スケルトン商人と獣人メイドの異世界転移繁盛記(インフィニティ)

ヒィッツカラルド

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59【共に旅立ち】

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 俺とチルチルは、マリマリの邸宅から町外れの離れに向かって騎獣を走らせていた。時間帯は昼過ぎ。あと一時間もすれば日が沈み始めるころだろう。

 稲穂を膨らませた麦畑の間を騎獣が走る。俺も騎獣の乗り方にはだいぶ慣れてきた感じだ。チルチルと二ケツで走っても問題がないぐらいには運転できる。

 ウロボロスの書物のステータス欄に騎獣騎乗スキルもあったのだが、騎獣に跨ったまま戦闘を行わないならスキル無しでも十分のようだ。二ケツで旅をするぐらいなら問題ないだろう。

『よ~し、到着だ~。それじゃあチルチル、夕飯にしようか。何が食べたい?』

「ハンバーグがいいでぇ~す!」

 チルチルが明るく手を上げながら言った。まったく、笑顔が可愛い。

 俺は騎獣の手綱を納屋に繋ぐと離れに向かう。そして、扉のノブに手をかけたところで動きを止めた。

『あれ、鍵が掛かっていない……』

「外出の前に、ちゃんと鍵は掛けましたよ……」

 もしかしたら賊が侵入したのかもしれない。あるいは、人攫いか。俺たちは警戒を強める。

 俺はゆっくりと扉を開くと室内を慎重に覗き込んだ。すると、見慣れた連中がテーブル席に腰掛けていた。

「よ~、お帰りなさい、シロー殿~」

 そこに居たのは暁の五人組だった。勝手に他人の家に上がり込んでお茶まで飲んでやがる。

『お前たち、どうやって上がり込んだ!』

 バンディが手を上げながら言う。

「ロックピッキングで俺が鍵を開けました~」

『この泥棒が!』

「まあまあ、そんなに怒りなさんな。シロー殿もお茶でも飲みなされ」

 俺はプリプリしながら空き席に腰掛けた。チルチルは俺の背後に控える。

『それで、お前たち何をしに来た?』

 不貞腐れた俺の質問にエペロングが答える。

「いやね、シロー殿がフラン・モンターニュのピエドゥラの村に旅立つと聞いてな。我々もゴブリン退治の依頼で近くまで行くので、同行しようかと思ってね」

『誰からピエドゥラの村の話を聞いたんだ。それは、一部の人間しか知らないはずだが?』

 エペロングが俺の背後を指差す。そして、俺が振り返るとチルチルがそっぽを向いた。

『まあ、いいか……』

 俺が頭を抱えながら俯くとエペロングが話を続ける。

「今現在、パリオンとモン・サンの旅路ではゴブリンが多く発生していて、両方の冒険者ギルドが人員を割いて討伐依頼を出しているんだ」

 俺は旅路で出会った燻銀ゴブリンを思い出していた。それと大量のゴブリンたち――。

「双方のギルド幹部の推測だと、パリオンとモン・サンの中間のどこかに、大きなゴブリンのコアが発生していると考えているらしい」

『ゴブリンのコア?』

「モンスターコアのことだよ」

『知らん……』

 エペロングの話では、この異世界における魔物と動物の違いは、交配で増殖する動物か、大地や自然から湧く魔物かの違いにあるらしい。

 熊、狼、蛇などの動物は、人間同様に交尾で数を増やすが、魔物の類は交尾以外にもダンジョンや洞窟などで自然発生することが多いのだという。

 さらに魔物はコアと呼ばれる水晶体から大量に産まれ出ることもあるらしい。このコアもまた、大地から自然発生するものらしいのだ。

 今回のゴブリン大発生事件は、そのコアがどこかに発生したと推測されているようだ。

「現在パリオンとモン・サンの両方から挟み込むように探索が繰り広げられていて、残すはフラン・モンターニュまで探索範囲が狭まったらしいんだわ。そこで俺ら暁の冒険団が第一陣としてフラン・モンターニュ探索依頼を受けたってわけよ」

『なるほどね~』

「そこで、ぜひともシロー殿と旅を一緒にしたくてね!」

『な、なんでやねん……』

「金ならある。だからシロー殿の飯を食べさせてくれ!」

 暁の冒険団五人が額をテーブルに擦り付けながら頭を下げた。現代飯が、相当に気に入っているらしい。流石にここまでされたら断れないだろう。

『わ、分かったよ。ピエドゥラの村までなら一緒に行こうか……』

「ありがたい!!」

 こうして俺たちは、暁の冒険団と一緒に再び旅をすることになった。

『まあ、旅は道連れ世は情けって言うからな。ピエドゥラの村までの数日だから問題ないか……』

 そして、明日の朝、七人でパリオンを旅立つ予定となった。

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