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6-4 グッド・ナイト・ナイトメア
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その場にいる、全員が息をのむ。
ドアを抜けると、薄暗い階段が下へ下へと伸びていた。
いくつものカツン、カツン、という靴音がどこまでも反響していく。
しばらくして階段を降り切ると、空き教室がずらりと並んでいた。
そのなかに、ひとつだけ電気がついている教室がある。
「行こう……」
ユミルが、先陣を切っていく。
それにハニービー、ククル、バベル、トロン、アロマが続いた。
あかりのついた教室の表札には、『悪夢実験室』と書かれていた。
ユミルがなかをそろりと、のぞき込んだ。
とたん血相を変えて、中へと飛び込んでいく。
「何してるの、クズキリくん!」
あわててククルたちも教室のなかを見ると。
そこには、並んだ机に突っ伏しているエルとリズがいた。
どうやら、眠っているようだ。
机の前には、表情のないクズキリ先生がふたりを見下ろしていた。
「ユミル。なぜここに。悪魔サンプルは……ああ、きみたちが彼女の悪夢を食べてしまったのか。計画が狂ってしまった」
「クズキリくん! あなたは彼女たちに何をするつもりなの」
ユミルの叫び声に、クズキリ先生はニヤリ、と笑んだ。
それはまるで悪魔のような笑顔で。
これまでに一度も見たことがない、クズキリ先生の一面だった。
「クズキリ先生がこんな顔をするなんて」
ククルは血の気が引いていくのを感じた。
遅刻してしまった入学式。
あの時、クズキリ先生に言われた言葉をククルは一語一句、間違えずに思い出せる。
——寝られない人の気持ちは夢見士として、理解していなければならない。よい心がけだ。
決して責めることだけをしない優しさ、心の広さに、ククルは一瞬でクズキリ先生のことが大好きになった。
「担任の先生がこの人でよかった……そう思ったのに」
心のなかにぽっかりと、穴が空いてしまった……そんな心地がした。
「クズキリくん! 答えて!」
ドアを抜けると、薄暗い階段が下へ下へと伸びていた。
いくつものカツン、カツン、という靴音がどこまでも反響していく。
しばらくして階段を降り切ると、空き教室がずらりと並んでいた。
そのなかに、ひとつだけ電気がついている教室がある。
「行こう……」
ユミルが、先陣を切っていく。
それにハニービー、ククル、バベル、トロン、アロマが続いた。
あかりのついた教室の表札には、『悪夢実験室』と書かれていた。
ユミルがなかをそろりと、のぞき込んだ。
とたん血相を変えて、中へと飛び込んでいく。
「何してるの、クズキリくん!」
あわててククルたちも教室のなかを見ると。
そこには、並んだ机に突っ伏しているエルとリズがいた。
どうやら、眠っているようだ。
机の前には、表情のないクズキリ先生がふたりを見下ろしていた。
「ユミル。なぜここに。悪魔サンプルは……ああ、きみたちが彼女の悪夢を食べてしまったのか。計画が狂ってしまった」
「クズキリくん! あなたは彼女たちに何をするつもりなの」
ユミルの叫び声に、クズキリ先生はニヤリ、と笑んだ。
それはまるで悪魔のような笑顔で。
これまでに一度も見たことがない、クズキリ先生の一面だった。
「クズキリ先生がこんな顔をするなんて」
ククルは血の気が引いていくのを感じた。
遅刻してしまった入学式。
あの時、クズキリ先生に言われた言葉をククルは一語一句、間違えずに思い出せる。
——寝られない人の気持ちは夢見士として、理解していなければならない。よい心がけだ。
決して責めることだけをしない優しさ、心の広さに、ククルは一瞬でクズキリ先生のことが大好きになった。
「担任の先生がこの人でよかった……そう思ったのに」
心のなかにぽっかりと、穴が空いてしまった……そんな心地がした。
「クズキリくん! 答えて!」
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