転生領主の領地開拓 -現代の日本の知識は最強でした。-

俺は俺だ

文字の大きさ
50 / 70
四章 風鈴の音

美の執念

しおりを挟む

「う、嘘でしょ。シャンプーとリンスが一年待ちなんて………」

 私は、メイドであるカシアに言われた言葉に、自分の耳を疑った。

「ええっと………お嬢様には大変申しにくいことなのですが……シャンプーとリンスの販売元であるライト辺境伯が、最近シャンプーとリンスの販売数を劇的に減らしておりまして、シャンプーとリンスがあまり市場に出回らないのです。」

 カシアが申し訳なさそうに、シャンプーとリンスの販売数が書かれた紙を渡してくると、シャンプーとリンスの販売数が四分の一程までに下がっていることが分かった。

「どうしてここまで販売数が下がるのかしら……………折角、ランド公爵の妻であるハルナ様みたいに、髪がさらさらになると思ったのに。」

 私が自分のパサパサな髪を触って溜め息をつくと、カシアが閃いたような顔で私にアドバイスをしてきた。

「それでしたら、サーファクルト辺境伯(ライト)に直接会いに行くのはどうでしょうか。………ルラ様のお父上様であるシマ様の方が、ライト辺境伯様よりも貴族階級が上ですしね。」

 カシアが首を傾げながらぽつりと言葉を漏らすと、私はカシアの言葉に首を縦に振って頷いた。

「で、でかしたわカシア。は、早くお母様のところに行ってお母様を説得しましょう。」

 カシアの腕を強引に掴むと、シャンプーとリンスの為にお母様のところへ走ることにした。

 ……これで、私の髪もばっちりよ。

 私は、自分の髪がさらさらになっているところを想像すると、自然に足に力が入っていった。

◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇

「確かに、それはいい考えね。」

 お母様に、カシアの考えを説明すると、お母様もいい考えとカシアのことを褒めていた。

「じゃあ、後はお父様だけど……………」

 私は、お父様に説明することを考えると、急に頭が痛くなってきた。
 
 …………だって、金と食べ物にしか興味がないあのお父様よ。

 どうしたらあの父親にシャンプーとリンスについて説得出来るかと考えたが、いい案は何も浮かばなかった。
 …………はぁ、私の夢も終わったのね。

 私は、お父様を説得することが無理だと分かると、肩の力が自然に抜けていくのが分かった。

「大丈夫よルラ。私があの人を説得しとくから。」

 お母様はウインクをしながら堂々と言っているが、私はお母様の言葉を未だに疑っていた。

「いくらお母様でも、おのお父様を説得するのは無理なのでは………」

 私は、お母様の目を剃らしながらぽつりと呟くと、お母様は黙ってしまった。
 
 ………やっぱり無理なんだわ。

 これ以上ここにいても仕方ないことを私は察すると、弱弱しく足を動かしてこの部屋を出ていった。





「はぁ~、シャンプーとリンス欲しかったな~」

 私が傷ついた心を部屋で癒していると、カシアがタコをひっぺがすような勢いで扉を開け、私の部屋に入ってきた。

「た、大変ですルラ様。ライト辺境伯の跡継ぎが近くに遊びに来ているらしいです。」

「何ですって‼」

 私は、カシアの次の言葉に興味を示した。

「どうやらライト辺境伯の跡継ぎは、ハクルド公爵様とランド公爵様と遊びに来たようで、商店街で楽しく買い物をしているとの情報が、各店の店主から送られてきました。」

 カシアが半ば興奮した様子で口を動かすと、私はとあることを決意した。

「ち、違う場所に行かれないように、早く跡継ぎ殿に会いに行くわよ。」

 着替え室から服を取り出すと、このチャンスを逃さないように、カシアに馬車を出すように指示を出した。

 ………あの父親の下に生まれてしまったことに、どれだけ泣いたか覚えていないが、侯爵だということで生まれて始めてあの人に感謝した。

 この世界に来て、私は始めてあの人にいい感情を持った。
しおりを挟む
感想 3

あなたにおすすめの小説

娘を返せ〜誘拐された娘を取り返すため、父は異世界に渡る

ほりとくち
ファンタジー
突然現れた魔法陣が、あの日娘を連れ去った。 異世界に誘拐されてしまったらしい娘を取り戻すため、父は自ら異世界へ渡ることを決意する。 一体誰が、何の目的で娘を連れ去ったのか。 娘とともに再び日本へ戻ることはできるのか。 そもそも父は、異世界へ足を運ぶことができるのか。 異世界召喚の秘密を知る謎多き少年。 娘を失ったショックで、精神が幼児化してしまった妻。 そして父にまったく懐かず、娘と母にだけ甘えるペットの黒猫。 3人と1匹の冒険が、今始まる。 ※小説家になろうでも投稿しています ※フォロー・感想・いいね等頂けると歓喜します!  よろしくお願いします!

辺境貴族ののんびり三男は魔道具作って自由に暮らします

雪月夜狐
ファンタジー
書籍化決定しました! (書籍化にあわせて、タイトルが変更になりました。旧題は『辺境伯家ののんびり発明家 ~異世界でマイペースに魔道具開発を楽しむ日々~』です) 壮年まで生きた前世の記憶を持ちながら、気がつくと辺境伯家の三男坊として5歳の姿で異世界に転生していたエルヴィン。彼はもともと物作りが大好きな性格で、前世の知識とこの世界の魔道具技術を組み合わせて、次々とユニークな発明を生み出していく。 辺境の地で、家族や使用人たちに役立つ便利な道具や、妹のための可愛いおもちゃ、さらには人々の生活を豊かにする新しい魔道具を作り上げていくエルヴィン。やがてその才能は周囲の人々にも認められ、彼は王都や商会での取引を通じて新しい人々と出会い、仲間とともに成長していく。 しかし、彼の心にはただの「発明家」以上の夢があった。この世界で、誰も見たことがないような道具を作り、貴族としての責任を果たしながら、人々に笑顔と便利さを届けたい——そんな野望が、彼を新たな冒険へと誘う。

貧民街の元娼婦に育てられた孤児は前世の記憶が蘇り底辺から成り上がり世界の救世主になる。

黒ハット
ファンタジー
【完結しました】捨て子だった主人公は、元貴族の側室で騙せれて娼婦だった女性に拾われて最下層階級の貧民街で育てられるが、13歳の時に崖から川に突き落とされて意識が無くなり。気が付くと前世の日本で物理学の研究生だった記憶が蘇り、周りの人たちの善意で底辺から抜け出し成り上がって世界の救世主と呼ばれる様になる。 この作品は小説書き始めた初期の作品で内容と書き方をリメイクして再投稿を始めました。感想、応援よろしくお願いいたします。

俺、何しに異世界に来たんだっけ?

右足の指
ファンタジー
「目的?チートスキル?…なんだっけ。」 主人公は、転生の儀に見事に失敗し、爆散した。 気づいた時には見知らぬ部屋、見知らぬ空間。その中で佇む、美しい自称女神の女の子…。 「あなたに、お願いがあります。どうか…」 そして体は宙に浮き、見知らぬ方陣へと消え去っていく…かに思えたその瞬間、空間内をとてつもない警報音が鳴り響く。周りにいた羽の生えた天使さんが騒ぎたて、なんだかポカーンとしている自称女神、その中で突然と身体がグチャグチャになりながらゆっくり方陣に吸い込まれていく主人公…そして女神は確信し、呟いた。 「やべ…失敗した。」 女神から託された壮大な目的、授けられたチートスキルの数々…その全てを忘れた主人公の壮大な冒険(?)が今始まる…!

妖精族を統べる者

暇野無学
ファンタジー
目覚めた時は死の寸前であり、二人の意識が混ざり合う。母親の死後村を捨てて森に入るが、そこで出会ったのが小さな友人達。

異世界に転移したら、孤児院でごはん係になりました

雪月夜狐
ファンタジー
ある日突然、異世界に転移してしまったユウ。 気がつけば、そこは辺境にある小さな孤児院だった。 剣も魔法も使えないユウにできるのは、 子供たちのごはんを作り、洗濯をして、寝かしつけをすることだけ。 ……のはずが、なぜか料理や家事といった 日常のことだけが、やたらとうまくいく。 無口な男の子、甘えん坊の女の子、元気いっぱいな年長組。 個性豊かな子供たちに囲まれて、 ユウは孤児院の「ごはん係」として、毎日を過ごしていく。 やがて、かつてこの孤児院で育った冒険者や商人たちも顔を出し、 孤児院は少しずつ、人が集まる場所になっていく。 戦わない、争わない。 ただ、ごはんを作って、今日をちゃんと暮らすだけ。 ほんわか天然な世話係と子供たちの日常を描く、 やさしい異世界孤児院ファンタジー。

修学旅行に行くはずが異世界に着いた。〜三種のお買い物スキルで仲間と共に〜

長船凪
ファンタジー
修学旅行へ行く為に荷物を持って、バスの来る学校のグラウンドへ向かう途中、三人の高校生はコンビニに寄った。 コンビニから出た先は、見知らぬ場所、森の中だった。 ここから生き残る為、サバイバルと旅が始まる。 実際の所、そこは異世界だった。 勇者召喚の余波を受けて、異世界へ転移してしまった彼等は、お買い物スキルを得た。 奏が食品。コウタが金物。紗耶香が化粧品。という、三人種類の違うショップスキルを得た。 特殊なお買い物スキルを使い商品を仕入れ、料理を作り、現地の人達と交流し、商人や狩りなどをしながら、少しずつ、異世界に順応しつつ生きていく、三人の物語。 実は時間差クラス転移で、他のクラスメイトも勇者召喚により、異世界に転移していた。 主人公 高校2年     高遠 奏    呼び名 カナデっち。奏。 クラスメイトのギャル   水木 紗耶香  呼び名 サヤ。 紗耶香ちゃん。水木さん。  主人公の幼馴染      片桐 浩太   呼び名 コウタ コータ君 (なろうでも別名義で公開) タイトル微妙に変更しました。

異世界転生したので森の中で静かに暮らしたい

ボナペティ鈴木
ファンタジー
異世界に転生することになったが勇者や賢者、チート能力なんて必要ない。 強靭な肉体さえあれば生きていくことができるはず。 ただただ森の中で静かに暮らしていきたい。

処理中です...