【完結】前提が間違っています

蛇姫

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転生辺境伯令嬢の一途な愛

ストーカー未遂

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 教員に色仕掛けをしようと試みる辺り、前世でも貞操観念が薄かったのでは無いかと判断した私は、例の(名前で呼ぶのも煩わしい)女をルナが惹きつけてくれている間に、攻略対象の方々に変装技術を叩き込んだ。……前世でのコスプレ技術が活きる日が来るなんて思ってもみなかった。何でも経験しておくものね。

 私は、乙女ゲームの知識を総動員して、例の女をアル様のストーカーに仕立て上げ………いえ、良く考えなくてもストーカーよね?
 行動を先回りするのよ?ストーカー以外の何だというの?誰だって【気まぐれな行動】を先読みされたら怖いわよ。
 アル様の記憶に残ることすら赦さない。ストーカーとして記憶に残ろうだなんて烏滸がましいにも程があるわ!

「リリー」
「どうなさいましたの?アル様」

 もう直ぐ長期休暇に入り、多くの学生は帰郷する。それも含めて対策を取って置きたいのだけれど、一人では限界がある。……とはいえ、乙女ゲームを全く知らないルナに頼るのも違う気がするのよね。悩みどころね。
 それよりも、アル様の用事と言うのは何かしら?それによって、対策を検討しても遅くはない……わよね?

「私と一緒に避暑地に行かないか?」
「行きますわ!」

(食い気味に云ってしまいました……どうにでもなれ!)

「良かった……断られたら…どうしようかと思っていたから」
「……………………」

 尻尾が見えますわ。このお姿が偽りであると理解していても、可愛いものは可愛いですわ。
 先程まで必死で頭をフル回転させておりましたのに、今ので総て吹き飛んでしまいましたわ。…………避暑地?
 避暑地って……イベントにありましたわよね?確か好感度が一定以上を超えた場合にのみ発生する特別なイベント。
 例の女は避暑地イベントも、どうにかなるの精神で無理やり発生させようとしているのかしら?
 この場合には、現実的に考えて(貴女が)危ない橋を渡ることになるのだけれど、心配ね……色々と(準備しておかないと)。

「アル様の誘いを私が断るなど……有り得ませんわ」
「……………その言葉、忘れないでね?」

 あら?何か失敗したかしら?…………あっ、この台詞……監禁溺愛ルートの………考えるのは止めましょう。
 私の未来は監禁されることが確定しただけ。そう、それだけよ。アル様に嫌われたわけではないわ。前向きに考えましょう。

「ルナとのお茶会は赦されるかしら?」
「………勿論だよ、私のリリー」

 良かった。少なくともルナとのお茶会は赦された。相手が女性なら宜しいのかしら?それとも、一途な女性なら宜しいのかしら?その点に関しては、ゆっくり考えると致しましょう。
 そんなことより、私が避暑地に誘って頂けたことが重要ですわ。他の方々もお誘いしたのかしら?勿論、自分の婚約者たちを。
 そうでなければ、例の女を誘ったことになりますわ。あれほど厭わしく思っている相手を誘うとは考え難いですけれど、万が一にも今更ながらに強制力が働く可能性はありますものね。

「他の殿方も婚約者をお誘いに?」
「ん?………どうして、気になるのかな?」
「例の女子生徒をお誘いする方がおられないかと……」
「ふふっ……心配?」
「ええ………とても」

 とても心配ですわ。話が全く通用しない相手と暫くの間ご一緒するという状況は絶対に避けたい所。

「安心して?婚約者同士の合同親睦会のようなものだから」
「……それならば安心ですわね」

 合同親睦会……の、ようなもの?ようなものって?合同親睦会では無いということですの?それとも親睦……アル様の笑顔が素敵なので、どうでも良くなりましたわ。
 何事もなく終業式を迎えることが出来れば宜しいのですけれど。
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