【完結】前提が間違っています

蛇姫

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転生悪役令嬢は乙女ゲームをしたことがない

僕の日常④(ヴォルフラム視点)

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「ルナリア嬢の意見も聞くべきではないかと思うのだが、ヴォルフはどのように考えている?」
「ルナの意見で宜しければ」
「構わない、話してみてくれ」
「……公爵令嬢である自分に謝罪した男爵令息に関しては、もう一度だけ機会を与えるべきではないかという意見でございました」

僕はルナの意見をアルベルトに伝えた。
姉さんは穏やかな微笑みを浮かべていて、何を考えているか分からなかったけれど、黙って聞いているということは、この件に関しては口出ししないつもりなのだろう。

「ああ、確かに彼だけは謝罪していたな。それを無かったことにして、同じ罰を与えることは公平性に欠けるということか」
「如何なさいますか?」
「私は……いや、俺はお前の意見も聞きたい」
「………僕個人の意見としましては、ルナの記憶の片隅に残らなければ何でも良いと考えております」
「成る程……お前らしい意見だな」

アルベルトは楽しそうに一頻り笑うと、王太子の顔に戻り云った。

「私もルナリア嬢の意見に賛同する」
「!!」
「驚くことなど何も無い。飴と鞭を使い分けるだけのことだ」
「………謝罪した者にまで過度な罰を与えてはいない……という前例をお作りになるのですね?」

ルナは其処まで考えてはいないけれど、ごく自然に飴と鞭を使い分けているからこそ、敵が勝手に自滅するんだろうなぁ。
僕もルナに今以上に好きになって貰えるように頑張らないと。
女が男に劣ると思えない環境で育ったお陰で、ルナが僕より優れていても「可愛いなぁ」としか思えないんだよね。
これに関しては姉さんに深く感謝しているんだ。

「謝罪した者としていない者を明確に分けることで、私たちが口外することなく、多くの者たちが察するだろうことは明白だ」
「それであれば、我々が忖度をしたと邪推する者もいない」
「そういうことだ」

アルベルトと僕は互いに黒い笑みを浮かべながら、今後のことについて話を擦り合わせようとした所で………思い出した。
姉さんが同じ空間にいたことを。途中までは確かに記憶の片隅にいたのだけれど、気が付けば姉さんの前で堂々と周囲を巻き込む策を練っていた。だから黙っていたのか……。
アルベルトは即座に姉さんに言い訳を始めた。

「リリー!違うんだ、私は君が厭うような……」
「アル様、とても素敵ですわ」
「………へ?」
「流石は未来の王となられるお方、清濁併せ呑む事をご存知でしたのね。私……アル様に見惚れていて声が出なかったですわ」

違った。姉さんは何処までも姉さんだった。
アルベルトに出会った頃は姉さんに見向きもしなかったのに、気が付いたら姉さんを溺愛していたのは……これが原因とか?
姉さんが本心から云っていることを理解している分、アルベルトが幸せになれることは確定しているので、親友として黙っていよう。

「私は義妹が安心して学園生活を送れることを望んでおりますわ」
「そうだね、私も同意見だよ」

相変わらず姉さん限定の溺愛キラキラ王子………ルナに見せよう。
家臣としての敬愛も忠誠も変わらないと確信しているけれど、僕以外の存在をルナの中から一人でも多く消しておきたい。
僕たちは朝日が昇るまで悪巧み………ではなくて、真剣に学園の今後について語り合った。

一つ目、ルナに怪我を負わせた張本人に関しては、僕だけではなく優秀な騎士を二人も失いかけたアルベルトもご立腹だ。
騎士になる未来は完全に消えたと言って良い。

二つ目、見ていただけの二人に関しては静観する事になった。
家の判断で人生が大きく変わることは目に見えている上に、庶子と商家の五男坊に利用価値があるかは微妙な所だろう。
寧ろ男爵家の嫡女と婚約できていた事実に驚いている。

三つ目、ルナに謝罪した彼にだけは、名誉挽回の機会を与える事になった。後は彼の頑張り次第。

最後に、ピンク頭には自滅ルートを直進してもらうことになった。
姉さんの計略と併せて作戦を練り直したから、ピンク頭は確実に僕たちの前から姿を消してくれることだろう。

それから……ピンク頭の様子ではルナは今後も狙われる。
姉さんの提案で僕が護衛することになった。
今度………姉さんとアルベルトが二人きりになれる機会を作ろう。
僕は姉さんに心から感謝しながら、ルナとの学園生活を楽しめる事になった幸運を噛み締めている。
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