黄金のレミントン・デリンジャーくじ

ヒィッツカラルド

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黄金のレミントン・デリンジャーくじ

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十年ほど前から政府が新しく始めた宝くじ産業がある。

それは黄金のレミントン・デリンジャーくじだ。

レミントン・デリンジャーとは──。

正式名称、レミントン・モデル95・ダブルデリンジャー。

製造国アメリカ合衆国。

上下二連銃身中折式拳銃。

銃身3インチ。

重量312g。

装弾数2発。

使用弾薬41口径。

製造期間、1866年から1935年の骨董品だ。

そのデリンジャーの銃身を黄金で塗りたくった拳銃を、宝くじに当選した人物に差し上げるといったくじである。

年に一度のビッグイベントである。

一口300円から買えるこの黄金のデリンジャーくじなのだが、最大の特権が付いてくるのだ。

その特権がくじのメインとも言えよう。

その特権とは、このデリンジャーに装填されている二発の弾丸で、誰を殺しても罪にならない事である。

知人を射殺しても、自分の親兄弟を射殺しても、己が勤める会社の社長を射殺しても、総理大臣を射殺しても罪にならないのだ。

殺しが無罪になるのだ。

だから、最大二人の人物を殺せる特権が当たるのである。

それが黄金のレミントン・デリンジャーくじである。

このくじは年に一度だけ、宝くじ売場で販売される。

最近だとインターネットでもくじが購入出来るらしい。

そして、俺も今年初めて、このくじを購入した。

それは殺したい人物が一人だけ居るからだ。

俺は今年で三十二歳になる。

高校を卒業して入社した会社にずっと勤めていた。

ただ毎日真面目に働き、会社に尽くしてきた。

それは自負できる。

そんな俺が、可笑しなくじなんぞに手を出したのは、殺したいまでに恨んだ人物が出来たからだ。

だから黄金のデリンジャーくじを買ったのである。

その人物は、俺の夢と希望を残酷なまでに踏みにじったのだ。

俺は彼女を心から信じていた。

彼女の事を疑わずに信じていた。

なのに彼女は俺を裏切ったのだ。

俺を騙したのである。

その恨みから俺は黄金のデリンジャーくじを買ったのだ。

そして、当選日当日に俺は相貌を見開いて歓喜した。

俺はスマホで当選番号を確認して驚いた。

当たったのだ。

デリンジャーくじが当たったのである。

何度も何度も番号を確認する。

間違いでも夢でも無い。

本当に当たったのだ。

そして俺は政府から当選した宝くじと引き換えに黄金のレミントン・デリンジャーを受け取った。

初めて持つ銃だった。

そんなに重たく感じなかった。

その銃と同時に二発の弾丸を貰う。

弾丸が手の平に乗せられた瞬間、生唾を音を鳴らしながら飲み込んだのを強く覚えている。

そして、取り扱いの説明を受けた。

二発の弾丸を発泡して、最大二人まで射殺して良い。

射殺してもなんの罪にもならない。

殺人罪や傷害罪で捕まる事は無いのである。

ただし、拳銃を使って脅迫や強盗を働いてはいけない。

射殺以外の使用は、そのまま罪になる。

そして、拳銃を他人に販売してはならない。

無料で譲り渡す事も禁止された。

そして、弾丸を二発発泡したら、拳銃は政府に返却する。

また、この権利が有効なのは一ヶ月以内である。

一ヶ月後には撃たなかった弾丸も含めて拳銃を返却すること──。

これが説明されたルールであった。

これで罪に問われず二人も殺せる。

しかも、俺が黄金銃を持っている事を知っている人物は一般人に殆ど居ない。

黙って近付ければ簡単に射殺出来るだろう。

しかも、俺に狙われた人間が反撃してくる事も無い。

向こうは反撃をしてこれない。

俺に狙われた人物が反撃して来れば犯罪になるからだ。

少なくとも暴行罪になるらしい。

だから俺の圧倒的有利だ。

これで恨みが晴らせるぞ。

俺が殺したい人物は世界でただ一人だけだ。

俺のピュアな心を踏みにじった彼女だけである。

彼女の名前はアケミである。

俺が住んでるアパートの近所にあるスナックに働いていた若い子だ。

たまたま会社の上司と一緒にスナックに入ったのが彼女との出会いだった。

アケミは明るく楽しい娘だった。

俺は一瞬で彼女に惚れた。

それから毎晩のようにスナックに入り浸った。

アケミ目当てで毎日スナックに通った。

彼女の同伴で外食に行き、高価なブランド品を買ってやったりもしたのだ。

平凡な平社員だった俺には金銭的にも無理があったが、無理を承知で見栄を張った。

彼女の気を引くためなら何でもやった。

努力も借金もした。

そしてついに運命の日が訪れたのだ。

彼女が俺の粘りに負けて、ついに俺の部屋に来てくれた。

今晩は泊まる覚悟で来てくれたと行ったのだ。

その日のために俺は部屋を掃除しまくり清掃業者まで手配して部屋を綺麗にしたのだ。

ほぼリフォームだった。

万全の体制で彼女を部屋に招いた。

そして、五時間もの時間を掛けてディナーを手作りした。

料理が出来る男性はモテると聞いて必死に勉強したのだ。

すべてはこの日のためだけにだ。

俺は彼女とワインを飲みながらディナーを食べてから、更に時間を掛けて彼女を口説いた。

それもこれも今晩は彼女を家に帰さないためである。

必死に持て成し、必死に酔わせて、必死に口説いた。

そして、彼女はシャワーを浴びて来てって言った。

俺は歓喜しながら先にシャワーを浴びに行った。

俺がバスタオルを腰に巻いて出て来ると、今度は彼女がバスルームに入って行った。

俺は寝室のベッドに入ると彼女を待った。

胸がドキドキした。

高鳴る。

こんなにドキドキしたのは久し振りだった。

もう我慢できずに布団の中でオッキしてしまう。

もう先っちょがヌルヌルであった。

そして、彼女がバスルームから出て来た。

バスタオルで小さな胸を隠していた。

そして、俺が寝ているベッドに入って来たのだ。

彼女は俺の耳元で甘く囁いた。

「いいわよ……」

ベッドの中で抱き合う二人。

俺は彼女と初めてのキスを交わす。

大人のキスで舌と舌を濃厚に絡め合った。

そのキスで俺のシナプスが溶けてしまいそうになる。

そして、彼女の控えめな胸を俺はまさぐった。

俺が彼女の乳首に触れると彼女が小さく声を上げる。

その喘ぎ声で俺のボルテージが更に急上昇した。

もうギンギンである。

もう我慢出来ない。

抑えが利かない。

興奮して俺は彼女の股間に手を忍ばせる。

太股と太股の間に俺は手を入れた。

下から滑るように太股を撫でながら上がって行く。

そして、強ばる彼女の楽園に手を添えた。

そこには熱い洞窟が有る…………はずだった。

だが、何かが可笑しい。

そこには異変が有った。

秘密の楽園が有る場所に、何か障害物が有るのだ。

異物?

バリケード?

いや、違う。

なんだ、この生暖かい延べ棒は?

なんだか覚えが有る感触だ。

すげ~、記憶に有るぞ。

だって、これって、俺も持ってるもの……。

俺にも付いてるよね……。

強い疑問を抱いた俺は勇気を振り絞ってアケミに訊いてみた。

「これ、なに……?」

「あなたも馴染みが有る、延べ棒よ」

「延べ棒ですか……」

「竿とも呼ぶは」

「なぜ……?」

「言わせないでよ、いけ、ず、さ、ん♡」

そう、彼女は彼氏だったのだ……。

ショックのあまり、その後の事は良く覚えていない。

掘ったか掘られたかも記憶に残っていない。

ただ、すべてが終わった頃には、俺はベッドの下で膝を抱えながら体育座りで泣いていた。

そして、満足げに微笑む彼女が部屋を出て行くと、俺は号泣した。

俺は汚されたのだ。

身も心も、ズブズブに何度も乱暴に汚されたのである。

あの時のお尻の痛みは忘れられない。

だから俺は黄金のデリンジャーくじを買ったのだ。

そして、当選した。

この二発の弾丸を、アケミの頭と心臓にぶち込んで、念入りに、確実に殺してやる。

そして俺は新しく人生を歩み始めるのだ。

アイツに汚された俺の記憶が浄められるのだ。

この二発の弾丸を無駄にはしないぜ!!


【終わり】
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