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34・作戦会議
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オークの縦穴鉱山から帰還して来たハートジャックが大きな羊皮紙を広げながら報告を始めた。
場所は墓城の霊安室。
石棺の上に縦穴鉱山のマップを描いた羊皮紙を開いている。
居るのは俺にキルル、それにキングとクイーン、スペードにダイヤ。アンドレア、カンドレア、チンドレア、ローランド、それにゴブロンも集められた。
皆が石棺をテーブル代わりに囲みながらジャックの話を聞いている。
「オークの数は全部で180匹ぐらいですね~。内訳は戦える雄が約90匹。女子供、それに老体が約90匹で~す。それが縦穴鉱山を住み家としてくらしていましたわ~」
俺が小指で鼻糞をほじりながらぼやくように言った。
「思ったよりも大人数だな。全体の人数だけでも俺たちと規模が同じじゃあねえか」
キングが問う。
「武装の具合は、どの程度だった?」
「古びた剣や槍、それに斧や棍棒ですね~。盾を持っているオークも居ますが弓矢は無しですわ~。防具は粗末な革鎧程度を着込んだ者が数匹居る程度で~す。武器はともかく、全員に防具はぜんぜん行き渡っていません~」
おそらくオークたちにも武器の類いを自分たちで作り出す文化はないのだろう。
キングやアンドレアの話では、以前までは森に入ってきた冒険者の遺品や木の棍棒や石斧程度しか使える武具が無く、武装には不自由していたらしい。
たぶんオークの事情もその程度だと思われる。
アンドレアが問う。
「魔法使いや精霊魔術師は居たでありんすか?」
「いいえ~、魔術師風の者はおりませんでしたね~」
『オークたちに、魔法は無しと見て良いのでしょうか?』
「おそらく居ないと思われます~」
「そもそも亜人で魔法を使える者は僅かなはずでありんす。それにオークが魔法を使うところなんて見たことが無いでありんすからね」
更にキングが問う。
「縦穴鉱山は砦化しているのか?」
「いいえ~、要塞として改造すれば使えるだろう作りだと思いますが~、オークたちには建物を築くって言う文明はありませんね~。住まいに使っている洞窟の横穴に扉などを作る文化すらないようですわ~。ボロボロの布切れで幕を築いているていどでしたからね~」
『要するに、原始的なんですね』
「はい~、そんな感じですね~」
今度は鍛冶屋のダイアが質問した。
「鉱物はどうだった。鉄は取れそうか?」
「それは不明で~す。オークどもは掘削作業を行っていませんね~。おそらく鍛冶屋仕事も出来ないと思われま~す」
「なるほどね~」
俺は腕を組ながら上を向いた。背を反らしながら石天井を眺める。
「問題なのは数が多いってことぐらいか」
オークの戦士が90匹は確かに多い。
それにオークすべてを仲間にしたのなら180匹もの仲間が一度に増えてしまう。それは流石にキャパオーバーしてしまうのではないだろうか。全員を養って行くだけでも大変そうだ。
考え込んでいる俺にキングが話し掛けてきた。
「問題は数だけではないでしょう」
「うぬ、なんでだ?」
「オークの単体戦力は、以前の我々コボルトやゴブリンの五倍はあるでしょうからな」
「コボルトやゴブリンが五匹でオーク一匹とタメってことかい?」
「おそらくそれで相手が互角以上かと……」
「まあ、それは鮮血の儀式で打開できているだろうさ。今ならお前らのほうが強いと思うぞ」
「更に問題なのはオークの性格です」
「性格?」
「彼らは強情で傲慢です。戦いにおいては負けを死んでも認めません。敗北イコール死なのです。我々のように負けたからって、素直にエリク様に忠誠を誓うとは考え難いでしょう」
「要するに、倒したからってすんなり仲間に入らないってことか。ゴブリンとは大違いだな」
俺の言葉に三姉妹がそっぽを向く。嫌なところを突かれたのだろう。
「なるほどね。オークってば、頑固な武人タイプのモンスターなのね」
「はい」
「もしも戦士を全部ぶっ倒して、女子供を人質に取ったらどうだ?」
「人質諸とも死を選ぶと考えられます」
「脅迫して心を折るって作戦も効きそうにないってことか」
『魔王様、それは卑怯ですよ……』
キルルの言葉を無視してキングが問う。
「いかがなさいますか?」
「ならば、オークたち全員に石化してもらう」
「「「『えっ!」」」』
皆が驚きながら納得の行かない表情を浮かべている。俺の冷徹な意見に驚愕にも近い感情を抱いているようだった。
それでも俺は淡々と意見する。
「忠誠を誓わないのならば要らない。ただ、鉱山だけを頂くだけだ」
「は、はあ……」
皆が沈み混んでいた。
そりゃあそうだよね。こいつらは、俺が救世主的な魔王だと思っていたのだろう。それがあっさりと仲間にならないならば切り捨てると言い出すのだ。それはガッカリするわな。
しゃあないか~。
「だが、俺は強欲だ。何でもかんでも支配したい。だからオークも支配したい。力でねじ伏せられないなら、和平を申し出てオークを仲間に加えるしかないだろう。心が折れない奴の心を折らずに、その折れない心を大切に扱うしかないだろうな」
俺の言葉を聞いた配下たちが、パッと明るい表情に変わった。本当に分かりやすい連中である。俺の言葉を聞いたキルルも微笑んでいた。
「仲間になれない野郎たちを無理矢理仲間にしても仕方無いからな。オークたちが俺に下らないならば捨て置く。それだけだ」
するとゴブロンが小声で言った。
「あっしのときは、無理矢理鮮血を飲まされたでやんすがね」
「五月蝿い!」
俺の豪腕がゴブロンに放たれた。ゴブロンの顔面に俺の拳がめり込んで頭部を陥没させる。
そして俺はダウンしたゴブロンを無視しながら残った配下たちに声を張って指示を出す。
「それじゃあキングとハートジャックのほかに、ローランドと、その配下であるホブゴブリン9匹。それとゴブロン、角刈り、アフロ、モヒカン、七三の15名でオークの縦穴鉱山に向かうぞ!」
「「「「畏まりました!!」」」」
キルルが俺の背後から耳打ちしてきた。
『17名ですよ、魔王様……』
俺はキルルの指摘を無言で受け入れた。
「いいか、この17名でオークたちを制圧する!」
「「「「はっ!!」」」」
キング一匹だけ連れて行って足て惑いになるよりは、数を率いて分散したほうが効率的には良いだろう。出来るだけオークを殺したくないから余裕を持って挑みたいのだ。
更に俺は残った配下にも指示を出す。
「アンドレアたちは墓城を守っててくれ。今回は留守番だ」
「はい、畏まりましたでありんす」
カンドレアとチンドレアも頭を下げる。
「いいか、お前たち。オークの手足を一本二本ぐらいならぶった切っても構わんが、仲間になる連中だってことを忘れるな。失礼のないように戦えよ!」
「はぁ~~い、エリク様、質問でやんす!」
ゴブロンが賑やかに手を上げて質問してきた。
「なんだ、ゴブロン?」
「オークたちの手足を切断なんてして、いいんでやんすか……?」
キングも問う。
「それこそ蟠りの元になりませぬか?」
「俺の聖杯に追加能力が加わった。鮮血を分け与える際に、アルティメットヒールの効果が有るらしい!」
「「「おお~!!」」」
キルルが鮮血のワインカップを見せながら述べた。
『このワインカップで鮮血を分け与えればアルティメットヒールの効果があるらしいです。なので手足の一本や二本ならくっつくなり生え変わるなりすると思われます』
キングたちは聖杯の新しい能力に驚いているようだったが疑ってはいない。キルルの言葉を素直に受け入れる。
ゴブロンたちが大袈裟に拍手していた。
「それで、手足を切断しても生えてくるんでやんすね!」
「本当に生えて来るかは分からんぞ」
だから、殺さなければ何とかなるだろう。
そして、こちらが大怪我をしてもどうにかなるってことだ。
「よし、皆。出発の準備を行え!!」
「「「「はっ、エリク様!!」」」」
「それとだ──」
俺はローランドたちホブゴブリンを呼び止めた。
「なんでありますダスか、エリク様?」
「ローランド、お前から預かっていた武器を返すよ。そこのマジックアイテムを持って行ってくれ」
「「「おおー!!」」」
ホブゴブリンたちが実験に使っていた武器を手に取った。元々が自分たちの物だったのだろう。各自が使い慣れだ武器を取る。
そして、満面の笑みで喜んでいた。魔力が籠っていることが嬉しいようだ。
まあ、魔法の効力はないんだけどね……。
そして、ホブゴブリンたちがダガーやショートソード、それにロングソードを手に取る中で、ローランドだけが木の枝を手に取った。
「あれ、ホブゴブリンたちのリーダーの癖に、お前はそんな棒っ切れでいいのか?」
ローランドが笑顔で答える。
「元々あの武器は彼らの武器ダス。オラはこの棒だけで十分ダスよ」
「控え気味なやっちゃな~」
「エリク様から、何かを授かっただけで幸せなのダス」
すると実験に使われていた武器をホブゴブリンたちが翳していると、各武器の刀身に魔法の炎が燃え上がった。
「おおっ、魔法の炎だ!」
「ファイアーウェポンの効果が宿ってますぞ!」
「流石はエリク様からの贈り物ですな!!」
「これは素晴らしい!!」
ホブゴブリンたちが口々に感激していた。
俺も驚いた。まさか魔法の効果が目に見える範囲で現れるとは思わなかったからだ。
「これは!?」
アンドレアが慌てて俺に近付いてきた。
「エ、エリク様、あれはなんでありんすか!?」
「し、知らんぞ。あれは魔力が有ったが追加能力は無かったはずだ……」
「ですが、今わっちが見るからに、ファイアーウェポンの効果が宿ってありんす!?」
「ど、どう言うことだ?」
俺とアンドレアがあたふたしているとキルルが言った。
『もしかして、魔王様の鮮血でマジックアイテム化した武器は、鮮血の儀式を受けたモンスターたちと反応しているのではないでしょうか?』
「反応でありんすか!?」
「それか!? 的確な推測だぞ、キルル!」
アンドレアがローランドの持っている木の棒を見た。もしかしたらあの棒にすら何かあるのかも知れない。
「まことでありんす。 あの木の棒ですら、強い魔力を放ち出したでありんす。能力まで宿してありんす!!」
「どんな能力だ!?」
「変幻自在とありんす!」
「なにそれ??」
「さあ?」
こうして分かったことが一つ増えた。
俺が鮮血で作り出すマジックアイテムは、俺が持っているだけでは無力に近いらしい。配下のモンスターが使ってナンボのようだ。
場所は墓城の霊安室。
石棺の上に縦穴鉱山のマップを描いた羊皮紙を開いている。
居るのは俺にキルル、それにキングとクイーン、スペードにダイヤ。アンドレア、カンドレア、チンドレア、ローランド、それにゴブロンも集められた。
皆が石棺をテーブル代わりに囲みながらジャックの話を聞いている。
「オークの数は全部で180匹ぐらいですね~。内訳は戦える雄が約90匹。女子供、それに老体が約90匹で~す。それが縦穴鉱山を住み家としてくらしていましたわ~」
俺が小指で鼻糞をほじりながらぼやくように言った。
「思ったよりも大人数だな。全体の人数だけでも俺たちと規模が同じじゃあねえか」
キングが問う。
「武装の具合は、どの程度だった?」
「古びた剣や槍、それに斧や棍棒ですね~。盾を持っているオークも居ますが弓矢は無しですわ~。防具は粗末な革鎧程度を着込んだ者が数匹居る程度で~す。武器はともかく、全員に防具はぜんぜん行き渡っていません~」
おそらくオークたちにも武器の類いを自分たちで作り出す文化はないのだろう。
キングやアンドレアの話では、以前までは森に入ってきた冒険者の遺品や木の棍棒や石斧程度しか使える武具が無く、武装には不自由していたらしい。
たぶんオークの事情もその程度だと思われる。
アンドレアが問う。
「魔法使いや精霊魔術師は居たでありんすか?」
「いいえ~、魔術師風の者はおりませんでしたね~」
『オークたちに、魔法は無しと見て良いのでしょうか?』
「おそらく居ないと思われます~」
「そもそも亜人で魔法を使える者は僅かなはずでありんす。それにオークが魔法を使うところなんて見たことが無いでありんすからね」
更にキングが問う。
「縦穴鉱山は砦化しているのか?」
「いいえ~、要塞として改造すれば使えるだろう作りだと思いますが~、オークたちには建物を築くって言う文明はありませんね~。住まいに使っている洞窟の横穴に扉などを作る文化すらないようですわ~。ボロボロの布切れで幕を築いているていどでしたからね~」
『要するに、原始的なんですね』
「はい~、そんな感じですね~」
今度は鍛冶屋のダイアが質問した。
「鉱物はどうだった。鉄は取れそうか?」
「それは不明で~す。オークどもは掘削作業を行っていませんね~。おそらく鍛冶屋仕事も出来ないと思われま~す」
「なるほどね~」
俺は腕を組ながら上を向いた。背を反らしながら石天井を眺める。
「問題なのは数が多いってことぐらいか」
オークの戦士が90匹は確かに多い。
それにオークすべてを仲間にしたのなら180匹もの仲間が一度に増えてしまう。それは流石にキャパオーバーしてしまうのではないだろうか。全員を養って行くだけでも大変そうだ。
考え込んでいる俺にキングが話し掛けてきた。
「問題は数だけではないでしょう」
「うぬ、なんでだ?」
「オークの単体戦力は、以前の我々コボルトやゴブリンの五倍はあるでしょうからな」
「コボルトやゴブリンが五匹でオーク一匹とタメってことかい?」
「おそらくそれで相手が互角以上かと……」
「まあ、それは鮮血の儀式で打開できているだろうさ。今ならお前らのほうが強いと思うぞ」
「更に問題なのはオークの性格です」
「性格?」
「彼らは強情で傲慢です。戦いにおいては負けを死んでも認めません。敗北イコール死なのです。我々のように負けたからって、素直にエリク様に忠誠を誓うとは考え難いでしょう」
「要するに、倒したからってすんなり仲間に入らないってことか。ゴブリンとは大違いだな」
俺の言葉に三姉妹がそっぽを向く。嫌なところを突かれたのだろう。
「なるほどね。オークってば、頑固な武人タイプのモンスターなのね」
「はい」
「もしも戦士を全部ぶっ倒して、女子供を人質に取ったらどうだ?」
「人質諸とも死を選ぶと考えられます」
「脅迫して心を折るって作戦も効きそうにないってことか」
『魔王様、それは卑怯ですよ……』
キルルの言葉を無視してキングが問う。
「いかがなさいますか?」
「ならば、オークたち全員に石化してもらう」
「「「『えっ!」」」』
皆が驚きながら納得の行かない表情を浮かべている。俺の冷徹な意見に驚愕にも近い感情を抱いているようだった。
それでも俺は淡々と意見する。
「忠誠を誓わないのならば要らない。ただ、鉱山だけを頂くだけだ」
「は、はあ……」
皆が沈み混んでいた。
そりゃあそうだよね。こいつらは、俺が救世主的な魔王だと思っていたのだろう。それがあっさりと仲間にならないならば切り捨てると言い出すのだ。それはガッカリするわな。
しゃあないか~。
「だが、俺は強欲だ。何でもかんでも支配したい。だからオークも支配したい。力でねじ伏せられないなら、和平を申し出てオークを仲間に加えるしかないだろう。心が折れない奴の心を折らずに、その折れない心を大切に扱うしかないだろうな」
俺の言葉を聞いた配下たちが、パッと明るい表情に変わった。本当に分かりやすい連中である。俺の言葉を聞いたキルルも微笑んでいた。
「仲間になれない野郎たちを無理矢理仲間にしても仕方無いからな。オークたちが俺に下らないならば捨て置く。それだけだ」
するとゴブロンが小声で言った。
「あっしのときは、無理矢理鮮血を飲まされたでやんすがね」
「五月蝿い!」
俺の豪腕がゴブロンに放たれた。ゴブロンの顔面に俺の拳がめり込んで頭部を陥没させる。
そして俺はダウンしたゴブロンを無視しながら残った配下たちに声を張って指示を出す。
「それじゃあキングとハートジャックのほかに、ローランドと、その配下であるホブゴブリン9匹。それとゴブロン、角刈り、アフロ、モヒカン、七三の15名でオークの縦穴鉱山に向かうぞ!」
「「「「畏まりました!!」」」」
キルルが俺の背後から耳打ちしてきた。
『17名ですよ、魔王様……』
俺はキルルの指摘を無言で受け入れた。
「いいか、この17名でオークたちを制圧する!」
「「「「はっ!!」」」」
キング一匹だけ連れて行って足て惑いになるよりは、数を率いて分散したほうが効率的には良いだろう。出来るだけオークを殺したくないから余裕を持って挑みたいのだ。
更に俺は残った配下にも指示を出す。
「アンドレアたちは墓城を守っててくれ。今回は留守番だ」
「はい、畏まりましたでありんす」
カンドレアとチンドレアも頭を下げる。
「いいか、お前たち。オークの手足を一本二本ぐらいならぶった切っても構わんが、仲間になる連中だってことを忘れるな。失礼のないように戦えよ!」
「はぁ~~い、エリク様、質問でやんす!」
ゴブロンが賑やかに手を上げて質問してきた。
「なんだ、ゴブロン?」
「オークたちの手足を切断なんてして、いいんでやんすか……?」
キングも問う。
「それこそ蟠りの元になりませぬか?」
「俺の聖杯に追加能力が加わった。鮮血を分け与える際に、アルティメットヒールの効果が有るらしい!」
「「「おお~!!」」」
キルルが鮮血のワインカップを見せながら述べた。
『このワインカップで鮮血を分け与えればアルティメットヒールの効果があるらしいです。なので手足の一本や二本ならくっつくなり生え変わるなりすると思われます』
キングたちは聖杯の新しい能力に驚いているようだったが疑ってはいない。キルルの言葉を素直に受け入れる。
ゴブロンたちが大袈裟に拍手していた。
「それで、手足を切断しても生えてくるんでやんすね!」
「本当に生えて来るかは分からんぞ」
だから、殺さなければ何とかなるだろう。
そして、こちらが大怪我をしてもどうにかなるってことだ。
「よし、皆。出発の準備を行え!!」
「「「「はっ、エリク様!!」」」」
「それとだ──」
俺はローランドたちホブゴブリンを呼び止めた。
「なんでありますダスか、エリク様?」
「ローランド、お前から預かっていた武器を返すよ。そこのマジックアイテムを持って行ってくれ」
「「「おおー!!」」」
ホブゴブリンたちが実験に使っていた武器を手に取った。元々が自分たちの物だったのだろう。各自が使い慣れだ武器を取る。
そして、満面の笑みで喜んでいた。魔力が籠っていることが嬉しいようだ。
まあ、魔法の効力はないんだけどね……。
そして、ホブゴブリンたちがダガーやショートソード、それにロングソードを手に取る中で、ローランドだけが木の枝を手に取った。
「あれ、ホブゴブリンたちのリーダーの癖に、お前はそんな棒っ切れでいいのか?」
ローランドが笑顔で答える。
「元々あの武器は彼らの武器ダス。オラはこの棒だけで十分ダスよ」
「控え気味なやっちゃな~」
「エリク様から、何かを授かっただけで幸せなのダス」
すると実験に使われていた武器をホブゴブリンたちが翳していると、各武器の刀身に魔法の炎が燃え上がった。
「おおっ、魔法の炎だ!」
「ファイアーウェポンの効果が宿ってますぞ!」
「流石はエリク様からの贈り物ですな!!」
「これは素晴らしい!!」
ホブゴブリンたちが口々に感激していた。
俺も驚いた。まさか魔法の効果が目に見える範囲で現れるとは思わなかったからだ。
「これは!?」
アンドレアが慌てて俺に近付いてきた。
「エ、エリク様、あれはなんでありんすか!?」
「し、知らんぞ。あれは魔力が有ったが追加能力は無かったはずだ……」
「ですが、今わっちが見るからに、ファイアーウェポンの効果が宿ってありんす!?」
「ど、どう言うことだ?」
俺とアンドレアがあたふたしているとキルルが言った。
『もしかして、魔王様の鮮血でマジックアイテム化した武器は、鮮血の儀式を受けたモンスターたちと反応しているのではないでしょうか?』
「反応でありんすか!?」
「それか!? 的確な推測だぞ、キルル!」
アンドレアがローランドの持っている木の棒を見た。もしかしたらあの棒にすら何かあるのかも知れない。
「まことでありんす。 あの木の棒ですら、強い魔力を放ち出したでありんす。能力まで宿してありんす!!」
「どんな能力だ!?」
「変幻自在とありんす!」
「なにそれ??」
「さあ?」
こうして分かったことが一つ増えた。
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