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【第七章】魔王城へ旅立ち編
7-4【エスキモー】
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名前がエスキモーだと?
なんとも舐めた名前だな。
雪山の頂上にでも住んでいそうな名前である。
だが、顔は可愛い……。
スタイルもグッドです……。
金髪ロングで、クビレと臍が見える白いタンクトップにアメリカンなホットパンツだ。
さらに革製のロングブーツは女性用でヒールが高い。
そして、肌の色はカルフォルニアの太陽でコンガリと焼いたような小麦色をしている。
これで恋人募集中の健全な男子だと言うのだから、まさに犯罪レベルのビューティフルなルックスである。
チンチロリンが生えてなければ、呪いの存在を忘れて、完全に口説いていたわ。
なんといいますか、俺のストライクゾーンのド真ん中を、針の糸を通すかのように貫いてますわ。
悔しい……。
実に悔しいぜ。
こいつが男なのが悔しいぜ!!
なんでチンチロリンなんて余計な物が生えちゃってるかな~。
残念ながら俺には薔薇貴族的なマイノリティー趣味は微塵もないのだ。
まあ、いつまでも悔しんでいても仕方がないか。
外見は美女寄りでも、中身は完璧におチンチンランドの従業員なぐらいに同性なんだからな。
それが変わらない以上は、俺が何をしても現実は動かないか。
うし、心を入れ替えて、放火犯を探そう。
それがこの悲しみを乗り越えるためにも良かろうて。
まずは情報収集だ。
てか、それより挨拶からかな。
俺は礼儀を正して挨拶をした。
「どうも、ソロ冒険者のアスランですわ~」
続いてカルフォルニア系美男子も挨拶を返す。
「僕は魔法使いギルド火消し班責任者のエスキモーです。よろしく」
エスキモーはキラリと微笑んだ。
うは、輝く歯が眩しいぜ!!
南国の海岸を照らす太陽のように眩しいじゃあねえか!!
うわーー、一々俺のホルモンをコチョコチョと擽るヤツだな!!
キャン玉がムズ痒くなってくるぜ。
なんだか逆にイラついてきたぞ!!
乙女チックな美男子は、これだから嫌いだぜ!!
「ど、どうかしましたか? 何やらイラついているようですが……」
「い、いや、すまぬ。昼飯が油っぽかっただけだ。胃袋が持たれててね」
「はぁ……?」
やばいな。
不審がられているぞ。
俺は不審者のことを訊きに来たのに、俺が不審がられてどうするんだ。
今は服だってちゃんと着ているんだから不審者に見られることはないのにさ。
俺は背筋をシャキッと伸ばしてから話し出す。
「ああ、すまないが、訊きたいことがあるんだ」
「なんでしょうか?」
「放火の話なんだが、ここ最近火災があった家を知りたいんだよ」
「えー、確か……。あー、憶えてないてすね」
「何か記載した書類とか無いのか?」
「無いですね~」
「なんで……?」
「なんでと言われましても?」
エスキモーは金髪ロン毛を揺らしながら小首を傾げた。
俺がゾディアックさんのほうを見たが、彼も首を傾げている。
あれれれ~?
もしかして??
俺は二人の魔法使いに訊いた。
「誰が、可笑しなことを言ってますか?」
すると二人の魔法使いは、揃って俺を指差した。
「もしかして、この世界には、起きた事件を記載しておく習慣がないのか?」
「何故にそんなことをしなければならないのかね?」
ゾディアックさんが言うと、エスキモーも頷いていた。
流石は旧世界並みの文化レベルだぜ!
書類を作るって作業は伝言の意味合いだけで、保管の義務はないと言うのか!?
そもそも書類を保管するっていう文化を持っていないのね!
俺が住んでいた現代の常識が、こうもあっさりと通じない異世界ってのも凄いな!
「これだから放火犯も捕まらないわけだ……」
ゾディアックさんが腕を組みながら言う。
「何かアスラン君は、勘違いをしてないか?」
「何を?」
今度は俺が小首を傾げた。
ゾディアックさんが持論を呈する。
「我々魔法使いギルドには逮捕権も捜査権もないんだ。それどころか火災の原因を調べる義務もない。我々は町に火の手が上がったら、被害を広げないように消火するのみだ。そもそもの役目が違う」
エスキモーが続く。
「我々は一回火を消してなんぼの報酬です。それをソドムタウンの君主から請け負っているだけですからね~」
「なるほどな」
調査の権限は、すべて番兵側なのね。
エスキモーが更に述べる。
「まあ、僕がここ最近で消火作業に関わったのは、七件中五件ですが、それで良ければお教えしますけれど?」
「是非とも頼む。できたら残り二件の場所も知りたいのだが?」
「聞いた話で良ければ」
「それで構わないよ」
エスキモーが満面の笑みで手の平を俺に差し出した。
賄賂か!
報酬か!
情報料をせびっているのか!
この美男子野郎が、俺から小銭を稼ぎたいようだな。
よし、くれてやろう!!
俺はエスキモーの手の平に自分の手の平を重ねてコインを召喚した。
チャリチャリン~と、数枚のお金が落ちて来る。
それを見てエスキモーは満足げに微笑むと、ホットパンツのポケットから羊皮紙の切れ端を取り出した。
「もう、七件全部をメモしてありますよ」
そう言いエスキモーは羊皮紙の切れ端をヒラヒラと振った。
この糞美男子野郎がっ!!!
最初っから分かってて言っていやがったな!
あー、もー、この小悪魔と結婚したいわ!!!
なんとも舐めた名前だな。
雪山の頂上にでも住んでいそうな名前である。
だが、顔は可愛い……。
スタイルもグッドです……。
金髪ロングで、クビレと臍が見える白いタンクトップにアメリカンなホットパンツだ。
さらに革製のロングブーツは女性用でヒールが高い。
そして、肌の色はカルフォルニアの太陽でコンガリと焼いたような小麦色をしている。
これで恋人募集中の健全な男子だと言うのだから、まさに犯罪レベルのビューティフルなルックスである。
チンチロリンが生えてなければ、呪いの存在を忘れて、完全に口説いていたわ。
なんといいますか、俺のストライクゾーンのド真ん中を、針の糸を通すかのように貫いてますわ。
悔しい……。
実に悔しいぜ。
こいつが男なのが悔しいぜ!!
なんでチンチロリンなんて余計な物が生えちゃってるかな~。
残念ながら俺には薔薇貴族的なマイノリティー趣味は微塵もないのだ。
まあ、いつまでも悔しんでいても仕方がないか。
外見は美女寄りでも、中身は完璧におチンチンランドの従業員なぐらいに同性なんだからな。
それが変わらない以上は、俺が何をしても現実は動かないか。
うし、心を入れ替えて、放火犯を探そう。
それがこの悲しみを乗り越えるためにも良かろうて。
まずは情報収集だ。
てか、それより挨拶からかな。
俺は礼儀を正して挨拶をした。
「どうも、ソロ冒険者のアスランですわ~」
続いてカルフォルニア系美男子も挨拶を返す。
「僕は魔法使いギルド火消し班責任者のエスキモーです。よろしく」
エスキモーはキラリと微笑んだ。
うは、輝く歯が眩しいぜ!!
南国の海岸を照らす太陽のように眩しいじゃあねえか!!
うわーー、一々俺のホルモンをコチョコチョと擽るヤツだな!!
キャン玉がムズ痒くなってくるぜ。
なんだか逆にイラついてきたぞ!!
乙女チックな美男子は、これだから嫌いだぜ!!
「ど、どうかしましたか? 何やらイラついているようですが……」
「い、いや、すまぬ。昼飯が油っぽかっただけだ。胃袋が持たれててね」
「はぁ……?」
やばいな。
不審がられているぞ。
俺は不審者のことを訊きに来たのに、俺が不審がられてどうするんだ。
今は服だってちゃんと着ているんだから不審者に見られることはないのにさ。
俺は背筋をシャキッと伸ばしてから話し出す。
「ああ、すまないが、訊きたいことがあるんだ」
「なんでしょうか?」
「放火の話なんだが、ここ最近火災があった家を知りたいんだよ」
「えー、確か……。あー、憶えてないてすね」
「何か記載した書類とか無いのか?」
「無いですね~」
「なんで……?」
「なんでと言われましても?」
エスキモーは金髪ロン毛を揺らしながら小首を傾げた。
俺がゾディアックさんのほうを見たが、彼も首を傾げている。
あれれれ~?
もしかして??
俺は二人の魔法使いに訊いた。
「誰が、可笑しなことを言ってますか?」
すると二人の魔法使いは、揃って俺を指差した。
「もしかして、この世界には、起きた事件を記載しておく習慣がないのか?」
「何故にそんなことをしなければならないのかね?」
ゾディアックさんが言うと、エスキモーも頷いていた。
流石は旧世界並みの文化レベルだぜ!
書類を作るって作業は伝言の意味合いだけで、保管の義務はないと言うのか!?
そもそも書類を保管するっていう文化を持っていないのね!
俺が住んでいた現代の常識が、こうもあっさりと通じない異世界ってのも凄いな!
「これだから放火犯も捕まらないわけだ……」
ゾディアックさんが腕を組みながら言う。
「何かアスラン君は、勘違いをしてないか?」
「何を?」
今度は俺が小首を傾げた。
ゾディアックさんが持論を呈する。
「我々魔法使いギルドには逮捕権も捜査権もないんだ。それどころか火災の原因を調べる義務もない。我々は町に火の手が上がったら、被害を広げないように消火するのみだ。そもそもの役目が違う」
エスキモーが続く。
「我々は一回火を消してなんぼの報酬です。それをソドムタウンの君主から請け負っているだけですからね~」
「なるほどな」
調査の権限は、すべて番兵側なのね。
エスキモーが更に述べる。
「まあ、僕がここ最近で消火作業に関わったのは、七件中五件ですが、それで良ければお教えしますけれど?」
「是非とも頼む。できたら残り二件の場所も知りたいのだが?」
「聞いた話で良ければ」
「それで構わないよ」
エスキモーが満面の笑みで手の平を俺に差し出した。
賄賂か!
報酬か!
情報料をせびっているのか!
この美男子野郎が、俺から小銭を稼ぎたいようだな。
よし、くれてやろう!!
俺はエスキモーの手の平に自分の手の平を重ねてコインを召喚した。
チャリチャリン~と、数枚のお金が落ちて来る。
それを見てエスキモーは満足げに微笑むと、ホットパンツのポケットから羊皮紙の切れ端を取り出した。
「もう、七件全部をメモしてありますよ」
そう言いエスキモーは羊皮紙の切れ端をヒラヒラと振った。
この糞美男子野郎がっ!!!
最初っから分かってて言っていやがったな!
あー、もー、この小悪魔と結婚したいわ!!!
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