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【第四章】ショートシナリオ集パート①
4-15【ビキニアーマーの行く末】
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俺とクララがしばらく裏路地で立ち話をしていると、なんだか可笑しな方向に話が進んで行った。
そして更に時間が過ぎると、気が付けば俺が全裸で、クララがビキニアーマーを着ていた。
何故にこのような展開に進んだかと言えば、少々説明に時間が掛かるから、話すのはやめておこうと思う。
だが、俺たち二人は、なんやかんやで盛り上がっていた。
「クララ、やっぱりお前さんは、ビキニアーマーが似合うんじゃあね?」
「そ、そうかな~」
クララは照れているが、俺の言葉は御世辞である。
クララにビキニアーマーが似合っているか居なかは、現在のビジュアルからして似合っているのかも知れないが、本当の姿は完全モッチリ系の乙女なのだ。
それが俺の心の何処かに引っ掛かっているために、何故だかエロイ感情が沸いてこないでいた。
お陰で糞女神の呪いも発動しないで済んでいる。
「うんうん、やっぱりすげー似合うから、クララの神官服を俺にくれないか?」
「えー、本当に、私に似合ってる~?」
「本当本当、すげー似合うよ。だからさ、神官服をくださいな」
「どのぐらい似合ってるの?」
うわ、面倒臭い女だな!
俺はお前と衣装の交換がしたいから誉めてんだよ!
それなのになかなかクララは神官服を手放さない。
「えーと、どのぐらいかって言えば……」
「言えば~?」
「もう、大河の如く似合ってます!!」
「本当~、マジで~♡」
あー、浮かれてますわ。
絶対に御世辞なの分かってて浮かれてますわ。
この子は普段から、そんなに誉められたことがないんだろうな、きっと……。
「よし、じゃあ俺に神官服をよこそうよ。俺、寒いわ!」
「ねえ、私の悩みを聞いてくれる……」
えーー!!
何を急に沈み込んでますか!?
お前の悩みなんてどうでもいいから神官服をくださいな!?
服を交換し合うって言ったじゃんか!?
あんたはビキニアーマーを着ているけど、俺は全裸ですよ!!
裏路地内とはいえ、全裸なんだからさ!!
俺は全裸全快なんだからさ、まずは服をよこそうよ!
そもそもビキニアーマーで、だいぶ体が冷えてたんだからさ。
「ねえ、聞いてくれる……?」
あー、もー!!
そんな悩ましげに上目使いで見るな!!
「わ、分かった、聞くよ……」
畜生、俺の心が寄り添っちゃった!
俺の馬鹿馬鹿馬鹿!
「私ね、神官だけど冒険者になりたかったの……」
知ってますよ、あなたがデブデブだったころから知ってますともさ!
「でもね、あのリックに裏切られて荷物を全部持って行かれたのがショックで、冒険を諦めていたの……」
俺とクラウドは直ぐに立ち直りましたがね!
「それで、一ヶ月ぐらい食欲がなくなっちゃってさ。あれよあれよの内にこんなに痩せちゃったの……」
痩せたのは良いことじゃあありませんか?
それともデブデブしたモッチリ人生のままのほうが良かったのか?
「でも、このビキニアーマーを着たら、不思議と自信が沸いてきたわ!」
「それは良かったな!」
じゃあ早く神官服をください!
もう、寒いんだってばよ!
「でもね、まだこの格好で人前に出る勇気が沸かなくて……」
あー、面倒臭い女だな!!
「それで俺にどうしろと?」
「どうしよう?」
どーしようじゃあねーよ!!
考えてから相談しろよ!
答え出してから訊けよ!
あー、それだと相談じゃあないか……。
「分かったよ。キミの気持ちは分かったから、その神官服を俺にくださいな」
「待って、もう少し考えさせて!」
何を!?
何を考えますか!?
「私は本当にこの衣装で冒険に出れるのかしら!」
知らねーよ!!
出るも出ないもお前の心しだいだわ!!
「でも、ほら、そのビキニアーマーは凄いマジックアイテムだよ。ビキニアーマー+5で、防御力の向上、弓矢の命中率向上、弓矢の飛距離向上、潜伏能力の向上、夜目の向上の特級品ですよ。それがあったらどんな冒険でも完璧にこなせますとも!」
「そ、そうかしら……」
えー、まだ何か望みですか!?
俺にそんなに神官服を渡したくないですか!?
俺は衣類を手に入れて家まで安全に帰りたいだけなんだよ!!
お前がビキニアーマーで神殿まで帰ればいいじゃんかよ!!
「できるさ! キミなら再び冒険者として復活できるさ、そのビキニアーマーと共にね!!」
「アスランは本当に、そう思う……?」
「思いますとも!!」
思いますから神官服を俺によこせや!!
「分かったわ。じゃあ最初の約束通り、この神官服をビキニアーマーと交換するね」
やったー!
やっと服を手に入れたぞ!
これで恥を晒さずに家まで帰れるぞ!
そう、俺が歓喜している隙を付いて、一人の少年が裏路地の奥から走って来た。
「んん?」
「なに?」
ガツッ!
スタスタスタスターーー……。
「あーーー!!」
俺の神官服が盗まれたぞ!!
あのガキに盗まれた!!
引ったくりだ!!
「まてや、ゴラァ!!」
俺は追いかけようと裏路地から飛び出した。
しかし、引ったくりのガキは大通りの人混みの中に逃げて行く。
ギョロ。
「はぁ!!」
大通りを行き交う人々の視線が全裸の俺に集まった。
俺は慌てて裏路地に引き返す、逃げ込むようにだ。
「ど、どうしよう、神官服を盗まれたぞ!!」
「そ、そうね……。じゃあ、私は帰るから……」
「ちょっと待てや、この元デブデブ女が!」
「キャーー、なにすんのよ!!」
「俺のビキニアーマーを返せや!!」
「何を言ってるのよ、これはもう私の物よ!!」
「ざけんな、俺の服だ!!」
「あなたの服は、さっき泥棒に盗まれたじゃあないの!!」
「だからビキニアーマーを返せって言ってるんだよ!!」
「キャーー、誰か助けて!!」
「バーーカ、誰が助けに来るか。早く脱ぎやがれ!!」
「どうしましたお嬢さん。私は番兵ですが!!」
「え、マジで来た……」
「た、助けてください。この人、変なんです!!」
「キミは一体なんなんだね!!」
「い、いやぁ、俺は……」
何、この変なおじさん的な展開はよ!!
俺は「変なお~じさん」とか歌いながら踊らないとなんないのか!?
てか、もうそんな昭和ネタは皆忘れてるわ!!
もー、逃げるしかねー!
反転して、ダッシュだ!!
「ごめんなさ~い!」
「まてー、この変態野郎!!」
こうして俺は全裸のまま路上を駆けて帰った。
そして更に時間が過ぎると、気が付けば俺が全裸で、クララがビキニアーマーを着ていた。
何故にこのような展開に進んだかと言えば、少々説明に時間が掛かるから、話すのはやめておこうと思う。
だが、俺たち二人は、なんやかんやで盛り上がっていた。
「クララ、やっぱりお前さんは、ビキニアーマーが似合うんじゃあね?」
「そ、そうかな~」
クララは照れているが、俺の言葉は御世辞である。
クララにビキニアーマーが似合っているか居なかは、現在のビジュアルからして似合っているのかも知れないが、本当の姿は完全モッチリ系の乙女なのだ。
それが俺の心の何処かに引っ掛かっているために、何故だかエロイ感情が沸いてこないでいた。
お陰で糞女神の呪いも発動しないで済んでいる。
「うんうん、やっぱりすげー似合うから、クララの神官服を俺にくれないか?」
「えー、本当に、私に似合ってる~?」
「本当本当、すげー似合うよ。だからさ、神官服をくださいな」
「どのぐらい似合ってるの?」
うわ、面倒臭い女だな!
俺はお前と衣装の交換がしたいから誉めてんだよ!
それなのになかなかクララは神官服を手放さない。
「えーと、どのぐらいかって言えば……」
「言えば~?」
「もう、大河の如く似合ってます!!」
「本当~、マジで~♡」
あー、浮かれてますわ。
絶対に御世辞なの分かってて浮かれてますわ。
この子は普段から、そんなに誉められたことがないんだろうな、きっと……。
「よし、じゃあ俺に神官服をよこそうよ。俺、寒いわ!」
「ねえ、私の悩みを聞いてくれる……」
えーー!!
何を急に沈み込んでますか!?
お前の悩みなんてどうでもいいから神官服をくださいな!?
服を交換し合うって言ったじゃんか!?
あんたはビキニアーマーを着ているけど、俺は全裸ですよ!!
裏路地内とはいえ、全裸なんだからさ!!
俺は全裸全快なんだからさ、まずは服をよこそうよ!
そもそもビキニアーマーで、だいぶ体が冷えてたんだからさ。
「ねえ、聞いてくれる……?」
あー、もー!!
そんな悩ましげに上目使いで見るな!!
「わ、分かった、聞くよ……」
畜生、俺の心が寄り添っちゃった!
俺の馬鹿馬鹿馬鹿!
「私ね、神官だけど冒険者になりたかったの……」
知ってますよ、あなたがデブデブだったころから知ってますともさ!
「でもね、あのリックに裏切られて荷物を全部持って行かれたのがショックで、冒険を諦めていたの……」
俺とクラウドは直ぐに立ち直りましたがね!
「それで、一ヶ月ぐらい食欲がなくなっちゃってさ。あれよあれよの内にこんなに痩せちゃったの……」
痩せたのは良いことじゃあありませんか?
それともデブデブしたモッチリ人生のままのほうが良かったのか?
「でも、このビキニアーマーを着たら、不思議と自信が沸いてきたわ!」
「それは良かったな!」
じゃあ早く神官服をください!
もう、寒いんだってばよ!
「でもね、まだこの格好で人前に出る勇気が沸かなくて……」
あー、面倒臭い女だな!!
「それで俺にどうしろと?」
「どうしよう?」
どーしようじゃあねーよ!!
考えてから相談しろよ!
答え出してから訊けよ!
あー、それだと相談じゃあないか……。
「分かったよ。キミの気持ちは分かったから、その神官服を俺にくださいな」
「待って、もう少し考えさせて!」
何を!?
何を考えますか!?
「私は本当にこの衣装で冒険に出れるのかしら!」
知らねーよ!!
出るも出ないもお前の心しだいだわ!!
「でも、ほら、そのビキニアーマーは凄いマジックアイテムだよ。ビキニアーマー+5で、防御力の向上、弓矢の命中率向上、弓矢の飛距離向上、潜伏能力の向上、夜目の向上の特級品ですよ。それがあったらどんな冒険でも完璧にこなせますとも!」
「そ、そうかしら……」
えー、まだ何か望みですか!?
俺にそんなに神官服を渡したくないですか!?
俺は衣類を手に入れて家まで安全に帰りたいだけなんだよ!!
お前がビキニアーマーで神殿まで帰ればいいじゃんかよ!!
「できるさ! キミなら再び冒険者として復活できるさ、そのビキニアーマーと共にね!!」
「アスランは本当に、そう思う……?」
「思いますとも!!」
思いますから神官服を俺によこせや!!
「分かったわ。じゃあ最初の約束通り、この神官服をビキニアーマーと交換するね」
やったー!
やっと服を手に入れたぞ!
これで恥を晒さずに家まで帰れるぞ!
そう、俺が歓喜している隙を付いて、一人の少年が裏路地の奥から走って来た。
「んん?」
「なに?」
ガツッ!
スタスタスタスターーー……。
「あーーー!!」
俺の神官服が盗まれたぞ!!
あのガキに盗まれた!!
引ったくりだ!!
「まてや、ゴラァ!!」
俺は追いかけようと裏路地から飛び出した。
しかし、引ったくりのガキは大通りの人混みの中に逃げて行く。
ギョロ。
「はぁ!!」
大通りを行き交う人々の視線が全裸の俺に集まった。
俺は慌てて裏路地に引き返す、逃げ込むようにだ。
「ど、どうしよう、神官服を盗まれたぞ!!」
「そ、そうね……。じゃあ、私は帰るから……」
「ちょっと待てや、この元デブデブ女が!」
「キャーー、なにすんのよ!!」
「俺のビキニアーマーを返せや!!」
「何を言ってるのよ、これはもう私の物よ!!」
「ざけんな、俺の服だ!!」
「あなたの服は、さっき泥棒に盗まれたじゃあないの!!」
「だからビキニアーマーを返せって言ってるんだよ!!」
「キャーー、誰か助けて!!」
「バーーカ、誰が助けに来るか。早く脱ぎやがれ!!」
「どうしましたお嬢さん。私は番兵ですが!!」
「え、マジで来た……」
「た、助けてください。この人、変なんです!!」
「キミは一体なんなんだね!!」
「い、いやぁ、俺は……」
何、この変なおじさん的な展開はよ!!
俺は「変なお~じさん」とか歌いながら踊らないとなんないのか!?
てか、もうそんな昭和ネタは皆忘れてるわ!!
もー、逃げるしかねー!
反転して、ダッシュだ!!
「ごめんなさ~い!」
「まてー、この変態野郎!!」
こうして俺は全裸のまま路上を駆けて帰った。
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