状況の人、異世界で無敵勇者(ゲームチェンジャー)を目指す!―加筆修正版―

三〇八

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状況の人、異世界で無双する

状況の人、「話は聞かせてもらったぞ!」7

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「……それ、悩むことか?」
 事も無げに言う龍海。洋子、思わずチラ見。
「だって……同じ異世界人だよ? 立場は同じだよ? なのに、あたしは自分では何も決められなくて、でもシノさんは……」
「これでも俺は、おまえより15年長く生きてんだよ? それでお前と同じ反応じゃあ、さすがにこっちが情けないだろ?」
「でも、この世界の経験はお互いゼロじゃない?」
「その基準はどうかな~。それに俺は女神さまから、ある程度のレクチャーは受けてたから腹は括ってたしな。いきなり王宮へ放り込まれたお前より有利だったさ。てか前にも言ったけど、そんな状態でもお前は城から脱走するだけの決断力や行動力は有ったんだぜ? 結構すげぇことだと思うぞ?」
「逃げただけだもん……」
「ホントの役立たずは逃げる事すら出来ないんだよ。あまり自分を下げるなよ」
「でも……」
「お前の最終目標は日本に帰ることだろ? そのためには利用出来るものは何でも利用しろよ。代わりにお前はその超人的な魔法力、戦闘力を提供するんだから、そうだなぁ……カレンの言葉を借りれば、天秤は釣り合っている、と思うけどな」
「……」
「俺だって、この難関越えなきゃ、この世界で一生逃げ回る事にもなりかねないし、そんなのゾッとしねぇし。それには勇者として覚醒したお前の力が必要になるんだ。落ち込むなよ、お前の出番はまだこれからだよ?」
 やああぁ!
 一段と大きな叫び声が河原から聞こえてきた。
 ばかもーん! 声だけデカくてどうするか―! と教官の声も響いて来る。
 それでいいのかな? と聞こうとした洋子の気が削がれてしまった。
 洋子は、もう一度聞き返そうとしたが思い留まり、口にすることを止めた。
 ――自分で決めていいんだ……ううん、決めるべきなんだな……
「ごめんね、シノさん」
「ん? まだ謝んのか?」
「だって、脚引っ張っちゃうとこだったもの。あたしは、メルさんたちが思う様にアデリアと魔導国との併合が実現できれば、帰還儀式用の宝珠がもらえる事になってるし、懸念が一つ消えたんだから安心するとこだもん。だけどシノさんはこれからはあたしより大変だもんね。メルさんと結婚するのか、王女様とになるのか、頭痛いよね」
「はは、確かにな~」
 笑顔が戻った洋子に、龍海ちょっと安堵。
「でも12歳相手はねぇよなぁ~。実際の婚姻は数年後だとしても……」
「やっぱメルさんの方がいい?」
「いや、それはそれでなぁ。お前じゃないけど、周りに流されて行ってる感ハンパ無ぇしぃ。キスしただけでそのまま結婚とか」
「へ~、キスまではしてたんだ~。や~、おめでと~。年齢=彼女無し卒業じゃ~ん~?」
 嫌味&皮肉っぽい含み笑いを浮かべて半眼くれてくる洋子。しかし龍海。
「あ~、おまえには隠さずに本当のこと言うよ。俺がメル……その時はイノミナだったけど、専属雇用するって言ったのをプロポーズと勘違いされてな~。そのまま……言い訳がましいけど、そのまま奪われたってとこなんだよな~」
「なにそれ~? 歳上のお姐さんならともかく、歳下にリードされるとか? も~、これだから長年童貞拗らせた奴ときたら!」
「うあ~、返す言葉が無ぇ~」
「でもまあ瓢箪からコマ、じゃないけど、おかげで戦わず併合とか合併とかの目も出て来たし、あたしとしては喜ぶべきところよねぇ」
「でまあ、今後は早急に王都に赴いて、状況報告とメルの提案を俺から国王や、他の重鎮に説明してくれってレベッカさんがな」
「そっか、状況がコロッと変わっちゃったもんねぇ。その方がいいのかな? 12歳の花嫁候補も待ってるし?」
「マジでそっちの趣味は無ぇんだって!」
「大丈夫、お姫さまも実物見りゃ幻滅するかもだし?」
「おい、また貶すのかぁ? マジでロープ探すぞぉ?」
「いいじゃん、いきなりのモテ期到来で足元疎かにしないための用心だとでも思いなさいな。それに、あたしは相変わらず年齢=彼氏いない歴続行中だしぃ?」
「やっかみ入りかぁ? 王都なら地方の若い貴族も出仕してるかもだし、いい男いたら誘えば? 勇者様の誘いなら断らんだろ~?」
「あたしは日本へ帰る身なんだから、そう言うのは無しよ。シノさんじゃないけど、いろいろ付き纏われても……付き纏うと言えばカレンは? レベッカさんとの合議にも姿見なかったけど?」
「ああ、それがちょっとの間、暇くれって言われてな」
「暇?」
「なんか古龍同士の会合が定期的にあるらしくて、西の海のどこかの島に集まるんだとよ。自分らを取り巻く近況報告とか、餌場の情報とか、人間社会の動向情報だとか交換し合うらしい」
「古龍の女子会……かな?」
「そんなとこかねぇ。んで、手土産が欲しいっつーてビールやら肉やら、せがまれたよ」
「え~、大丈夫? 古龍の好みが同じなら、今後もたかられちゃうんじゃない?」
「その辺は秘匿する様に念を押しといたよ。そこはカレンもわかってるだろうし」
 洋子は気に病んでいたさっきまでの事を、すっかり忘れたように龍海と駄弁り始めた。
「でもさあ、シノさん?」
「あ? なんだ?」
「実際のところさ、シノさんはメルさんの事、どう思ってんの?」
「どうって……ん~、好きか嫌いかって事か?」
 ふ! 龍海が聞き返すと洋子は鼻で笑った。
「そんなの『好き』に決まってるでしょぉ? 違う? あたしが言ってんのはその先!」
「先……って?」
「プロポーズ!」
「あ、あははぁ……え~、いやそれは~……人に言う事じゃ……」
「……」
 洋子ちゃん、再び半眼でジト~。
「あ~……ん、そうだな。おまえにだけは言っておくか……実はなぁ……」
 うおおー!
 いきなり響いた兵たちの大声。
 連隊はレベッカの通達によって明日には帰営する旨が伝えられ、訓練をやり遂げた兵たちが一斉に歓声を上げ、二人の会話を飲み込んでしまった。
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