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【第九章】アンデッドなメイドたち編
9-12【ご指名の依頼】
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俺がソドムタウンの冒険者ギルドに到着すると、一階の酒場でユキちゃんがウェイトレスをやっているのが見えた。
一人だけ長身のマッチョな女の子がウェイトレスをやっているのだ、目立って仕方がない。
彼女が着ているウェイトレスの服のサイズは、ギルガメッシュが着ている3Lサイズだろ。
とにかくデカイウェイトレスだわ。
そして俺が酒場に入るとユキちゃんも気が付いて、こちらに笑顔で駆け寄って来た。
「よーう、アスラーンじゃあないか!」
「よう、ユキちゃん。ここで働き始めたのか?」
「そうだぜ。お前が新しく町を作るまで、ここで少しでも資金を貯めとこうと思ってな!」
「わーーーー!! バカ、大きな声で言うな!!」
「んん、なんでだ?」
「あれはまだ秘密なんだ。秘密基地なんだよ!!」
「あー、そうなのか……」
「お前、誰かにしゃべったな……」
「い、いやぁ~……」
ユキちゃんは、わざとらしく口を尖らせそっぽを向いた。
あー、完全に誰かに漏らしているな、こいつ……。
「誰にしゃべった。怒らないから言ってみろ」
「本当に怒らないか?」
「怒らん」
「本当に本当か?」
「怒らんって言ったら怒らんってばよ」
「ハンスさんと、ウェイトレスの仲間全員に、自己紹介がてら言った……」
「どんな自己紹介をしたんだ?」
ユキちゃんは「ゴホン」っと一息付いてから言う。
「ランバラルル鉱山町のドリフターズ亭から来ましたユキシャナル17歳です。この町の冒険者ギルドに登録されているアスランが新しい町を作るらしいから、そこに酒場を開くために資金を稼ぎに来ました。将来はアスランと結婚して新しい町で酒場を一緒に経営します。よろしくおねが、ぶがっ!!」
ユキちゃんが自己紹介を閉めようとしたところで俺が腹筋をグーで叩いた。
覚えたてのボクシングスキルを使ったコークスクリューパンチだ。
手首、肘、肩、そして腰えと繋がる回転が拳に乗ってユキちゃんの合金のような腹筋を抉る。
「うぐぐ……。これでも女の子なんだから、少しは手加減しろよ……」
「お前さ、秘密よりも嘘のほうが多くね!」
「嘘って?」
ユキちゃんは不思議そうな顔で筋肉で太い首を傾げた。
「結婚するとか、一緒に宿屋を経営するとかだよ!!」
「あー、そこは私の願望だからアスランが気にするところじゃあないぞ。何せ盛るのは無料だからな」
「気にするだろ!! それに金もとるぞ!!」
俺が大声を出したところでカウンターからハンスさんがユキちゃんを呼んだ。
「ユキちゃ~ん、変態とサボってないで、お酒を運んでくれないか~」
「はーい、ハンスさーん。わっかりました~!」
「変態じゃあねえし!!」
ハンスさんに呼ばれたユキちゃんは仕事に戻る。
そしてビールやエールの入ったジョッキを片手に五個ずつ持って運び出す。
計十個のジョッキを一度に運んでいる。
頭のネジが緩むほどにパワフルだな。
それにしてもユキちゃんのフルネームが、ユキシャナルだったとは知らんかったわ。
しかも17歳なの……。
まあ、いいや。
俺は酒場を離れて二階に上がった。
すると珍しくカウンターの中にギルマスのギルガメッシュが座っていた。
「よーう、ギルガメッシュ。こんなところで珍しいな」
「おお、アスランか。久しぶりだな。魔王城への旅はどうなってるんだ?」
「順調だぜ。今はランバラルル鉱山町まで到着している」
「ならば半分か」
「まあ、急ぐ旅じゃあないしね」
「ならば、急がないついでに仕事を頼みたい」
「いいよ~。っで、仕事って何さ?」
俺が安易に答えると、ギルガメッシュがカウンターの下から羊皮紙を取り出して広げた。
それはソドムタウン周辺のマップだった。
ギルガメッシュは、そのマップの一ヶ所を指差しながら言う。
「ここに中古の洋館が建っている」
「洋館?」
「昨年まで富豪がソドムタウンに遊びに来るための別荘に使っていた屋敷だ」
「その富豪さんは?」
「昨年、病気で亡くなった」
「あらら……」
「それで不動産屋が買い取って販売を始めたんだがな。どうやら僅かな期間で悪霊が住みついてお化け屋敷になったらしいんだ」
「お化け退治の依頼か。それならプリーストが居るパーティーに回せばいいんじゃあないのか?」
「言っただろ。相手は悪霊だ。そんじょそこらのプリーストがターンアンデッドできるレベルじゃあないんだよ」
「じゃあ、物理的に成仏させろってか?」
「そうだ」
「それこそ俺じゃあなくてもいいんじゃあないか?」
「なんだ、やりたくないのか?」
「そうじゃあないが、何か臭うんだよ」
俺が言うとギルガメッシュが横を向いて「ちっ……」っと舌打ちを溢しながら臭い顔を作った。
やっぱり何かあるな。
「何があるんだ? 何か裏があるだろう?」
「ご指名だ……」
指名?
誰からだ?
死んだ富豪の屋敷を買い取れるほどの金持ちからの依頼だろ。
相手はお金持ちだ。
お金持ちで俺を知ってて指名して来る人物?
ワイズマンか?
もっちりワイズマンからの依頼かな?
「誰からの依頼なんだよ?」
「うちのギルドを紹介したのは、ゴモラタウンのワイズマンだ」
やっぱりか。
いや、ギルドを紹介したのがワイズマンであって、本当の依頼人が別でバックに居るってことか?
「依頼人は誰だ?」
「依頼人は明かせない。明かせばお前は断るやも知れないと言っていたからな」
「誰だ?」
「まずは受けるか承けないかだ」
「なんだよそれ……」
「依頼が完了したら、お礼の挨拶に顔をだすって言ってたぞ」
「依頼が終わるまで、秘密ってことかい……」
「そうなる。お前が嫌なら、この依頼ごと断るぞ。そうなれば依頼人は屋敷を買わないらしいからな」
屋敷を買わない?
無理矢理にも屋敷が欲しいわけではないのか?
「分かった。受けるよ」
面白いじゃあねえか。
正体を隠しての依頼なんてワクワクするぜ。
裏があるなし関係ない。
罠でも上等だ。
仕事を完了して、正体をあばいてやるぞ!
「じゃあ、洋館の鍵は不動産屋に貰ってくれ」
「どこの不動産屋なんだい?」
「ミーって、頭の可笑しい女を知ってるか?」
寄りに寄ってミーちゃんかよ。
「ああ、その不動産屋なら知ってるぜ……」
「じゃあ、そこに行ってくれ」
「分かった……」
俺はギルガメッシュと別れて階段を下りて行った。
ああ……、ミーちゃんに会いたくないな……。
あのスイッチガールって、結構疲れるんだよね。
一人だけ長身のマッチョな女の子がウェイトレスをやっているのだ、目立って仕方がない。
彼女が着ているウェイトレスの服のサイズは、ギルガメッシュが着ている3Lサイズだろ。
とにかくデカイウェイトレスだわ。
そして俺が酒場に入るとユキちゃんも気が付いて、こちらに笑顔で駆け寄って来た。
「よーう、アスラーンじゃあないか!」
「よう、ユキちゃん。ここで働き始めたのか?」
「そうだぜ。お前が新しく町を作るまで、ここで少しでも資金を貯めとこうと思ってな!」
「わーーーー!! バカ、大きな声で言うな!!」
「んん、なんでだ?」
「あれはまだ秘密なんだ。秘密基地なんだよ!!」
「あー、そうなのか……」
「お前、誰かにしゃべったな……」
「い、いやぁ~……」
ユキちゃんは、わざとらしく口を尖らせそっぽを向いた。
あー、完全に誰かに漏らしているな、こいつ……。
「誰にしゃべった。怒らないから言ってみろ」
「本当に怒らないか?」
「怒らん」
「本当に本当か?」
「怒らんって言ったら怒らんってばよ」
「ハンスさんと、ウェイトレスの仲間全員に、自己紹介がてら言った……」
「どんな自己紹介をしたんだ?」
ユキちゃんは「ゴホン」っと一息付いてから言う。
「ランバラルル鉱山町のドリフターズ亭から来ましたユキシャナル17歳です。この町の冒険者ギルドに登録されているアスランが新しい町を作るらしいから、そこに酒場を開くために資金を稼ぎに来ました。将来はアスランと結婚して新しい町で酒場を一緒に経営します。よろしくおねが、ぶがっ!!」
ユキちゃんが自己紹介を閉めようとしたところで俺が腹筋をグーで叩いた。
覚えたてのボクシングスキルを使ったコークスクリューパンチだ。
手首、肘、肩、そして腰えと繋がる回転が拳に乗ってユキちゃんの合金のような腹筋を抉る。
「うぐぐ……。これでも女の子なんだから、少しは手加減しろよ……」
「お前さ、秘密よりも嘘のほうが多くね!」
「嘘って?」
ユキちゃんは不思議そうな顔で筋肉で太い首を傾げた。
「結婚するとか、一緒に宿屋を経営するとかだよ!!」
「あー、そこは私の願望だからアスランが気にするところじゃあないぞ。何せ盛るのは無料だからな」
「気にするだろ!! それに金もとるぞ!!」
俺が大声を出したところでカウンターからハンスさんがユキちゃんを呼んだ。
「ユキちゃ~ん、変態とサボってないで、お酒を運んでくれないか~」
「はーい、ハンスさーん。わっかりました~!」
「変態じゃあねえし!!」
ハンスさんに呼ばれたユキちゃんは仕事に戻る。
そしてビールやエールの入ったジョッキを片手に五個ずつ持って運び出す。
計十個のジョッキを一度に運んでいる。
頭のネジが緩むほどにパワフルだな。
それにしてもユキちゃんのフルネームが、ユキシャナルだったとは知らんかったわ。
しかも17歳なの……。
まあ、いいや。
俺は酒場を離れて二階に上がった。
すると珍しくカウンターの中にギルマスのギルガメッシュが座っていた。
「よーう、ギルガメッシュ。こんなところで珍しいな」
「おお、アスランか。久しぶりだな。魔王城への旅はどうなってるんだ?」
「順調だぜ。今はランバラルル鉱山町まで到着している」
「ならば半分か」
「まあ、急ぐ旅じゃあないしね」
「ならば、急がないついでに仕事を頼みたい」
「いいよ~。っで、仕事って何さ?」
俺が安易に答えると、ギルガメッシュがカウンターの下から羊皮紙を取り出して広げた。
それはソドムタウン周辺のマップだった。
ギルガメッシュは、そのマップの一ヶ所を指差しながら言う。
「ここに中古の洋館が建っている」
「洋館?」
「昨年まで富豪がソドムタウンに遊びに来るための別荘に使っていた屋敷だ」
「その富豪さんは?」
「昨年、病気で亡くなった」
「あらら……」
「それで不動産屋が買い取って販売を始めたんだがな。どうやら僅かな期間で悪霊が住みついてお化け屋敷になったらしいんだ」
「お化け退治の依頼か。それならプリーストが居るパーティーに回せばいいんじゃあないのか?」
「言っただろ。相手は悪霊だ。そんじょそこらのプリーストがターンアンデッドできるレベルじゃあないんだよ」
「じゃあ、物理的に成仏させろってか?」
「そうだ」
「それこそ俺じゃあなくてもいいんじゃあないか?」
「なんだ、やりたくないのか?」
「そうじゃあないが、何か臭うんだよ」
俺が言うとギルガメッシュが横を向いて「ちっ……」っと舌打ちを溢しながら臭い顔を作った。
やっぱり何かあるな。
「何があるんだ? 何か裏があるだろう?」
「ご指名だ……」
指名?
誰からだ?
死んだ富豪の屋敷を買い取れるほどの金持ちからの依頼だろ。
相手はお金持ちだ。
お金持ちで俺を知ってて指名して来る人物?
ワイズマンか?
もっちりワイズマンからの依頼かな?
「誰からの依頼なんだよ?」
「うちのギルドを紹介したのは、ゴモラタウンのワイズマンだ」
やっぱりか。
いや、ギルドを紹介したのがワイズマンであって、本当の依頼人が別でバックに居るってことか?
「依頼人は誰だ?」
「依頼人は明かせない。明かせばお前は断るやも知れないと言っていたからな」
「誰だ?」
「まずは受けるか承けないかだ」
「なんだよそれ……」
「依頼が完了したら、お礼の挨拶に顔をだすって言ってたぞ」
「依頼が終わるまで、秘密ってことかい……」
「そうなる。お前が嫌なら、この依頼ごと断るぞ。そうなれば依頼人は屋敷を買わないらしいからな」
屋敷を買わない?
無理矢理にも屋敷が欲しいわけではないのか?
「分かった。受けるよ」
面白いじゃあねえか。
正体を隠しての依頼なんてワクワクするぜ。
裏があるなし関係ない。
罠でも上等だ。
仕事を完了して、正体をあばいてやるぞ!
「じゃあ、洋館の鍵は不動産屋に貰ってくれ」
「どこの不動産屋なんだい?」
「ミーって、頭の可笑しい女を知ってるか?」
寄りに寄ってミーちゃんかよ。
「ああ、その不動産屋なら知ってるぜ……」
「じゃあ、そこに行ってくれ」
「分かった……」
俺はギルガメッシュと別れて階段を下りて行った。
ああ……、ミーちゃんに会いたくないな……。
あのスイッチガールって、結構疲れるんだよね。
応援ありがとうございます!
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