【完結】前提が間違っています

蛇姫

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転生ヒロインは最後まで乙女ゲームだと思っていた

思い込み

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 この女が訂正してあげないなら、私がモブ男に教えてあげないとね。アンタはこの女の婚約者なんかじゃないってことを。
 この女の婚約者は【乙女ゲーム】ではアル様だったんだから、この世界での婚約者もアル様に決まってるじゃない!

「じゃあ誰が婚約者だっていうのよ!」

 「アル様の婚約者は自分です」って素直に認めなさいよね。

「妃殿下を知らない貴族はいないと思うわ」
「でしょう!?だったらアンタがアル様の婚約者じゃない!」

 やっと認めたわね。モブ男には悪いけど、これが現実なのよ。分かったらもう二度と邪魔なんかしないでよね。

「少しいいだろうか?」
「はい!アル様!」
「私は君に愛称で呼ぶことを許可していない」

 アル様ってば、照れてて可愛い。私に愛称で呼ばれることが本当は凄く嬉しいのに、この女の前だからって遠慮してるのね。
 …優しいのは愛する人にだけって設定に書いてあったんだけど、何で悪役令嬢なんかに気を使うの?
 アル様はヒロインだけを愛する一途なヒーローでしょ?だから悪役令嬢なんかに優しくしなくてもいいのに。
 私を虐めてるって知ったら、悪役令嬢に優しくしなくなるんじゃない?私って天才かも!

「アル様、私……ルナリアさんに虐められてるんです」

 そう言いながらアル様の手を握ろうとしたのに、避けられた気がする。私の手を避けるなんて有り得ないから…本気で驚いてる。

「えっ……あっ……ルナリアさんがいるから……ですよね」

 そうだった。此処には悪役令嬢が一緒にいるんだった。紳士的なアル様は、どんなに嫌いな相手でも、王族として最低限の礼儀を以て接するって書いてあったけ?
 アル様の求めてる言葉は確か………

「私!アル様が頑張ってること!分かってますから!」

 アル様は王族としての責任?とか義務?とかを重んじるから、ステータス上げとアル様のことを理解してますってアピールが大切なのよね。難易度MAXでほぼ攻略不可能とされてるキャラだから、前世では全然駄目だったんだけど、この世界なら大丈夫でしょ!

「殿下、これ以降は私がお相手いたします」

 何でアンタが出てくるのよ!私がアル様と話してるんだから邪魔しないでよね!空気読みなさいよ!

「貴女、先程から不敬ではなくて?」

(不敬って何が?)

 ヒロインが攻略対象に話しかけて何が悪いのよ!アンタこそ私にそんな口聞いていいと思ってるわけ!?

「酷い!そうやって私を虐めるんですね!」

 悪役令嬢らしくなってきたんじゃない?これを見れば誰だって私が虐められてるって分かるよね?

「子爵令嬢が殿下を愛称で呼ぶことが不敬だと云っているのよ?」

 やっと本性を現したわね!これでシナリオを進められる!

「学園に身分を持ち出すなんて最低です!」
「大切なことですわ。誰も彼もが殿下に気安く話しかけては困りますもの……貴女のような方は特に」
「聞きましたか!?アル様!これがこの女の本性なんです!」

 悪役令嬢は悪役令嬢らしく、もっと私を虐めなさいよね!

「そのような些末な事はどうでも宜しいわ」
「難しい言葉を使うなんて酷い!」

 些末って何?どういう意味?意味分かんない!そんなことより、言わなくちゃいけないことがあるんだった。

「アンタでしょう!皆がいる所に行けないようにしたの!」
「皆……というと?」
「皆は皆よ!馬鹿じゃないの!?」

 皆は攻略対象のことに決まってるじゃない!どうせアンタも転生者なんでしょ?此処まで何もしてこないってことは、そういうことでしょ?分かってるくせに!ホント、嫌な女!

「皆がいる所が何処かは存じ上げないけれど、何のことを云っているのかしら?説明して頂ける?」
「南棟よ!アンタでしょ!!行けなくしたの!」
「……当然ですわ、入学初日に不審者が現れたのですもの」
「誰よ!?ソイツのせいって事!?」

 嘘でしょ?この女以外にも転生者がいるってこと?その女はヒロインの座を狙ってるの?………最悪なんですけど。
 私はライトユーザーだし、アル様ルートに至ってはハッピーエンドどころかノーマルエンドすら見たこと無いのよね。
 ソイツがヘビーユーザーだったら詰んでるけど、私と同じ北棟から出られない系なら別に悪くないかも。
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