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83【一ヶ月間が過ぎたようだ】
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時間は既に夜。俺がピエドゥラ村の新居に帰ると、家の明かりが消えていた。
『あれ~、チルチルたちは、もう寝たのかな?』
そう呟きながら俺が家に近付くと、扉を勢いよく開けてチルチルとブランの二人が飛び出してきた。しかも、二人とも子供のように泣いている。
「うわ~~ん、シロー様~!!」
「スロー様!!」
泣きじゃくる二人は俺に飛びつき、抱き着いた。そして、俺のジャージに顔を擦り付けてくる。
『どうした、二人とも!?』
「シロー様が、急にいなくなられたので心配しました!!」
「スロー様、お腹すいた~。飢えて死ぬだべさ~!!」
そういえば、二人には出かけてくると声すら掛けていなかった。それで、日暮れに帰ってきたのならば、心配しても仕方あるまい。これは、俺が悪いのだろう。
それに、二人の夜食も用意していなかった。それでお腹も空いているのだろう。ブランなんて、俺の心配よりも空腹のほうが辛かったようだ。
『ごめんよ、二人とも。少し村を見て回っていたら迷子になってしまってね。それで帰宅が遅くなってしまった』
「シロー様が心配で、お腹も空いたし、家は暗いし、もう、もう~~!」
チルチルは錯乱しながら泣き続けている。
『そうか、灯りもなかったか……』
そう言えば家にはランプすら無かった。それで真っ暗だったのだろう。
「そんなことよりスロー様。晩ご飯をくださいだべ。このままでは、お腹の皮と背中の皮がくっついてスまうだべさ!」
『はいはい……』
チルチルは俺の心配をしてくれていたのに、ブランは俺の心配よりも飯の心配のほうが大きいらしい。なんて食い意地だ。
『とりあえず、家に入ろうか』
「グスン……。はい、シロー様……」
俺の腰に抱き着いたままのチルチルは離れようとしない。まだ、半ベソをかきながら抱き着いていた。
『今、灯りをつけるからな』
俺はアイテムボックスから懐中電灯を取り出すと明かりをつけた。電気の力で一気に室内が明るくなる。防災用の懐中電灯で、横に小型の蛍光灯が付いているタイプである。
『ほら、チルチル。泣くな……』
「だって、だって……」
「スロー様、ご飯、ご~は~ん~!!」
『分かった、今持ってくる。だから泣くな!』
俺は腹ペコの二人を残してゲートマジックで現実世界に戻った。そして、すぐに車でコンビニまで走る。
「畜生――。チルチルはあんなに可愛く待っててくれたのに、ブランの野郎は飯っ飯っ飯って、野良犬か!」
俺が愚痴りながら車を走らせていると、スマホにメールが届く。俺はコンビニに到着すると、駐車場に車を止めてからメールを確認した。
すると、メールの差出人はゴールド商会だった。メールの内容は給料明細である。
「あっ、給料が振り込まれたのか――」
どうやらウロボロスの書物と契約を結んでから三十日が過ぎたらしい。目標も達成しているから、給料が振り込まれたようだ。
「いくらぐらい振り込まれてるのかな?」
メールに記載されていた額面は、五十万ちょっとの金額だった。たぶん金塊を売却した金額に近い数値なのだろう。そこから税金が引かれているようだった。引かれた国民健康保険や住民税が記載されている。
「ちゃんと税金を引くんだな……」
俺は車の中でアイテムボックスからウロボロスの書物を取り出してステータス欄を確認した。
すると、いつの間にかレベルが8まで上がっていた。それにポイント残が14になっている。そして、金塊の回収値も「残30日」と「残30グラム」に戻っていた。
「あれから一ヶ月が過ぎたのか――」
いろいろな出来事を思い出す。チルチルとの出会い。ピノーとの商売。暁の冒険団の奇襲。燻銀ゴブリンとの対決。マリマリとチルチルの再開。
『なんか、いろいろあった一ヶ月間だったぜ――』
俺はウロボロスの書物をアイテムボックスに放り込むと車を降りた。それからコンビニに入ってトンカツ弁当を二つ買い、家に戻った。
『お~い、御飯を買ってきたぞ~』
「わ~~い!」
「――……」
ブランは俺が持ってきたビニール袋に飛びついたが、チルチルはまだ怒っているのか頬を膨らませていた。泣きやんではいるが、怒っているようだ。これはすぐに機嫌が直ることはないだろう。
チルチルは普段は謙虚で優しい娘だが、変なところが頑固である。一度へそを曲げると、すぐには機嫌が直らない。
「わ~~い、わ~~い、トンカツ弁当だ~。わたス、トンカツだ~~い好き~!!」
『そうか、良かったな。チルチルも弁当を食べなさい。牛乳もあるぞ』
「むす~~……」
『駄目だこりゃ……』
そのまま御飯を食べ終わっても、チルチルの機嫌は直らなかった。トンカツ弁当の残骸を片付けたチルチルは、無言のまま自室に戻っていってしまう。
『明日の朝には、機嫌が直っていると助かるんだが……』
「トンカツ旨いだ~。ソースが最高に合うだべさ~!」
『こっちは脳天気だな……』
そして、トンカツ弁当を食べ終えたブランも寝床に着いた。二階に上がり、自室で寝てしまう。
一階の食堂に一人残った俺は、ウロボロスの書物を開いて新しくスキルを習得する。
『アイテムボックスやゲートマジックのスキルばかりを上げてないで、少しは戦闘スキルを強化させようかな。近いうちにゴブリンと戦争になりそうだからな』
俺はいろいろと思考しながら、スキルを選択した。いざ、決戦に備えて――。
『あれ~、チルチルたちは、もう寝たのかな?』
そう呟きながら俺が家に近付くと、扉を勢いよく開けてチルチルとブランの二人が飛び出してきた。しかも、二人とも子供のように泣いている。
「うわ~~ん、シロー様~!!」
「スロー様!!」
泣きじゃくる二人は俺に飛びつき、抱き着いた。そして、俺のジャージに顔を擦り付けてくる。
『どうした、二人とも!?』
「シロー様が、急にいなくなられたので心配しました!!」
「スロー様、お腹すいた~。飢えて死ぬだべさ~!!」
そういえば、二人には出かけてくると声すら掛けていなかった。それで、日暮れに帰ってきたのならば、心配しても仕方あるまい。これは、俺が悪いのだろう。
それに、二人の夜食も用意していなかった。それでお腹も空いているのだろう。ブランなんて、俺の心配よりも空腹のほうが辛かったようだ。
『ごめんよ、二人とも。少し村を見て回っていたら迷子になってしまってね。それで帰宅が遅くなってしまった』
「シロー様が心配で、お腹も空いたし、家は暗いし、もう、もう~~!」
チルチルは錯乱しながら泣き続けている。
『そうか、灯りもなかったか……』
そう言えば家にはランプすら無かった。それで真っ暗だったのだろう。
「そんなことよりスロー様。晩ご飯をくださいだべ。このままでは、お腹の皮と背中の皮がくっついてスまうだべさ!」
『はいはい……』
チルチルは俺の心配をしてくれていたのに、ブランは俺の心配よりも飯の心配のほうが大きいらしい。なんて食い意地だ。
『とりあえず、家に入ろうか』
「グスン……。はい、シロー様……」
俺の腰に抱き着いたままのチルチルは離れようとしない。まだ、半ベソをかきながら抱き着いていた。
『今、灯りをつけるからな』
俺はアイテムボックスから懐中電灯を取り出すと明かりをつけた。電気の力で一気に室内が明るくなる。防災用の懐中電灯で、横に小型の蛍光灯が付いているタイプである。
『ほら、チルチル。泣くな……』
「だって、だって……」
「スロー様、ご飯、ご~は~ん~!!」
『分かった、今持ってくる。だから泣くな!』
俺は腹ペコの二人を残してゲートマジックで現実世界に戻った。そして、すぐに車でコンビニまで走る。
「畜生――。チルチルはあんなに可愛く待っててくれたのに、ブランの野郎は飯っ飯っ飯って、野良犬か!」
俺が愚痴りながら車を走らせていると、スマホにメールが届く。俺はコンビニに到着すると、駐車場に車を止めてからメールを確認した。
すると、メールの差出人はゴールド商会だった。メールの内容は給料明細である。
「あっ、給料が振り込まれたのか――」
どうやらウロボロスの書物と契約を結んでから三十日が過ぎたらしい。目標も達成しているから、給料が振り込まれたようだ。
「いくらぐらい振り込まれてるのかな?」
メールに記載されていた額面は、五十万ちょっとの金額だった。たぶん金塊を売却した金額に近い数値なのだろう。そこから税金が引かれているようだった。引かれた国民健康保険や住民税が記載されている。
「ちゃんと税金を引くんだな……」
俺は車の中でアイテムボックスからウロボロスの書物を取り出してステータス欄を確認した。
すると、いつの間にかレベルが8まで上がっていた。それにポイント残が14になっている。そして、金塊の回収値も「残30日」と「残30グラム」に戻っていた。
「あれから一ヶ月が過ぎたのか――」
いろいろな出来事を思い出す。チルチルとの出会い。ピノーとの商売。暁の冒険団の奇襲。燻銀ゴブリンとの対決。マリマリとチルチルの再開。
『なんか、いろいろあった一ヶ月間だったぜ――』
俺はウロボロスの書物をアイテムボックスに放り込むと車を降りた。それからコンビニに入ってトンカツ弁当を二つ買い、家に戻った。
『お~い、御飯を買ってきたぞ~』
「わ~~い!」
「――……」
ブランは俺が持ってきたビニール袋に飛びついたが、チルチルはまだ怒っているのか頬を膨らませていた。泣きやんではいるが、怒っているようだ。これはすぐに機嫌が直ることはないだろう。
チルチルは普段は謙虚で優しい娘だが、変なところが頑固である。一度へそを曲げると、すぐには機嫌が直らない。
「わ~~い、わ~~い、トンカツ弁当だ~。わたス、トンカツだ~~い好き~!!」
『そうか、良かったな。チルチルも弁当を食べなさい。牛乳もあるぞ』
「むす~~……」
『駄目だこりゃ……』
そのまま御飯を食べ終わっても、チルチルの機嫌は直らなかった。トンカツ弁当の残骸を片付けたチルチルは、無言のまま自室に戻っていってしまう。
『明日の朝には、機嫌が直っていると助かるんだが……』
「トンカツ旨いだ~。ソースが最高に合うだべさ~!」
『こっちは脳天気だな……』
そして、トンカツ弁当を食べ終えたブランも寝床に着いた。二階に上がり、自室で寝てしまう。
一階の食堂に一人残った俺は、ウロボロスの書物を開いて新しくスキルを習得する。
『アイテムボックスやゲートマジックのスキルばかりを上げてないで、少しは戦闘スキルを強化させようかな。近いうちにゴブリンと戦争になりそうだからな』
俺はいろいろと思考しながら、スキルを選択した。いざ、決戦に備えて――。
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