【完結】前提が間違っています

蛇姫

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転生悪役令嬢は乙女ゲームをしたことがない

不気味な行動

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私の足が完治した為、車椅子生活とは無縁の生活に戻った頃、ピンク頭が北棟で騒ぎを起こしたらしいという噂が舞い込んできた。
何でも一人の男子生徒に執拗に付き纏い、過去を調べ上げた様な言動で男子生徒の精神を追い詰めたという。
それに気が付いた男子生徒の婚約者が盾となり、婚約者の心を守り抜いたことは不幸中の幸いといえる。
その一件が切っ掛けとなり、婚約破棄も秒読みと言われていた二人が、今では相思相愛の婚約者同士なのだから、ピンク頭は【愛のキューピット】と言えなくもない。
それにしても、殿下ではなく下位貴族を狙えばいいのにとは思っていたけれど、婚約者のいる殿方を狙うことは無いでしょう。

「何が目的なのかしら?」
「……どうしたの?ルナ」
「!!」

目の前にヴォルフ様がいるというのに、ピンク頭のことを考えるなどファン失格だ………泣きたい。

「何を考えていたの?」
「…………ローウェン子爵令嬢について少し」
「どんなこと?」
「男子生徒の過去を調べ上げた様な言動があったとか」
「それに関しては僕たち生徒会だけでなく、教師陣も注意深く観察しているのだけれど、学園内という縛りの中では限界があってね」
「学園側が秘密裏に調べるのなら理解できますけれど、教師陣まで動いているのは何故ですの?」
「南棟専属の保険医は珍しいよね?」
「!!」

確かに南棟専属の保険医など聞いたことが無かったけれど、ピンク頭が関わっているとは思わなかった。

「何があったのか……お聞きしても宜しいのかしら?」
「箝口令は敷かれていないから構わないけれど、彼も貴族だからね……出来れば内密にして欲しい内容も含まれるのだけれど」
「貴族としての誇りに関わることですの?」
「そうだね……ピンク頭は平然と誇りを踏み躙る」

ヴォルフ様が珍しく怒りを顕にしている所を見るに、相当な何かをしたのは明白だけれど、何をしたのかまでは想像できない。

「……過去を調べ上げた言動に加え、保健室で迫ったらしい」
「せま………えっ………」
「うん、そうなるよね」
「に……逃げられましたの?」
「必死で逃走している姿を多くの学生が見ている」
「!!」

殿下を狙っていたはずのピンク頭が謎の奇行を繰り返していた事実に驚いている。………どういうこと?
殿下と【過去まで調べ上げられた人たち】は国内でも有数の美形であるという以外の共通点はこれといってない。
容姿も性格も欠片ほども似ていないので、殿下の変わりにしようとした……というわけでもなさそう。
人間が違うのだから好みが違って当然だけれど、私が調べた情報によると【話し方や仕草を変えて接触した】というから、恐らくだけれど好みも調べ上げているのではないだろうか?

「………殿下の好みも把握しているのかしら?」
「していたよ……姉さんが阻止したから、殿下は軽い恐怖を覚える程度で済んだけれど………ね」
「行動を把握していた……とか言いませんわよね?」
「偶然にも姉さんが殿下の予定を変更したから何事も無かったけれど、殿下が気まぐれに立ち寄ろうとした庭園に隠れていた」
「隠れていた?…………庭園を眺めていたという可能性は?」
「【アル様がもう直ぐここに来る】と言っていたのを影が聞いていなければ、僕もそう思えたのだけれど」

ピンク頭は殿下の行動を完全に把握しているということになる。
妃殿下が偶然にも殿下の気まぐれな行動を変更したから良かったものの、そうでなければどうなっていたか。
男子生徒や保険医の精神に負った傷を思えば、殿下がそうならなかったのは……妃殿下が起こした奇跡的な偶然の積み重ねが、結果的にピンク頭を退けているからだろうと思う。

「殿下がご無事であるのなら何も問題はないけれど、調べ上げただけでなく、気まぐれにまで対応するなど不気味ですわね」
「流石に殿下の行動や過去を調べ上げる女を放置できなくてね……陛下にご報告させてもらったよ」

陛下がこの一件を知らない筈はないけれど、敢えて放置しているということだろうか。

「陛下は何と仰せに?」
「【調査中のことは明かせぬが…息子を頼む】と」
「……陛下の信頼に答えなければならなくなりましたわね」
「……………ルナが盾になる気なの?」
「未だに私に虐められたと吹聴しておりますもの。私以上の適任はおりませんわ」
「僕も傍にいること………忘れないで?」
「勿論ですわ!」
「姉さんとの協力体制は必須事項だね」
「ええ、妃殿下が誰なのかがバレては総てが水の泡」

ピンク頭を陥れる気はないけれども、殿下に近付こうとするのなら阻止するまでのこと。
この一件は、殿下の側近であるヴォルフ様の手柄にも繋がるのだから、多少の無理くらいはさせて欲しい。
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