転生領主の領地開拓 -現代の日本の知識は最強でした。-

俺は俺だ

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二章 冬の寒さに備えて

歯磨き

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「カチャ」

 俺は、扉を開けてリビングの中に入ると、中には父さんと母さんが居て話しをしていた。

 はぁ……朝から二人とも元気が良いねぇ

 リビングでは、父さんが母さんのことをからかって遊んでいた。

 俺は、二人の会話(いちゃつき)を邪魔しないように、【隠密魔法】を使って椅子に座った。

 二人は、俺が椅子に座ってからも楽しそうに会話(いちゃつき)をしていて、母さんの顔は林檎のように赤くなっていた。

 ……楽しそうにいちゃつくのは良いんだげれど、流石に毎日は止めてほしいな

 周りを見ると、メイドのグランも苦笑いで二人の様子を見ていた。

 俺としては、二人の仲が良いのは嬉しいことだけど、流石に毎朝見せられると心が傷ついた。
 
 くそ……俺も彼女がいれば。

 彼女のいない俺にとって、二人のしていることはストレスにしか成らなかった。

 優しくて、温厚で、平和主義な俺だが、流石にストレスで頭が破裂しそうになったので、二人を止めることにした。

「父さんと母さん………いちゃつくのは別にいいけど、場所を考えて欲しいな。」

 俺がそう言うと、二人は顔を真っ赤にして恥ずかしそうにしていた。

「ほ…ほっ…ほらご飯も来たことだし早く食べようか。」

「そ…そ…そうねっ。冷めないうちに、早く食べましょう。」

 二人は、慌てたようにご飯を食べると、話しを切り替えるように、俺に話しかけてきた。

「ところで、カーナの言っていた歯ブラシと歯磨き粉とは何だ?」

「歯ブラシは、歯を磨くための物で、歯磨き粉は歯ブラシに付けて、歯を虫歯から守りやすくする物です。」

「ねぇ、ハク。歯を磨いてどうするの?」

 母さんは、歯を磨くことに疑問を持っているようだった。

 ……一応、日本では歯磨きによって風を予防したりする効果が証明されているんだが。

 俺は、風が予防出来ることを伝えようとしたが、原理が分からなかったので、適当に紛らわして説明をすることにした。 

「う~ん? 歯磨きをすれば、病気の感染を減らすことが出来るのかなぁ。」

 俺がそう言うと、父さんは机を思いっきり叩いて、驚いた表情で俺を見て来た。

「それは、本当なのか?」

「もし、そうだとしたらマハナベラス領を伝染病から救うことが出来るぞ。」

 父の一声で、マハナベラス領は伝染病が流行することで有名な地のことを思い出した。

 俺は、マハナベラス領の伝染病の感染者を減らす為に、歯ブラシと歯磨き粉を作ることを決意した。
 
 ……まぁ、【創造魔法】を使うだけなんだけどね。
 
 今年は、ハクトの働きにより、マハナベラス領では感染者が一人も出なかったらしい。

◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇

「……もう少し早く、ハクト様が産まれていれば……」

 私は、誰も居なくなった部屋で、伝染病で亡くなった母親を思い出して泣いていた。

 すると、扉が開いてハクト様が入ってきた。

 私は、ハクト様に泣いているのがバレないように、目を擦り欠伸を装った。

「ねぇ、グラン。少し話があるんだけど………」

「はい、なんでしょう?」

 苦笑いで、私はハクト様を見た。

「この魔道具を使って欲しいんだ。」

 ハクト様は、ポッケから道具を取り出した。

「これは、亡声器(ぼうせいき)と言って、亡くなってしまった人の考えが聞こえる器具で、売りたいと思っているんだけど、使えるか分からないんだ。」

 私は、ハクト様の言いたいことを察した。

 つまり、私に亡くなった人の声を聞いて欲しいということだ。 

 いつもなら断っているけれど、亡くなった母親の考えが知りたいので、使わせて貰うことにした。

   私は、亡くなった母親の顔を思い出しながら、亡声器を耳に当てた。

「もう少し生きたかったなぁ…………… グランの子供も見ていないし、後悔でいっぱいだよ。 ………でも、グランを無事に育て上げることが出来てよかったよ……」

 亡声器から聞こえる声は、伝染病のことでは無くて、私のことだった。

 私は、亡声器から聞こえる声に、泣いてしまった。

「もし、良かったら亡声器をグランにあげるよ。 だって、グランが使った方が良さそうだしね。」

 ハクト様は、私にそう言うと部屋を出ていった。

 この日が、私がハクト様にお使いしたいと思った日であった。




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