓声が、えぇ~、という落胆の声へと変化する。
声の主たちはルコナーア教のシスターという事で、おしとやかな女性を想像していたに違いない。
ルコナーア教の神父や尼僧は、『勇者』の手助けをする為に戦闘訓練を受けている。
その戦闘能力の高さは、この場のシスター、シュティーを見ても明らかだ(?)。
その格闘技を目の当たりにしているクラスの男たちにとって、それと互角……
物静かなシスター像が、がらがらと音を立てて崩れているのだろう。
「ぬぅうう……お約束通りの外見筋肉女か…いや、やはり別パターンのお約束で美人か…
しかし、さらに意表を突いてやはりゴリラ雌……しかし、それで誰が得するんだ……」
マールは一人ぶつぶつと呟いている。
「そうねぇ、そんな大事な後輩だもんね。案内役にガッタ、マールあんたらも追加」
尼僧は今晩の献立を決めるくらいの口調で、それを決定したのだった。
「邪よ……退け」
凛とした女性の声と共に、その手から不可視の衝撃波が発せられる。
襲ってきた2メートル近い魔獣が、吹き飛ぶ。
それだけで魔獣は戦意を喪失したようで、一目散に逃げ出す。
「「す、すげえ……」」
案内役となったリュークスたちから、感嘆の声が漏れる。
「さぁ、進みましょう」
そう言うと、シスターフィリスは柔らかく微笑んだ。
『百年に一人』、そう呼ばれるほどの才女。
長い艶やかな髪に、整った顔立ち。
やや小柄な身体を包むような純白の神官服。
その白い肌は絹のように柔らかそうだが、充分なしなやかさをも併せ持つ。
そして『聖職者(シスター)』というイメージ通りの物静かな様子は、ガッタやマールが思わずガッツポーズを取るほどのものだ。
「フィリスさんは、僕たちと同じくらいの年齢なのに強いんですね……
シュティー先生と互角ってのも、本当なんですか?」
女性に『強い』などと言う鈍感なリュークスの発言にも、彼女は嫌な顔一つしない。
「先輩とは何度か手合わせして貰いました。
まだまだ及ばないとは思いますが、いずれ現れるであろう『勇者』様の力になれるよう修行していますので」
にっこりと微笑む。
それだけでリュークスたちの顔が紅くなる。
「リュークス、お前だけ、ずるい。…じゃなくて聖女様、こちらです!」
ガッタとマールが、争って道案内を始める。
「ありがとうございます。…………あ、そこの足下、気をつけて下さいね」
フィリスは穏やかに微笑み、巡礼を再開する。
(……?)
それに気づいたのは、リュークスだけだった。
「あの……フィリスさん、どうかしましたか?」
「え?」
問われたフィリスはびっくりした様子で、リュークスを見る。
「あ、いや……すいません」
なんとなく謝ってしまう少年。
女性神官がほんの一瞬、険しい顔をしたように思えたのだ。
しかし、それは気のせいだったのかもしれない。
「あ……いえ。……ほんの少しだけ疲れたのかもしれません」
そんな少年を見ながら、フィリスは内心を隠し、言葉を選ぶ。
一瞬ではあるが、何かの気配を感じたのだ。
かなり強力な、それも穏やかでない類の気配。
今は消えているので、確信までは持てない。
その気配を探っていた様子を、リュークスに問われた。
(周囲に不安を与えるようでは、私はまだまだ未熟……)
『聖女』たる者、周囲に不安を与えてはならない。
そう考え、彼女は「疲れたかもしれない」と答えたのだ。
フィリスは有能ゆえに、その気配に気づきかけたが、全知全能の神ではない。
未来の全てを予測するなど不可能である。
「そうですか、じゃあ少し休憩しましょう」
彼女は後に後悔する事になるが、それを責めるのは酷というものだった。
「くすくすっ……ながぁいお休みから、目覚めた気分はいかが?」
楽しげな、どこか軽い女性の声が洞窟内に響く。
薄暗い洞窟と同色の黒いローブをまとった人影が、くすくすと笑う。
「……ここは……私は封印されていたのか………くっ、忌々しい」
楽しげな声に応えたのは、逆に不機嫌な声。
声の主はゆっくりと起き上がる。
艶やかに伸びる長い髪。
すらりと伸びた手。
肉付きはやや薄いが、その体は女性特有の柔らかさと膨らみがある。
だが、彼女は人間では無い。
何故なら、彼女の腰よりも下にあるのは二本の足では無く、鱗に覆われた蛇のものだったからだ。
ラミアと呼ばれる魔物である。
「その気配……お前も『闇の娘』か。そして私の封印を解いたという事は……」
ラミアの女性は久方ぶりの肉体の感覚を確かめるように、身体を動かす。
「ええ、魔王様が復活されました。ですので、ご協力願いますわぁ、アルミラさん」
同格である同じ『闇の娘』。
いや、魔王にそれを認められたのは自分の方が早いはずだ。
にも関わらず、この口の利き方……
「……ふん、まずは人間たちから力を奪い取らないと」
アルミラは釈然としないものを感じながらも、一応封印を解いたのが目の前のローブの女だと思い、不機嫌そうに答える。
「くすくすっ、丁度良い事にこちらに向かっている人間たちが居るわよ?」
黒ローブの女は、愉しそうに笑っていた。
「ガッタさん、マールさん、下がって!」
フィリスの真剣さを含む声に従い、二人ともダッシュで下がる。
彼女が魔獣の気配を敏感に察知したのだろうと思い、足手まといにならない為の措置だ。
「へぇ~。なかなか上物じゃない」
獣の唸り声が聞こえてくるかと思いきや、予想に反し聞こえてきたのは女性の声だった。
「あ、あれ? 女の人? ……あ、いや、魔物か」
「……ラミアです。それもかなり………強い」
フィリスが油断無く、メイスを構える。
現れたのは上半身が人間の女性、下半身が蛇の魔物、アルミラだ。
「その服、くそ女神のくそ神官ね。昔っから随分としつこいわねぇ」
不覚を取った過去を思い出したのか、魔族の女は、その神官服を認め毒づく。
「封印されていた魔物ですね。……考えようによっては丁度良いでしょう。
あなたを再び封印します」
少女が静かに宣言し、気を張り巡らせる。
「封印? この私を? ……笑えない冗談だねぇ。小娘が」
アルミラが腕を振ると、鋭く伸びる爪が広がる。
「……ルコナーア様、ご加護を」
フィリスは短く唱え、全身に気を滾(たぎ)らせる。
そして二人の戦いが始まった。
― ◇ ― ◇ ― ◇ ―
「くっ! 万全の体調であれば、こんな小娘にっ!!」
アルミラが、口惜しげに言葉を吐く。
当初は互角であった戦いも、時間と共に勝敗がはっきりとしてきた。
それは、すっかり観戦モードに入っていたリュークスたちにも分かるほどだ。
「凄いや、フィリスさん!」
「勝てますよっ、聖女様っ!」
少年たちから歓声が上がる。
「くすくすっ……勝って貰っちゃ困るのよねぇ」
突然沸いた別の女性の声。
「「えっ」」
そして、その声と同様に黒い靄(もや)のようなものが、広がる。
「なんだ、これ………黒い……霧??」
少年たちの腹から胸、そして顔のすぐ近くまで黒い霧が広がって行く。
「しまった! ガッタさん、マールさん、リュークスさん!」
状況に気づき、フィリスが声を上げる。
だが、それに答える声は無い。
「しゃあああああっ!!」
三人に気を取られていた隙に、アルミラの爪の一撃が振るわれる。
「くっ………」
フィリスは飛び退き、距離を取る。
「くすくすっ……だめよ、目の前だけじゃなくって周囲も気をつけないと」
女性の声が、黒い霧の中から響く。
「くっ……三人を放して下さい。その人たちは、無関係です」
人質を取られた不甲斐なさ、悔しさにフィリスはメイスを強く握る。
「くすっ、どうしようかしら?
あなたのお願いを聞いてあげてもいいけど、そうすると私のお願いも聞いて貰いたいわ」
黒い霧から響く声に、尼僧は手にしたメイスを放り投げる。
見た目よりも重量のあるそれが、ごろりと転がった。
「……これで良いですか」
フィリスが悔しげに言う。
「ふんっ、新入りに助けられるのは癪に障るが……借りといてやる。
さぁて……動かないでね」
劣勢だったアルミラは、ゆっくりとフィリスに近づく。
「………っ!?」
無抵抗の少女神官の身体に、アルミラの蛇部分が絡みつく。
フィリスは完全に動きを封じられる。
「ほほほほっ!」
毒々しい長い爪がフィリスへと伸び、たやすく神官服を引き裂く。
みずみずしい白い肌が露出する。
「んっふふふ。つやつやした肌。羨ましいわねぇ」
「くっ……嬲(なぶ)るというのですか」
羞恥と悔しさから、フィリスの肌が赤く染まる。
「そんなんじゃないわ………ただ」
アルミラの紅い舌が、少女の白い首筋を舐め上げる。
「血を貰うだけよ」
ラミアは、少女の首筋に歯を突き立てた。
状況は完全に不利だ。
黒い霧の中、リュークスは思う。
この場に居たのがフィリス一人であれば負けなかっただろう。
それに不利になれば、逃げるという選択肢もある。
彼女の力なら、難しくは無い。
だが、少年たちが人質に取られている今の状況では、それは不可能だ。
「僕たちの事より、逃げてフィリスさん! くそっ! この霧」
いくらリュークスが声を上げ動いた所で、霧は晴れない。
自然界に存在しないこの黒い霧は、魔族の能力なのだろう。
そしてフィリスは、今、ラミアに噛み付かれた。
血と共に命を吸われている。
「早くっ! 早くなんとかしないとっ!!」
この数メートル先さえ見えない霧を脱出して……
(あれ? なんでフィリスさんが危ないって分かるんだ、僕?)
少女神官の危機は、黒い霧の中見えないはずである。
冷静に考えれば、リュークスにそれが見えるはずがない。
<僕の力で見ているんだ。まやかしじゃなく実際に今、起こっている状況だ>
リュークスの脳裏に、唐突に若い男の声が響く。
「なっ、誰!? いや、そんな事よりも……」
<力が欲しいかい? この状況を打破出来る力を>
少年の思考を先回りしたかのような言葉。
言葉だけ聞いていれば、焦らすような言い回しだが、不思議とリュークスはそう感じない。
まるで必要な手順を踏んでいる、そんな印象を受ける。
「力? この状況をどうにか出来るのか? だったら……」
<けど、力を得たら君は責任も負う事になる。それでも…>
「早くしてくれっ! 人の命が、フィリスさんやガッタやマールが危ないんだ!」
まとわりつく黒い霧の中、リュークスが叫ぶ。
自分の力で誰かを助けられるならば、助けたい。
それは謝礼を期待してのものではない。
人間に元から備わっている、純粋な感情。
「よく分からないけど、何か方法があるならやってくれ!
今、使わないでいつ使うっていうんだっ!!」
声の主の顔は分からない。
だが、納得して頷いたように、リュークスには思えた。
<ここに契約は成された。……呼ぶんだ。君のみが扱える『勇者』の力を>
「えっ?」
黒い霧を操るローブの女性は、それに驚きの声をあげた。
光の尾を引きながら、何かが飛来し、地面へと突き刺さる。
「この光……この力…………まさか………『勇者』の………」
黒い霧が霧散する。
突き刺さっているのは、光り輝く一振りの剣。
霧の拘束が無くなり、友人たちが倒れ込む。
(胸が上下している……大丈夫、二人は死んでない)
リュークスは冷静に、当然のように目の前の剣を引き抜く。
「はっ!」
呼気と共に地を蹴り、ラミアへと斬りかかる。
普段のリュークスの動きでは無い。
フィルムのコマを飛ばしたような、俊敏な動き。
「むっ!?」
何者かの攻撃を感じ、アルミラは下がった。
手に抱えていたはずの女性神官の重さが無い。
(動きが見えなかった!? 一瞬で取り返したというの!?)
無力な、ただの村人だと思っていた少年。
その変貌に、油断無く爪を構える。
「………リュークス…さ………ん……?……」
薄れる意識の中、フィリスは視界の隅に少年の姿を認める。
<多少、血を吸われているが、命に別状はない>
「……良かった」
リュークスは呟きながら、ゆっくりと少女神官を寝かせてやる。
「あんた……いったい何なの?」
光り輝く剣を持つ、突然の乱入者。
ただそこに居るだけでの、この威圧感はまるで……
(魔王様以外に……こんな…………まさか)
「……………」
少年は静かに立ち上がる。
(何なの? と、聞かれても……あの……僕は何なの? あとこの力とか剣は?)
<後で説明する。今は、目の前の『闇の娘』を倒す事を考えよう>
リュークスは無言のまま、内心は上記のやりとりがあるのだが、剣を構える。
「そう……くくっ、好都合よ。今の内にぶっ殺してあげるわ!!」
「………(こっ、怖ぇえええええええ!!)」
戦いが始まった。
「ぐっ……こんな、こんな事って………」
1日に2回も敗北を味わい、アルミラは唇を噛みしめる。
リュークスの口が何かを呟き、左手を振る。
ぴいぃいいん
「結界魔法!? くそっ、この人間ごときがっ!!」
自分の身体なのに、他人に操られるような感覚に、リュークスは首をひねる。
<冷酷なようだけど、『闇の娘』を逃がすわけにはいかない。
魔王を倒す為に、その力を吸収しなければならないんだ>
(……吸収?)
勝手に動く身体に、少年の頭はついて行けてない。
<精神感応が最も強い部分を接触させ、生命線を構築。
そこから行為により、力を吸収する必要がある>
脳裏で爽やかな青年の声が聞こえるが、リュークスにはよく分からない。
(えっと、よく分からないんだけど……簡単に言うと?)
<性交……セックスだね>
「え……えぇえええええええええっ!?」
簡単に言い過ぎ、もう少しオブラートに包んだ言い方をして欲しい、などと少年は思う。
<まぁ、言い方を変えた所でやる事は同じなわけで……
詳しいメカニズムについて説明してもいいけれど、それは後にしたい>
驚愕するリュークスの意志とは無関係に、その身体は呪文を詠唱する。
「はぐっ! くっ、人間ごときに……このアルミラ様がっ!」
弱った彼女は、何かしらの術で動きを封じられたらしい。
(説明はいらないけど……その………うぅーん)
<…なんなら、僕が全て担当しても構わないけれど>
「ああっ! もう、やればいいんだろう! やればっ!!」
自棄になりつつ、リュークスが叫んだ。
「っ! 触るな! 汚らわしい人間がっ!」
近づくリュークスにアルミラは強く言い放つ。
だが、それで止めるわけにもいかず、少年は性行為を始める。
(えっと………)
友人たちとの深夜トークで、おおよその知識は得ている。
後はそれを実践に移すのみだが……
「くっ! 触るなと言っている!!」
魔族女性の言葉に困惑しつつも、まず目に付いた胸に手を伸ばす。
形の良いお椀のような膨らみを握る。
「……っ! ………っ………」
(わっ、柔らかい)
むにむにと形を変え、心地よい弾力が返って来る。
両手で鷲掴みにするように、揉みしだく。
「…っ………ぅ……………あ……」
片方は先端部分をつつき、もう片方は胸全体を包むように揉む。
手の隙間からこぼれるような柔らかさと弾力を楽しむ。
「くぅ……調子に乗って………っ……んっ………」
自由の利かないアルミラの身体をゆっくりと横たえる。
露わになっている乳首をゆっくりと口に含む。
「…っ………ぁ……………んっ…………」
(母乳とかやっぱり出ないよな……あんまり、味はしない……かな?)
色々考えつつも、本能に従い、先端を舐める。
「くぅ…なんでこんな程度の……愛撫で……あっ………」
柔らかい双丘から、リュークスの手は腰へと伸びる。
意外にきめ細かいつるつるした肌を滑る。
「んあっ……ぅ…そうか……これも…………きゃ……んっ……」
アルミラはぷるぷると身体を震わせる。
それが怒りを堪えてのものか、快楽に反応したものかは分からない。
だがその声には、着実に甘いものが含まれ始めた。
「あっ…………んっ……ぅ…………ぅう……んっ……」
少年の手はなだらかな臍(へそ)付近に、そして更に下へと動く。
「っ! …そこはっ………はんっ………くっ……こんな………」
へその下部分、茂みの奥の花弁へと指を這わせる。
ぬるりという感触。
こぼれ落ちる程の愛液が溢れている。
(うわぁ、凄いぬるぬるだ………さらに下は……あ、蛇部分だ)
太もも辺りから、蛇の身体となっている。
だが幸いな事に、その上の女性器は人間のものと変わらない。
「くっ……うあっ……み、見るな………んっ……」
割れ目の周囲の花弁部分を指で開いてみる。
にちゃ、という音と一緒に愛液の糸が垂れ下がる。
「…く、屈辱……こんな……あんたなんかに……ああっ……」
初めて直に見るその部分に軽いショックを受けながら、リュークスは行為を続ける。
(ああ、女の人ってこんな風になってるんだ……うわーうわー)
ぬめる液体を割れ目全体に塗りつけるように、指を上下する。
「ん……あっ……あ……んあっ…………ああっ……」
リュークスの指が、小さな突起に触れる。
同時にぴくりと、アルミラの身体が反応する。
(ここ、気持ち良いのかな?)
女体のあちこちを舐めながら、指を動かす。
「くっ…んっ……もっ……と………ああっ…くっ…いやっ……」
指の動きに合わせるように、アルミラの腰が前後する。
(あぁ、もう我慢できない!)
リュークスはズボンを下げる。
完全に降ろすものもどかしく、中途半端なまま、アルミラの腰に押しつける。
「っ! …ひっ……やっ………そんな……いやよっ………ああっ……」
逃れようと身体を動かすが、その動きは逆に少年の腰と擦れる。
ぬるり、という感触がリュークスの下半身を襲う。
(暖かくて…気持ち良い……うっ……うわぁ、やばい……)
まだ挿入する前だというのに、その秘所は暖かくぬるぬると湿っている。
少年が腰を前後させるだけで、男根には耐え難い快楽が伝わる。
「ひっ……はっ…あっ……あんっ……あっ…………」
「くっ………うっ!」
アルミラの腰を固定し、堅く膨れあがった竿を突き入れようとする。
「あっ…ああっ……あくっ………はぁ…んっ………」
だが上手くいかず、穴の上を滑り、それが彼女のクリトリスを刺激する。
びくんびくんと身体が震える。
「ひあああっ……やっ…それ…だめぇ……あっ……ああっ……」
リュークスは意図していなかったが、何度かトライし、それがアルミラに快楽を与える。
「あっ……ああっ…くっ……んっ………ああっ……あ……ああっ……」
「今度こそ………っ」
ぬぷり、とアルミラの中に侵入する。
「あっ……ああああぁ!!」
男根が入った刺激に、喘ぎ声が大きくなる。
同時に包み込まれるような暖かさと、ぬるぬるした刺激がリュークスに伝わる。
(うああっ、凄い……!)
心地よい肉の壺に、少年の腰は自然と動いてしまう。
「あっ、はぐっ……あっ……あ…あああっ………んっ……ぅああああっ……」
突き入れるたびに、アルミラの喘ぎが聞こえる。
熱と快楽が結合部分からせり上がって来る感覚。
高級な酒を飲んだ時のような、表現しようのない酩酊感が全身を覆って行く。
「ああっ……い、いやっ……感じちゃ…う……人間なんかにっ……あっ……あああっ」
全身を覆った快楽が、再び結合部分へと流れていく感覚。
抗いがたい快楽の波を放出する為に、腰を激しく動かす。
「あっ……ああっ…あ…いっ…ふぁあああああああああ!」
どくん、どくんと脈打つ。
全身を真っ白に覆い尽くすような、最高の放出感。
「あ……………」
リュークスはアルミラを吸収した。
「はぁ…はぁ……はぁ………」
短距離を全力疾走したような呼吸の荒さ。
そしてそれが収まるにつれ、眠りに落ちそうな感覚が全身を襲う。
(このまま眠ったら……かぜ……ひいちゃう…………かも………)
それだけ考えたところで、リュークスの意識は途絶えた。
リュークスたちから離れた森の中。
黒いローブを着た女性が、静かに佇む。
その表情は黒い影に覆われ、伺う事は出来ない。
コントラストで病的なまでに白く映るその口元が、言葉を紡ぐ。
「あの光……あの波動は『勇者』のもの……。
しかし今はそれを感じない………ルクス」
ローブの下、紅く引かれたルージュが、更に言葉を続ける。
「くすっ、勘違いにせよ、完全に覚醒していないにせよ……
魔王様の邪魔になるものは……排除しましょうか?」
その場に居るのは、彼女一人だけ。
にもかかわらず、会話のように『黒霧』は言う。
「魔王様の為にこそ、ちゃあんと覚醒して貰わないと……ね?
そうでしょう? くすっ、くすくすくすっ……」
女性の笑い声が遠ざかり、完全に消えた時には、その姿もまた消えていた。
To Be Continued・・・
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
あとがき
このお話は、容易に想像出来ると思いますが、勇者の話です。
まぁ、よくあるザッピングっつーやつです。(多分)
ぶっちゃけ、魔王の逆。
『ダークサイド』が、「魔王が主人公」「ソフト陵辱(?)」の話だったわけですが、その逆です。
「勇者が主人公」「ソフト陵辱される(笑)」という話になっていく予定です。
あ、今回は勇者君が攻めですね……
お話の解説に戻ると、勇者編のラスボスは魔王。
魔王編のラスボスは勇者。
となると、光と闇の決着は!?
勇者と魔王の戦いの結末は!?
というか、そこまで続くのか、この小説!?(まて)
何度も繰り返すようですが、私はプロでは無いので、過度の期待はしないで下さい。
それが、二流、あるいは三流の小説を楽しむ方法です(笑)
では、ちゃんと矛盾が少なく(無いとは言えない)話が続く事を祈りながら。
光り輝く少女は、最後に最高の笑みを浮かべた。
こことは異なる異空間へと、魔王と魔族を封印する。
分かりやすく表現すれば、それは閉じ込める為の『蓋』の役割だ。
中身を押さえつける『蓋』に、開かないように『鍵』をかける。
発光し、世界が白く染まっていく中で、青年は叫ぶ。
「やめろ! やめるんだっ!」
誰かの犠牲の上に成り立った勝利や平和など、欲しくはない。
青臭いと言われようとも、青年は本気でそう思っていた。
思い通りに行かないシステムに、抗議の声をあげる。
「………ごめんね」
困ったような、はにかむような、ごちゃ混ぜになった表情で少女は消えていく。
「セフィ……セフィ………僕は……僕は………」
理由は分からない。
だが、この話を知っている。
この帝国の人間なら誰でも知っているおとぎ話。
勇者が仲間たちと魔王を封じ平和を得た、そんな普通の話。
話自体は知っている。
だが、ここまでの臨場感で再現されるこの状況は一体、何なんだろうか?
ぐらり、ぐらりと世界が揺れる。
『聖女』『義務』『犠牲』『魔王』『勇者』。
様々な単語が頭をぐるぐると駆け巡り、視界は光に包まれる。
「………ス…………………―クス……」
<そう、これは僕の記憶であって、君の記憶ではない>
脳裏に響く、青年の声。
(なんというか、随分珍しい夢だなぁ……)
<僕が……>
ごがしゃっ!
「ふぬおわっ!!」
容赦ない鉄拳が後頭部に炸裂し、少年が珍妙な悲鳴を上げる。
「リュークス、私の授業中に居眠りとは…いい度胸ね?」
視界が急速に鮮明になる。
見覚えのある教会の一室。
机に突っ伏すリュークスと、それを見下ろす尼僧(シスター)。
そして、周囲から漏れ聞こえる、くすくすという笑い声。
『子供たちへの義務教育』などという概念の無いこの世界。
子供たちは、貴重な働き手として農作業に駆り出されるのが普通だ。
教育を受けられるのは、貴族や経済的に裕福な層の子供たちだけである。
だがこの村、セリオン領土にある『勇者の生まれる村』は例外と言える。
その名の通り代々勇者を生み出してきたと言われるこの村では、帝国からの補助もあり、教育を受ける事が出来る。
「さて、居眠りリュークス君。
君が暢気に居眠り出来るのも、帝国が平和なのも、『勇者』が世界を救ってくれたからなのよ。
そしてその『勇者』をバックアップするのが、聖ルコナーア教会の神父や尼僧たちね」
手加減の欠片もなくリュークスをぶん殴った尼僧、シュティーは、話を続ける。
シスターの服装ながら、律動的に動く様子は、新人教師と言った様子だ。
「『勇者』だからって、絶対に『魔王』に勝てるわけじゃない。
世界を旅して、各地に存在する力を得なければならない。
その旅を手伝うのも、やはりあたしたちなわけよ」
ボリュームある胸を張り、シュティーは誇らしげに言う。
「………チチデカの魔獣(ぼそり)」
殴られたリュークスの聞こえるか聞こえないかくらいの報復(呟き)。
「形骸化しているけど、神父たちはその旅をなぞる必要があって、それが巡礼と言うんだけど……そりゃ!
その巡礼の旅はこの村にもやって来るのよっ……と、その教会関係者への道案内を、誰かにやって貰いたいのよ………ねぇえええ……うりゃ!」
にこやかに話ながらも、若いシスターは俊敏かつ的確な動きでリュークスに関節技を決める。
具体的に言うならば、コブラツイスト。
「うごっ!? ぐ……うぐぐぐぐ」
「あー、誰か快く道案内を引き受けてくれる良い子はいないかしらねぇ~」
そこから華麗に、卍固めへと移行する。
「ぎぎぎぎ…ギブギブ!!」
「あたしの聞きたい言葉は、そんな言葉じゃなくって~」
さらに一段階、締め付けが強くなる。
「ぎゃあああああああ! やります! やればいいんでしょう!
その案内、僕にやらせて下さいぃいいいいいい!!」
「あら、そう。ありがとうリュークス君」
教師シュティーは、何事もなかったかのような笑みを浮かべる。
「せんせー、巡礼に来る教会関係者って、男っすか、女っすか?」
リュークスの友人、ガッタが質問する。
「女の人の場合、若いですか?」
友人マールも追加で質問を加える。
「女性が来る事、前提の質問ありがとう。
結論から言うと女性、しかも若いわよ」
おおおおぉ、とクラスの半数(男)から声が上がる。
「あたしの後輩で、『百年に一人』と呼ばれるほどの才女よ。
神聖術法のレベルはかなりのもんだし、格闘術もあたしと互角だもん」
歓声が、えぇ~、という落胆の声へと変化する。
声の主たちはルコナーア教のシスターという事で、おしとやかな女性を想像していたに違いない。
ルコナーア教の神父や尼僧は、『勇者』の手助けをする為に戦闘訓練を受けている。
その戦闘能力の高さは、この場のシスター、シュティーを見ても明らかだ(?)。
その格闘技を目の当たりにしているクラスの男たちにとって、それと互角……
物静かなシスター像が、がらがらと音を立てて崩れているのだろう。
「ぬぅうう……お約束通りの外見筋肉女か…いや、やはり別パターンのお約束で美人か…
しかし、さらに意表を突いてやはりゴリラ雌……しかし、それで誰が得するんだ……」
マールは一人ぶつぶつと呟いている。
「そうねぇ、そんな大事な後輩だもんね。案内役にガッタ、マールあんたらも追加」
尼僧は今晩の献立を決めるくらいの口調で、それを決定したのだった。
「邪よ……退け」
凛とした女性の声と共に、その手から不可視の衝撃波が発せられる。
襲ってきた2メートル近い魔獣が、吹き飛ぶ。
それだけで魔獣は戦意を喪失したようで、一目散に逃げ出す。
「「す、すげえ……」」
案内役となったリュークスたちから、感嘆の声が漏れる。
「さぁ、進みましょう」
そう言うと、シスターフィリスは柔らかく微笑んだ。
『百年に一人』、そう呼ばれるほどの才女。
長い艶やかな髪に、整った顔立ち。
やや小柄な身体を包むような純白の神官服。
その白い肌は絹のように柔らかそうだが、充分なしなやかさをも併せ持つ。
そして『聖職者(シスター)』というイメージ通りの物静かな様子は、ガッタやマールが思わずガッツポーズを取るほどのものだ。
「フィリスさんは、僕たちと同じくらいの年齢なのに強いんですね……
シュティー先生と互角ってのも、本当なんですか?」
女性に『強い』などと言う鈍感なリュークスの発言にも、彼女は嫌な顔一つしない。
「先輩とは何度か手合わせして貰いました。
まだまだ及ばないとは思いますが、いずれ現れるであろう『勇者』様の力になれるよう修行していますので」
にっこりと微笑む。
それだけでリュークスたちの顔が紅くなる。
「リュークス、お前だけ、ずるい。…じゃなくて聖女様、こちらです!」
ガッタとマールが、争って道案内を始める。
「ありがとうございます。…………あ、そこの足下、気をつけて下さいね」
フィリスは穏やかに微笑み、巡礼を再開する。
(……?)
それに気づいたのは、リュークスだけだった。
「あの……フィリスさん、どうかしましたか?」
「え?」
問われたフィリスはびっくりした様子で、リュークスを見る。
「あ、いや……すいません」
なんとなく謝ってしまう少年。
女性神官がほんの一瞬、険しい顔をしたように思えたのだ。
しかし、それは気のせいだったのかもしれない。
「あ……いえ。……ほんの少しだけ疲れたのかもしれません」
そんな少年を見ながら、フィリスは内心を隠し、言葉を選ぶ。
一瞬ではあるが、何かの気配を感じたのだ。
かなり強力な、それも穏やかでない類の気配。
今は消えているので、確信までは持てない。
その気配を探っていた様子を、リュークスに問われた。
(周囲に不安を与えるようでは、私はまだまだ未熟……)
『聖女』たる者、周囲に不安を与えてはならない。
そう考え、彼女は「疲れたかもしれない」と答えたのだ。
フィリスは有能ゆえに、その気配に気づきかけたが、全知全能の神ではない。
未来の全てを予測するなど不可能である。
「そうですか、じゃあ少し休憩しましょう」
彼女は後に後悔する事になるが、それを責めるのは酷というものだった。
「くすくすっ……ながぁいお休みから、目覚めた気分はいかが?」
楽しげな、どこか軽い女性の声が洞窟内に響く。
薄暗い洞窟と同色の黒いローブをまとった人影が、くすくすと笑う。
「……ここは……私は封印されていたのか………くっ、忌々しい」
楽しげな声に応えたのは、逆に不機嫌な声。
声の主はゆっくりと起き上がる。
艶やかに伸びる長い髪。
すらりと伸びた手。
肉付きはやや薄いが、その体は女性特有の柔らかさと膨らみがある。
だが、彼女は人間では無い。
何故なら、彼女の腰よりも下にあるのは二本の足では無く、鱗に覆われた蛇のものだったからだ。
ラミアと呼ばれる魔物である。
「その気配……お前も『闇の娘』か。そして私の封印を解いたという事は……」
ラミアの女性は久方ぶりの肉体の感覚を確かめるように、身体を動かす。
「ええ、魔王様が復活されました。ですので、ご協力願いますわぁ、アルミラさん」
同格である同じ『闇の娘』。
いや、魔王にそれを認められたのは自分の方が早いはずだ。
にも関わらず、この口の利き方……
「……ふん、まずは人間たちから力を奪い取らないと」
アルミラは釈然としないものを感じながらも、一応封印を解いたのが目の前のローブの女だと思い、不機嫌そうに答える。
「くすくすっ、丁度良い事にこちらに向かっている人間たちが居るわよ?」
黒ローブの女は、愉しそうに笑っていた。
「ガッタさん、マールさん、下がって!」
フィリスの真剣さを含む声に従い、二人ともダッシュで下がる。
彼女が魔獣の気配を敏感に察知したのだろうと思い、足手まといにならない為の措置だ。
「へぇ~。なかなか上物じゃない」
獣の唸り声が聞こえてくるかと思いきや、予想に反し聞こえてきたのは女性の声だった。
「あ、あれ? 女の人? ……あ、いや、魔物か」
「……ラミアです。それもかなり………強い」
フィリスが油断無く、メイスを構える。
現れたのは上半身が人間の女性、下半身が蛇の魔物、アルミラだ。
「その服、くそ女神のくそ神官ね。昔っから随分としつこいわねぇ」
不覚を取った過去を思い出したのか、魔族の女は、その神官服を認め毒づく。
「封印されていた魔物ですね。……考えようによっては丁度良いでしょう。
あなたを再び封印します」
少女が静かに宣言し、気を張り巡らせる。
「封印? この私を? ……笑えない冗談だねぇ。小娘が」
アルミラが腕を振ると、鋭く伸びる爪が広がる。
「……ルコナーア様、ご加護を」
フィリスは短く唱え、全身に気を滾(たぎ)らせる。
そして二人の戦いが始まった。
― ◇ ― ◇ ― ◇ ―
「くっ! 万全の体調であれば、こんな小娘にっ!!」
アルミラが、口惜しげに言葉を吐く。
当初は互角であった戦いも、時間と共に勝敗がはっきりとしてきた。
それは、すっかり観戦モードに入っていたリュークスたちにも分かるほどだ。
「凄いや、フィリスさん!」
「勝てますよっ、聖女様っ!」
少年たちから歓声が上がる。
「くすくすっ……勝って貰っちゃ困るのよねぇ」
突然沸いた別の女性の声。
「「えっ」」
そして、その声と同様に黒い靄(もや)のようなものが、広がる。
「なんだ、これ………黒い……霧??」
少年たちの腹から胸、そして顔のすぐ近くまで黒い霧が広がって行く。
「しまった! ガッタさん、マールさん、リュークスさん!」
状況に気づき、フィリスが声を上げる。
だが、それに答える声は無い。
「しゃあああああっ!!」
三人に気を取られていた隙に、アルミラの爪の一撃が振るわれる。
「くっ………」
フィリスは飛び退き、距離を取る。
「くすくすっ……だめよ、目の前だけじゃなくって周囲も気をつけないと」
女性の声が、黒い霧の中から響く。
「くっ……三人を放して下さい。その人たちは、無関係です」
人質を取られた不甲斐なさ、悔しさにフィリスはメイスを強く握る。
「くすっ、どうしようかしら?
あなたのお願いを聞いてあげてもいいけど、そうすると私のお願いも聞いて貰いたいわ」
黒い霧から響く声に、尼僧は手にしたメイスを放り投げる。
見た目よりも重量のあるそれが、ごろりと転がった。
「……これで良いですか」
フィリスが悔しげに言う。
「ふんっ、新入りに助けられるのは癪に障るが……借りといてやる。
さぁて……動かないでね」
劣勢だったアルミラは、ゆっくりとフィリスに近づく。
「………っ!?」
無抵抗の少女神官の身体に、アルミラの蛇部分が絡みつく。
フィリスは完全に動きを封じられる。
「ほほほほっ!」
毒々しい長い爪がフィリスへと伸び、たやすく神官服を引き裂く。
みずみずしい白い肌が露出する。
「んっふふふ。つやつやした肌。羨ましいわねぇ」
「くっ……嬲(なぶ)るというのですか」
羞恥と悔しさから、フィリスの肌が赤く染まる。
「そんなんじゃないわ………ただ」
アルミラの紅い舌が、少女の白い首筋を舐め上げる。
「血を貰うだけよ」
ラミアは、少女の首筋に歯を突き立てた。
状況は完全に不利だ。
黒い霧の中、リュークスは思う。
この場に居たのがフィリス一人であれば負けなかっただろう。
それに不利になれば、逃げるという選択肢もある。
彼女の力なら、難しくは無い。
だが、少年たちが人質に取られている今の状況では、それは不可能だ。
「僕たちの事より、逃げてフィリスさん! くそっ! この霧」
いくらリュークスが声を上げ動いた所で、霧は晴れない。
自然界に存在しないこの黒い霧は、魔族の能力なのだろう。
そしてフィリスは、今、ラミアに噛み付かれた。
血と共に命を吸われている。
「早くっ! 早くなんとかしないとっ!!」
この数メートル先さえ見えない霧を脱出して……
(あれ? なんでフィリスさんが危ないって分かるんだ、僕?)
少女神官の危機は、黒い霧の中見えないはずである。
冷静に考えれば、リュークスにそれが見えるはずがない。
<僕の力で見ているんだ。まやかしじゃなく実際に今、起こっている状況だ>
リュークスの脳裏に、唐突に若い男の声が響く。
「なっ、誰!? いや、そんな事よりも……」
<力が欲しいかい? この状況を打破出来る力を>
少年の思考を先回りしたかのような言葉。
言葉だけ聞いていれば、焦らすような言い回しだが、不思議とリュークスはそう感じない。
まるで必要な手順を踏んでいる、そんな印象を受ける。
「力? この状況をどうにか出来るのか? だったら……」
<けど、力を得たら君は責任も負う事になる。それでも…>
「早くしてくれっ! 人の命が、フィリスさんやガッタやマールが危ないんだ!」
まとわりつく黒い霧の中、リュークスが叫ぶ。
自分の力で誰かを助けられるならば、助けたい。
それは謝礼を期待してのものではない。
人間に元から備わっている、純粋な感情。
「よく分からないけど、何か方法があるならやってくれ!
今、使わないでいつ使うっていうんだっ!!」
声の主の顔は分からない。
だが、納得して頷いたように、リュークスには思えた。
<ここに契約は成された。……呼ぶんだ。君のみが扱える『勇者』の力を>
「えっ?」
黒い霧を操るローブの女性は、それに驚きの声をあげた。
光の尾を引きながら、何かが飛来し、地面へと突き刺さる。
「この光……この力…………まさか………『勇者』の………」
黒い霧が霧散する。
突き刺さっているのは、光り輝く一振りの剣。
霧の拘束が無くなり、友人たちが倒れ込む。
(胸が上下している……大丈夫、二人は死んでない)
リュークスは冷静に、当然のように目の前の剣を引き抜く。
「はっ!」
呼気と共に地を蹴り、ラミアへと斬りかかる。
普段のリュークスの動きでは無い。
フィルムのコマを飛ばしたような、俊敏な動き。
「むっ!?」
何者かの攻撃を感じ、アルミラは下がった。
手に抱えていたはずの女性神官の重さが無い。
(動きが見えなかった!? 一瞬で取り返したというの!?)
無力な、ただの村人だと思っていた少年。
その変貌に、油断無く爪を構える。
「………リュークス…さ………ん……?……」
薄れる意識の中、フィリスは視界の隅に少年の姿を認める。
<多少、血を吸われているが、命に別状はない>
「……良かった」
リュークスは呟きながら、ゆっくりと少女神官を寝かせてやる。
「あんた……いったい何なの?」
光り輝く剣を持つ、突然の乱入者。
ただそこに居るだけでの、この威圧感はまるで……
(魔王様以外に……こんな…………まさか)
「……………」
少年は静かに立ち上がる。
(何なの? と、聞かれても……あの……僕は何なの? あとこの力とか剣は?)
<後で説明する。今は、目の前の『闇の娘』を倒す事を考えよう>
リュークスは無言のまま、内心は上記のやりとりがあるのだが、剣を構える。
「そう……くくっ、好都合よ。今の内にぶっ殺してあげるわ!!」
「………(こっ、怖ぇえええええええ!!)」
戦いが始まった。
「ぐっ……こんな、こんな事って………」
1日に2回も敗北を味わい、アルミラは唇を噛みしめる。
リュークスの口が何かを呟き、左手を振る。
ぴいぃいいん
「結界魔法!? くそっ、この人間ごときがっ!!」
自分の身体なのに、他人に操られるような感覚に、リュークスは首をひねる。
<冷酷なようだけど、『闇の娘』を逃がすわけにはいかない。
魔王を倒す為に、その力を吸収しなければならないんだ>
(……吸収?)
勝手に動く身体に、少年の頭はついて行けてない。
<精神感応が最も強い部分を接触させ、生命線を構築。
そこから行為により、力を吸収する必要がある>
脳裏で爽やかな青年の声が聞こえるが、リュークスにはよく分からない。
(えっと、よく分からないんだけど……簡単に言うと?)
<性交……セックスだね>
「え……えぇえええええええええっ!?」
簡単に言い過ぎ、もう少しオブラートに包んだ言い方をして欲しい、などと少年は思う。
<まぁ、言い方を変えた所でやる事は同じなわけで……
詳しいメカニズムについて説明してもいいけれど、それは後にしたい>
驚愕するリュークスの意志とは無関係に、その身体は呪文を詠唱する。
「はぐっ! くっ、人間ごときに……このアルミラ様がっ!」
弱った彼女は、何かしらの術で動きを封じられたらしい。
(説明はいらないけど……その………うぅーん)
<…なんなら、僕が全て担当しても構わないけれど>
「ああっ! もう、やればいいんだろう! やればっ!!」
自棄になりつつ、リュークスが叫んだ。
「っ! 触るな! 汚らわしい人間がっ!」
近づくリュークスにアルミラは強く言い放つ。
だが、それで止めるわけにもいかず、少年は性行為を始める。
(えっと………)
友人たちとの深夜トークで、おおよその知識は得ている。
後はそれを実践に移すのみだが……
「くっ! 触るなと言っている!!」
魔族女性の言葉に困惑しつつも、まず目に付いた胸に手を伸ばす。
形の良いお椀のような膨らみを握る。
「……っ! ………っ………」
(わっ、柔らかい)
むにむにと形を変え、心地よい弾力が返って来る。
両手で鷲掴みにするように、揉みしだく。
「…っ………ぅ……………あ……」
片方は先端部分をつつき、もう片方は胸全体を包むように揉む。
手の隙間からこぼれるような柔らかさと弾力を楽しむ。
「くぅ……調子に乗って………っ……んっ………」
自由の利かないアルミラの身体をゆっくりと横たえる。
露わになっている乳首をゆっくりと口に含む。
「…っ………ぁ……………んっ…………」
(母乳とかやっぱり出ないよな……あんまり、味はしない……かな?)
色々考えつつも、本能に従い、先端を舐める。
「くぅ…なんでこんな程度の……愛撫で……あっ………」
柔らかい双丘から、リュークスの手は腰へと伸びる。
意外にきめ細かいつるつるした肌を滑る。
「んあっ……ぅ…そうか……これも…………きゃ……んっ……」
アルミラはぷるぷると身体を震わせる。
それが怒りを堪えてのものか、快楽に反応したものかは分からない。
だがその声には、着実に甘いものが含まれ始めた。
「あっ…………んっ……ぅ…………ぅう……んっ……」
少年の手はなだらかな臍(へそ)付近に、そして更に下へと動く。
「っ! …そこはっ………はんっ………くっ……こんな………」
へその下部分、茂みの奥の花弁へと指を這わせる。
ぬるりという感触。
こぼれ落ちる程の愛液が溢れている。
(うわぁ、凄いぬるぬるだ………さらに下は……あ、蛇部分だ)
太もも辺りから、蛇の身体となっている。
だが幸いな事に、その上の女性器は人間のものと変わらない。
「くっ……うあっ……み、見るな………んっ……」
割れ目の周囲の花弁部分を指で開いてみる。
にちゃ、という音と一緒に愛液の糸が垂れ下がる。
「…く、屈辱……こんな……あんたなんかに……ああっ……」
初めて直に見るその部分に軽いショックを受けながら、リュークスは行為を続ける。
(ああ、女の人ってこんな風になってるんだ……うわーうわー)
ぬめる液体を割れ目全体に塗りつけるように、指を上下する。
「ん……あっ……あ……んあっ…………ああっ……」
リュークスの指が、小さな突起に触れる。
同時にぴくりと、アルミラの身体が反応する。
(ここ、気持ち良いのかな?)
女体のあちこちを舐めながら、指を動かす。
「くっ…んっ……もっ……と………ああっ…くっ…いやっ……」
指の動きに合わせるように、アルミラの腰が前後する。
(あぁ、もう我慢できない!)
リュークスはズボンを下げる。
完全に降ろすものもどかしく、中途半端なまま、アルミラの腰に押しつける。
「っ! …ひっ……やっ………そんな……いやよっ………ああっ……」
逃れようと身体を動かすが、その動きは逆に少年の腰と擦れる。
ぬるり、という感触がリュークスの下半身を襲う。
(暖かくて…気持ち良い……うっ……うわぁ、やばい……)
まだ挿入する前だというのに、その秘所は暖かくぬるぬると湿っている。
少年が腰を前後させるだけで、男根には耐え難い快楽が伝わる。
「ひっ……はっ…あっ……あんっ……あっ…………」
「くっ………うっ!」
アルミラの腰を固定し、堅く膨れあがった竿を突き入れようとする。
「あっ…ああっ……あくっ………はぁ…んっ………」
だが上手くいかず、穴の上を滑り、それが彼女のクリトリスを刺激する。
びくんびくんと身体が震える。
「ひあああっ……やっ…それ…だめぇ……あっ……ああっ……」
リュークスは意図していなかったが、何度かトライし、それがアルミラに快楽を与える。
「あっ……ああっ…くっ……んっ………ああっ……あ……ああっ……」
「今度こそ………っ」
ぬぷり、とアルミラの中に侵入する。
「あっ……ああああぁ!!」
男根が入った刺激に、喘ぎ声が大きくなる。
同時に包み込まれるような暖かさと、ぬるぬるした刺激がリュークスに伝わる。
(うああっ、凄い……!)
心地よい肉の壺に、少年の腰は自然と動いてしまう。
「あっ、はぐっ……あっ……あ…あああっ………んっ……ぅああああっ……」
突き入れるたびに、アルミラの喘ぎが聞こえる。
熱と快楽が結合部分からせり上がって来る感覚。
高級な酒を飲んだ時のような、表現しようのない酩酊感が全身を覆って行く。
「ああっ……い、いやっ……感じちゃ…う……人間なんかにっ……あっ……あああっ」
全身を覆った快楽が、再び結合部分へと流れていく感覚。
抗いがたい快楽の波を放出する為に、腰を激しく動かす。
「あっ……ああっ…あ…いっ…ふぁあああああああああ!」
どくん、どくんと脈打つ。
全身を真っ白に覆い尽くすような、最高の放出感。
「あ……………」
リュークスはアルミラを吸収した。
「はぁ…はぁ……はぁ………」
短距離を全力疾走したような呼吸の荒さ。
そしてそれが収まるにつれ、眠りに落ちそうな感覚が全身を襲う。
(このまま眠ったら……かぜ……ひいちゃう…………かも………)
それだけ考えたところで、リュークスの意識は途絶えた。
リュークスたちから離れた森の中。
黒いローブを着た女性が、静かに佇む。
その表情は黒い影に覆われ、伺う事は出来ない。
コントラストで病的なまでに白く映るその口元が、言葉を紡ぐ。
「あの光……あの波動は『勇者』のもの……。
しかし今はそれを感じない………ルクス」
ローブの下、紅く引かれたルージュが、更に言葉を続ける。
「くすっ、勘違いにせよ、完全に覚醒していないにせよ……
魔王様の邪魔になるものは……排除しましょうか?」
その場に居るのは、彼女一人だけ。
にもかかわらず、会話のように『黒霧』は言う。
「魔王様の為にこそ、ちゃあんと覚醒して貰わないと……ね?
そうでしょう? くすっ、くすくすくすっ……」
女性の笑い声が遠ざかり、完全に消えた時には、その姿もまた消えていた。
To Be Continued・・・
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
あとがき
このお話は、容易に想像出来ると思いますが、勇者の話です。
まぁ、よくあるザッピングっつーやつです。(多分)
ぶっちゃけ、魔王の逆。
『ダークサイド』が、「魔王が主人公」「ソフト陵辱(?)」の話だったわけですが、その逆です。
「勇者が主人公」「ソフト陵辱される(笑)」という話になっていく予定です。
あ、今回は勇者君が攻めですね……
お話の解説に戻ると、勇者編のラスボスは魔王。
魔王編のラスボスは勇者。
となると、光と闇の決着は!?
勇者と魔王の戦いの結末は!?
というか、そこまで続くのか、この小説!?(まて)
何度も繰り返すようですが、私はプロでは無いので、過度の期待はしないで下さい。
それが、二流、あるいは三流の小説を楽しむ方法です(笑)
では、ちゃんと矛盾が少なく(無いとは言えない)話が続く事を祈りながら。
0
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