アポロ・ファーマシー

丸玉庭園

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3-7 ベリリの溜息

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「ソレイユの花の種みたいな薬で、友情じゃなくて、愛を咲かせるような、そんな薬は……ないかな」
 エイキの注文に、玉野とモコは顔を見合わせた。
「エイキくん。それって、お兄さんたちに?」
「頼まれただけ。アポロファーマシーにそういう薬がないか、聞いておいてくれって」
「……エイキくん。大人な恋、してんだねえ」
「ほんっとうるさいな、お前は」
 エイキとモコのやりとりに、かぶりものの中で「ふふふ」と笑う玉野。
「もちろんありますよ。アポロファーマシーには万能薬しかありませんから」
 
 ――カラン。
 ドアベルとともに、アポロファーマシーを出ていくエイキを見送る玉野とモコ。
 エイキが大事そうに抱えていった紙袋には、【ポム・ダムールのジャム】という処方箋が入っていた。
 モコはショウガのスープをすすりながら、玉野にたずねた。
「【ポム・ダムールのジャム】ってどんな薬?」
「もちろん、‶永遠の愛が生まれる薬〟ですよ」
「当然、副作用もあるんでしょ」
「ええ。もちろん、お渡しした説明書に書いてありますよ」
「どんな副作用なの?」
「‶一週間、二人で食べているところを、誰にも見られてはいけない〟」
 スープを飲みながら、モコは「ふうん」と口をとがらせた。
「エイキくん、複雑だろうなあ」
「日向さん」
 カラスのかぶりものの奥から、まっすぐな瞳を向けられ、モコはゴクンと喉を鳴らした。
「恋ってそういうものなんですよ。日向さんも、いずれわかります」
「そんな日がくるかな……」
「そうなった日にはどうぞ、アポロファーマシーをご利用ください。さまざまな万能薬が日向さんをお救いしますよ」
 穏やかな口調でそう言われ、モコは「副作用さえなければなあ」と乾いた笑みを浮かべた。
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