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転生辺境伯令嬢の一途な愛
婚約成立(弟の)
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お父様がヴォルフに縁談の話を持ち掛け数日が経過した頃、家族総出で公爵家にお邪魔することになった。
ヴォルフが心配なのは理解できるのだけれど、家族総出で行く必要性は無いのではないかしら?
お父様、お母様、お兄様二人にヴォルフと私。大きな馬車の筈ですのに、何故かとても窮屈に感じますわ。
私もヴォルフも発展途上ですから、まだ小柄で宜しいのですけれど、お兄様たちは成長期ですのよ?
私が多少の不満を感じていた時、緩やかに馬車が停止した。
恐らくは公爵家に到着したのだろうと思われるのだけれど、幾ら私の神経が図太いとはいえ、湖に突き落とした相手の本拠地に立ち入るのは緊張するものね。
ここは影に徹するのが賢明かしら?
「ようこそ、ローゼンハイム辺境伯」
「大勢で押しかけるような真似をして申し訳ない」
「いや、事前に報せはあったのだから問題はない。それより、我が娘の相手というのは?」
「それなんだが………ヴォルフラム」
「………………はい」
私たちの紹介が二の次ということは、本題はヴォルフの婚約なのでしょうけれど、それでは私たちが同行を頼まれた理由が分かりませんわ。どういうことですの?
考え事をしている間に一通りの挨拶を終わらせたようだけれど、ヴォルフの瞳に光が戻ったのは喜ばしいことよね。
私の気の所為でなければ、彼女…ヴォルフの傷跡がカッコいいと言わなかったかしら?
あの傷跡が醜いと言う子たちはいたけれど、カッコいいと言ったのは彼女だけ。とても嬉しく思うわ。
けれど、あの子に出会ってしまったから、申し訳ないけれど……その言葉を信じることは出来ないわ。少なくとも今は……ね。
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
「ヴォルフラム、彼女とは上手くやれそうか?」
「はい!彼女は可愛いです!」
「……………………………」
ヴォルフ、貴男が気が付いているかどうかは分からないけれど、全く会話になっていないわよ。
とはいえ、此処まで惚れ込んでいるのなら、私の目的に全力で手を貸してくれそうで安心したわ。
「お父様」
「アイリス……どうしたんだ?」
アル様の好みは熟知しているもの。死ぬまで演じ抜いて、私の本性は墓場まで持って行く覚悟よ。
「王太子殿下の婚約者候補は仕切り直しですの?」
「いや、まだ公表していないから油断は出来ない」
そう、まだ油断は出来ないのね。理解したわ。
私は横目でヴォルフの顔を見て……驚いた。まさか、ヴォルフが私と同じタイプの人間だったなんて。
「……公爵様とは親しくなれそうです!」
「いやいや……お前が親しくなるべきはルナリア嬢だろう?」
いいえ、お父様。貴族にとって親しくなるべき相手は【外堀の筆頭】である両親で間違いないわ。
ご両親……彼女の場合は父親だけだけれど、その方からの信頼を得られれば、万が一にも王家が介入しようとした時、公爵様が全力で抵抗してくださるもの。
お茶会での噂は任せておきなさい。貴男とドラグーン公爵令嬢が相思相愛であると吹聴して差し上げるわ。
勿論、私がアル様と婚姻するための臨時協定よ?
それでも彼女の愛人候補になりたいと思う者も居るでしょうけれど、それに関しては自分でどうにかなさい。
その対価と言うわけではないけれど、アル様と婚約できるように全力で力を貸してもらうわよ?
貴男がこれから背負う肩書は大いに利用できるもの。
私は…アル様の隣を勝ち取るためなら、何だって利用するわ!
心の清らかな女に王妃など務まらないと思いませんこと?
この思いが現実になる日は近い。
ヴォルフが心配なのは理解できるのだけれど、家族総出で行く必要性は無いのではないかしら?
お父様、お母様、お兄様二人にヴォルフと私。大きな馬車の筈ですのに、何故かとても窮屈に感じますわ。
私もヴォルフも発展途上ですから、まだ小柄で宜しいのですけれど、お兄様たちは成長期ですのよ?
私が多少の不満を感じていた時、緩やかに馬車が停止した。
恐らくは公爵家に到着したのだろうと思われるのだけれど、幾ら私の神経が図太いとはいえ、湖に突き落とした相手の本拠地に立ち入るのは緊張するものね。
ここは影に徹するのが賢明かしら?
「ようこそ、ローゼンハイム辺境伯」
「大勢で押しかけるような真似をして申し訳ない」
「いや、事前に報せはあったのだから問題はない。それより、我が娘の相手というのは?」
「それなんだが………ヴォルフラム」
「………………はい」
私たちの紹介が二の次ということは、本題はヴォルフの婚約なのでしょうけれど、それでは私たちが同行を頼まれた理由が分かりませんわ。どういうことですの?
考え事をしている間に一通りの挨拶を終わらせたようだけれど、ヴォルフの瞳に光が戻ったのは喜ばしいことよね。
私の気の所為でなければ、彼女…ヴォルフの傷跡がカッコいいと言わなかったかしら?
あの傷跡が醜いと言う子たちはいたけれど、カッコいいと言ったのは彼女だけ。とても嬉しく思うわ。
けれど、あの子に出会ってしまったから、申し訳ないけれど……その言葉を信じることは出来ないわ。少なくとも今は……ね。
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「ヴォルフラム、彼女とは上手くやれそうか?」
「はい!彼女は可愛いです!」
「……………………………」
ヴォルフ、貴男が気が付いているかどうかは分からないけれど、全く会話になっていないわよ。
とはいえ、此処まで惚れ込んでいるのなら、私の目的に全力で手を貸してくれそうで安心したわ。
「お父様」
「アイリス……どうしたんだ?」
アル様の好みは熟知しているもの。死ぬまで演じ抜いて、私の本性は墓場まで持って行く覚悟よ。
「王太子殿下の婚約者候補は仕切り直しですの?」
「いや、まだ公表していないから油断は出来ない」
そう、まだ油断は出来ないのね。理解したわ。
私は横目でヴォルフの顔を見て……驚いた。まさか、ヴォルフが私と同じタイプの人間だったなんて。
「……公爵様とは親しくなれそうです!」
「いやいや……お前が親しくなるべきはルナリア嬢だろう?」
いいえ、お父様。貴族にとって親しくなるべき相手は【外堀の筆頭】である両親で間違いないわ。
ご両親……彼女の場合は父親だけだけれど、その方からの信頼を得られれば、万が一にも王家が介入しようとした時、公爵様が全力で抵抗してくださるもの。
お茶会での噂は任せておきなさい。貴男とドラグーン公爵令嬢が相思相愛であると吹聴して差し上げるわ。
勿論、私がアル様と婚姻するための臨時協定よ?
それでも彼女の愛人候補になりたいと思う者も居るでしょうけれど、それに関しては自分でどうにかなさい。
その対価と言うわけではないけれど、アル様と婚約できるように全力で力を貸してもらうわよ?
貴男がこれから背負う肩書は大いに利用できるもの。
私は…アル様の隣を勝ち取るためなら、何だって利用するわ!
心の清らかな女に王妃など務まらないと思いませんこと?
この思いが現実になる日は近い。
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