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丸玉庭園

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第一章 恐怖のメゾンへようこそ!  

二 ひとりめのお客さま  

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 そして……いよいよ、オープン一日目!
 メゾン・ド・ストレンジに、ひとりの女の子がやってきた。
 さっそくキュウビが、人間の紳士に化け、出むかえる。
「ようこそ、我がメゾンへ。お客さまのお名前をお教えいただけますか?」
 女の子は、戸惑うように答えた。
「ホノカです」
 きれいに改装された、メゾン・ド・ストレンジのエントランス。
 赤い猫足のソファが四脚、円を描くように置かれている。
 そのそばには丸テーブルがある、VRゴーグル。
 キュウビがVRゴーグルを手に取り、ホノカに手渡す。
「では、ホノカさま。こちらをつけてください。すぐに、目の前にさまざまなストーリーが表示されます。そうしましたら、ホノカさまのお好きなストーリーを選んでください」
「はい。選びました」
「オーケーです。なるほど……【キボウの筆】を選ばれたんですね。これからホノカさまは、こちらのVRオバケ屋敷の主人公となって、不思議な筆にまつわる恐怖体験をしていただくわけですが……申し訳ありません。途中でリタイアすることはできない仕様となっております……よろしいでしょうか?」
「私、怖いの平気なんで大丈夫です~」
「それはよかった! では、ホノカさまが心地よい恐怖に出会えますように――」
 キュウビの犬歯が、怪しく光る。
 しかし、ホノカはゴーグルをつけているので、それを見ることはなかった。
 ゴーグル内の画面が、暗転する。
 ホノカの目の前に、ストーリーのタイトルが、じんわりと浮かびあがった。

 【キボウの筆】

 ホノカは近所の文房具屋で、一本の筆を見つけた。
 その筆には、なんのポップもつけられていなかった。
 文房具屋のすみに、打ち捨てられるように置かれていたのを見つけたのだ。
 薄汚れていて、何の汚れかよくわからない茶色のシミが所々についている。
 どう見ても汚らしい筆なのに、ホノカは妙にそれが気に入ってしまった。
 自分でも不思議だった。ラメ入りのマーカーペンを買う予定だったのに、実際に手に取ったのは、古臭い筆。
ホノカのお財布では、両方買うことは難しいので、今回はマーカーペンは諦めることにした。
 筆の値段はいくらだろう。値札を探すが、見つからない。
 ホノカは筆を手に取ると、店主のおじいさんが座るレジカウンターに持って行った。
「あの、この筆を買いたいんですけど、いくらですか」
 筆を手に取ると、おじいさんは不思議そうに首を傾げた。
「おかしいな。値段シールがどこにもついてないなんて。何かの拍子で外れてしまったんだろうか……」
 疑問符を浮かべながら筆を調べ終えると、おじいさんは「ううん」とうなってからい
った。
「ずいぶん古い筆のようだし、五十円でいいよ」
「えっ。本当ですか」
「ああ。こんな筆を買ってくれるお嬢さんに特別サービスだ」
「やったあ。ありがとうございます」
 ホノカは財布から五十円を取り出し、コイントレーに置いた。
 おじいさんからレシートを受け取ると、清々しい気分で文房具屋をあとにした。
 筆が五十円で買えたとあって、お小遣いはずいぶん浮いた。
 買えなかったマーカーペンのことは、すっかり忘れてしまっていた。
 早く帰って、この筆で文字を書きたい。
買ったばかりの筆のことで、頭の中はいっぱいだった。
(この筆を早く使いたい——早く。早く。早く!)

 家に帰ると、ホノカはさっそく習字セットを引っ張り出した。
 すずりに、墨汁を垂らしていく。
 半紙を文鎮でとめると、真っ白な筆先をそっと墨汁につけた。
「さて、なんて書こうかな……。そうだ。この間、書写の時間で描いた〝希望〟にしよう」
 書き始めの位置に筆を置くと、まず一画目の線をスッと引く。
 すると、どうだろう。
 今までの筆の書き心地とはまったく違うことにすぐ気づく。
 するするとした書き心地。
 美しい、墨のにじみかた。
 持った感覚も、筆の毛先の流れかたも、今までの筆とは比べ物にならない。
 筆先は固くも柔らかくもなく、なめらかでするっとしており、触るとなぜだかほんのりと温かみを感じた。
「この筆、いいっ」
 どんな文字でも美しく書けてしまいそうだと思えるほどに、その筆は自分の指にフィットしていた。
 この筆はきっと、いい素材で作っているに違いない。
 もともとはそうとう高い値段のものだったんだろう。
 そんなシロモノが五十円で買えただなんて、自分はとても運がいいなあ。
 〝希望、夢、明日、光、友達……〟。
どんどんと新しい言葉を半紙に書いていく。
 習字を習っていない自分が、こんなにうまく文字を書けるようになるなんて!
 クラスメイトたちの驚く顔が、目に浮かぶようだった。
 急に書道が上手になった自分の字を見て、友人たちはなんというだろう。
 そんなことを想像しながら、ホノカは次から次へと文字を書いていった。



「ホノカってば~、どんな裏ワザ使ったの」
「習字はじめてないのに、いきなりこんなに上手になっちゃってさ!」
「クラスで一番うまいじゃん。ホノカ、すげえよ! めっちゃ練習したんだな!」
 想像通りのクラスメイトたちの反応に、ホノカは照れながらも内心でガッツポーズをとる。
 練習なんて、一切してない。
 うまくなった理由は、ただ単にすごい筆を使っているだけのこと。
 しかし、どんな形であれ、やはり褒められるのは嬉しかった。



 それからホノカは、もっともっとこの筆の力を使ってみたいと思った。
 こんなすごい筆が手元にあるのだから、使わない手はなかった。
「小学生向け書道コンクールか……これに応募してみようかな……。これで本当に賞がとれたら、この筆は本物だよ」
 ホノカはすぐに適当な文字を書いて、コンクールに応募した。
 適当に書いたにも関わらず、書けた文字はとんでもなく美しかった。
 そして数か月後、コンクールの結果が出た。
「嘘でしょ……。私が、金賞っ?」
 喜びよりも先に、自分が書道で結果を残せるときが来るなんてと、ぼうぜんとしてしまった。
 何の努力もしていない自分が習字の賞を取ってしまったことに、とてつもない違和感を感じた。
 改めて、本当にすごい筆だと思ったが、それと同時に恐ろしさを感じるようになっていた。
 自分の能力よりも上の結果がすんなりと出たことに筆に対して、気味の悪さを覚えた。
 今でもホノカは、普通の筆だと下手な文字しか書くことができない。
 コンクールでの受賞は、完全にあの筆の力でしかないのだ。
 そのことに改めて気づいたホノカは、この筆を使い続けるべきなのか悩んだ。
 悩みに悩み、明日授業で書道の時間があることに気づいた。
「明日の授業が終わったら、この筆は文房具屋さんに返しに行こう」
 捨てることはなんだか怖くて、どうしてもできなかった。
 〝道具にも意思があるんだよ。人間にされたことに対して嬉しいとか、悲しいだとか、そういうことを道具も思っているんだ。〟
 昔、おばあちゃんがそんなことをいっていたのを、思い出してしまったからだ。



 次の日の昼休み。
 もうすぐ五時間目の書道の時間が始まろうというとき、ホノカはひとり、トイレの個室にこもっていた。
 はあ、はあ、という息づかいを必死で手でおさえる。
 心臓がバクバクとうるさい。
「何で……何で……」
 あふれてくる涙を、止められない。
 震える手で、肩まで伸びたセミロングの髪の束に手を伸ばす。
 一生懸命伸ばした、セミロング。
 大好きな、同年代のガールズパフォーマンスグループ。
 そのセンターの子の髪形にしてくださいと、わざわざサロンでカットしてもらったのだ。
 大切に大切に伸ばしてきた髪の毛。
 その一束を、つかむ。
 瞬間、ずるっと髪束がぬける。
 何百本もの髪の束が、毛根からぬけ落ちた。
 ホノカの手のひらには、一生懸命伸ばしてきた自分の黒髪がのっている。
「また……! な、何で……っ」
 ずるりと抜けた自分の髪束を見つめ、ホノカの歯列は恐怖にカチカチと音を立てた。
 まだ、小学六年生だというのに、なぜこんなにも大量の髪がぬけるのか、理解できなかった。
 ストレス? 栄養不足? 何かの病気?
 色んな考えが、頭をよぎる。
 ――トイレに駆けこんだのはついさっきのことだった。
 掃除の時間、ホノカはほうきでせっせと廊下の掃除をしていた。
 給食を食べ、お腹がいっぱいになったためか、「ふわあ」とあくびが出る。
 いかんいかん、とホノカはゆるみ切った顔を引きしめる。
 身だしなみを整えようと、セミロングの髪に手ぐしを入れた、右手がするっとなめらかな髪を通る。
 その時だった。
「ひいっ……」
 出かけた悲鳴をあわてて、押し殺した。
 自分の指にごっそりと、髪の束がからみついていたのだ。
 こんなところ誰にも見られたくない、とホノカは反射的に叫び出しそうになるのをこらえた。
 そして、あわててその髪をスカートのポケットに突っこんだ。
 廊下の掃除をむりやりに終えたホノカは掃除が終わったらしいトイレに急いで駆けこむ。
 ふと、ぬけ落ちた自分の髪を見つめながら、ホノカはその束感の感触に覚えがあることに気づいた。
 固くも柔らかくもなく、なめらかでするっとしており、触るとなぜだかほんのりと温かみを感じる。
「……あの筆と、同じ触り心地だ」
 それに気づいたとたん、ホノカはトイレを飛び出した。
 保健室に駆けこむと、保健室の先生に「体調が悪い」と告げた。
 確かにホノカの顔色が悪いことに気づいた先生は、ただちに担任にそのことを報告する。
 あっというまにホノカの帰り支度は整った。
 保健室の机に置かれた、ランドセル。
 その隣には、習字道具カバンも並んでいた。
 ベッドに横になりながら、それをボーっと眺めるホノカに、先生が優しくいった。
「おうちのかた、すぐ迎えに来るからね」
「……はい」
「ちょっと職員室にホノカちゃんのようすを報告してくるから、待っててね。寝ちゃっても大丈夫だから」
「……はい」
 そういわれ、緊張がほどけたホノカはすんなりと眠りのなかに落ちていった。



 気づくと、自室のベッドの上だった。眠っている間に迎えが来たらしい。
 部屋の中は真っ暗だった。窓の外は、もう夜になっている。
 学習机の上にはランドセル。その隣には、習字道具カバン。
 ホノカはベッドから起き上がると、部屋の電気もつけずに、習字道具を机の上に広げた。
 そして、古びた筆を手に取った。その筆先をじっと見つめる。
 白い筆先。
 柔らかくもなく、なめらかでするっとしており、触るとふしぎとほんのりとした温かみを感じる、その筆先。
 これは、人毛。
 人間の、毛だ。
 この筆は、人間の毛で出来ている。
 そう気づいた瞬間、ホノカは緊張と焦りでつい、頭をバリバリと掻いてしまった。
 部屋のフローリングにさっきまで自分のからだの一部だったものたちが、バサバサと落ちていく。
 ゾッとして下を見ると、床によどむ闇に広がる、黒い髪の毛。
「私の、私の髪が……」
 まるで、雑草のようにぬけていく髪の毛。
 そして、気づいた時には頭皮の半分の髪がなくなってしまっていた。
 暗闇にぼんやりと浮かび上がる、黒い塊。
 はだしの足の甲にも抜けた髪の束が乗っている。
 ぞわぞわと、ホノカの背中に寒気が走った。
「この筆のせいだ。この、筆のせいなんだ!」
 ホノカは引き出しからハサミを取り出すと、それで筆先をちょきんと切り落とした。
 パラパラと、筆の毛が机に落ちていく。
 はあ、はあ、と肩で息をしながら、ホノカは苛立たし気に、切り落とした筆先をにらみつけた。
 ――こんな筆で、希望とか。夢とか書いてたなんてっ。ばかみたい!
 ホノカは残った筆の柄をゴミ箱に捨てた。
「こんな頭じゃ、もう学校に行けないよ……!」
 ホノカはベッドにもぐりこんだ。
 その拍子にも、髪の毛が抜けた感触が起きる。
 ホノカは布団にくるまり、怒りと悲しさで声を押し殺して泣いた。

 その日の夜中。ふと目が覚めた。
 まだ、部屋は真っ暗だった。
 暗闇の部屋の真ん中に細長いものが落ちているのが見えた。
 ――筆だ。
 ホノカがゴミ箱に捨てたはずの、筆の柄だ。
 バクン、と心臓がはねる。
 どうして。
 誰があんなところに置いたんだ。
 焦るホノカに追い打ちをかけるように、その光景は目に飛びこんで来た。
 ――筆先が元にもどってる……。しかも、白い毛じゃなくて、黒い毛に……。まさか、あれって……〝私の毛〟……?
 何も食べていないからっぽの胃袋から、吐き気がこみあげてくる。
 一体、誰があの筆を直したんだ。
 〝道具にも意思があるんだよ。人間にされたことに対して嬉しいとか、悲しいだとか、そういうことを道具も思っているんだ。〟
 おばあちゃんの言葉が、頭のなかで鮮明に響く。
 その時、静かすぎるこの部屋に、ざざざという奇怪な音がした。
 ホノカの髪が毛根が、もぞもぞとうごめく。
 取られる! 私の、髪の毛が……!
 ――筆が、求めているんだ。新しい、筆先を。なくなった、筆先の代わりを。
 ざざざ、という音が止むと、真っ暗な部屋の真ん中でカラン、という音が聞こえた。
「これは、私の髪なの! もう止めて! これ以上……私の髪の毛をとらないで!」
 ホノカは悲鳴のように叫んだ。



 朝になっていた。
 あれは夢だったんだろうか、と思う。
 なぜなら、抜け落ちた髪が元に戻っていたのだ。
 真っ黒のセミロング。大人気のガールズパフォーマンスグループに憧れて、伸ばし始めた大切な髪。
 ホノカはホッと胸をなで下ろした。
 そうだ。あんなおかしな現象、夢でなくちゃなんだというのか。
 そう思って、ベッドから降りようと足をおろすと、指先にカツンと触れるものがあった。
 硬くて、細くて、長くて、冷たい――あの筆だった。
 その筆先には、固くも柔らかくもなく、なめらかでするっとしており、触るとなぜだかほんのりと温かみを感じる――黒髪。
 ホノカの黒髪がきれいに手入れされ、筆先でうごめいていた。

 【キボウの筆 おわり】

「はあ……っ! はあ……っ!」
 ホノカは汗だくになりながら、VRゴーグルを外した。
 とたん、自分の髪を確認する。
 大丈夫。
 来た時と変わらない。
 はち切れそうな心臓を抑えながら、ホノカは涙に濡れた顔をほんのわずかにほころばせた。
 すると、ホノカの気分とは正反対のやけに明るいキュウビの声が、エントランスに響き渡った。
「いやあ、お疲れ様でございました」
「あ、あ……あの、このオバケ屋敷のVR……」
「はい。どうでしたか? 怖かったですか?」
「こ……こ……」
「こ?」
「怖すぎますっ! こんなに怖くていいんですかっ?」
 ガチガチに歯を震わせながら、無意識に髪の毛を触っているホノカ。
「だって、オバケ屋敷ですから。怖いのは当然ですよね。フフフ、今度ともごひいきに!」
「もう来ません……か、かかか帰ります! みんなに怖いって、いいふらしてやるから!」
 走って、メゾン・ド・ストレンジを出ていくホノカに、満面の笑みで手を振るキュウビ。
「ぜひ、よろしくお願いします! 怖すぎるって、いいふらしてくださいね~!」
 ホノカが去ると、キュウビの背後には妖怪やユーレイたちが、ぼわわんっと現れた。
 みんなもう我慢できない、といわんばかりに、どっと笑い出す。
 人間の反応が、もうおかしくて、おかしくて、そして嬉しくてたまらないのだ。
 特にサイコは床を転げ回って、ゴムボールのように跳ねている。
「アーハッハッハ! フヒッフヒヒッ! あ~楽しいですね~! なんてゆかいなんでしょう~! 塩をかけすぎたポテトのように、もうやみつきですよー!」
 ユーレイも妖怪もみんなみんな、おおはしゃぎ。
 子規もなんだか嬉しくなって、キュウビを見上げた。
「大成功……かな?」
「もちろん!」
 キュウビは形のよいくちびるに笑顔を乗せ、いった。
「これから、よろしく。我がメゾンの、オバケ屋敷プロデューサー・子規くん!」

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