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噂5
しおりを挟む帰宅すると、僕はすぐさま没落寸前でいとこが学園に通っている者をリスト化するように伝えた。
彼女にこの仕事を斡旋した人物はリアを疎ましく思っている者か、この人もまた脅されているかのどちらかだろう。
「調べるのにどれくらいかかる?」
「そうですね…半分くらいは終わっているようなものなので、明け方には終わってるかと。」
「早いな。」
「何年あなたの侍従してると思ってるんですか。」
なんだろう…ラーヤが誇らしげにしていると腹が立つな。言っていることは間違っていないのに。
そしてそんな僕の雰囲気を察したラーヤは当たられる前に退室していく。
うん…懸命な判断だ。今の僕はずっと薄っすら腹を立てている。唯一である婚約者を害されてるんだ。当たり前だろう。
さて、目の下にクマでも作ったらリアに怒られてしまう。なんせ、彼女は俺のことが大好きだからな。この後の仕事はラーヤに押し付けて、俺は休むとしよう。
★★★
「それで、何かわかりましたの?」
毎朝恒例、一緒に早めに登校して学園内のテラスで朝ごはんを食べる時間。案の定、リアからの追及が入った。彼女は僕が危ない橋を渡ることを良しとしない。この国で僕の身を案じる人なんて彼女くらいだろう。家族でさえ僕の能力を理解して、むしろ周りの身を案じるだろう。
「あぁ、収穫はあったよ。」
「でも、それを教えてくださる気はないのね。」
今回はリアを狙った犯行なんだから、仕方ないじゃないか。わかっていた方がいいことはもちろん伝える。でも、リアはこう見えてお転婆だから。前世の記憶とやらで僕も気づかないことに気づいたりする。協力を仰がないとどうにもならない時はそうさせてもらうが、今はまだその時ではない。知って何かに気づいたら、じっとしていられるタイプでは、リアはないから。
「ルカ様が強いのはわかっているわ。でも、私のことだもの。私にも何かさせてほしいわ。」
「へぇ、僕のお姫様は推しに守られるのは嫌なんだ。それは、他の男だったら黙って守られるってこと?」
「え?どうしてそんな発想に…」
「だって、君は僕が君の知らないところで傷つくのが嫌なんだろう?君の好きな、僕が傷つくのが嫌。」
「まぁ、そうですけど…。」
「てことはだ、僕以外の男が傷ついたって君は嫌がらない。違う?」
ちょっと強引な理屈なのはわかっている。でも、半分は本気だ。
「待ってください。私は自分のせいで誰かが傷つくのが嫌なんです。」
「ふぅん、じゃあ僕はその辺の男と同じだと。」
「そうじゃなくて!」
「じゃあ何?」
「対象がルカ様なら、私もあなたを守りたい。他の人ならほっといてほしい!私の知らないところで恩を売られても困るわ!」
僕を”守る“なんて本気で口にするのは彼女くらいだ。でも、ここで下がれるわけがない。
「僕は君に守られなくても生きていける。」
「へぇ、ではルカ様は私がいなくても生きていけると?」
「どうしてそうなる?」
「だって、ルカ様は私のことを”癒し“と言いました。」
「そうだな。リアの存在は僕にとって癒しだ。」
「それは、ルカ様の精神を助けていることにはなりませんか?」
……なるほど、そうきたか。さすが僕の婚約者。僕を言い負かそうなんてするのも彼女くらいだ。
…君は本当に僕にとって唯一な人だな。
「危ないと思ったら手を引くし、君の助けが必要だと思ったらちゃんと話す。今はまだその時じゃないだけだ。」
「そう言ってその機会が一生来ないこともあるんじゃないですか?」
「あるかもね。」
不満そうに頬を膨らませている顔も可愛い。
「きっと、今私が何を言っても譲る気はないんでしょうね。」
わかってるじゃないか。…わかってても、言いたかったんだよな。
「愛してるよ。」
「…今はそれ、ずるいです。クズ男のやり方です。」
「……それはごめん。でも嘘はついてないし、リア以外にこんなことは言わないよ。」
「当たり前です。そんなことしてたら刺しに行きます。」
「いいね。そうしてもらおうかな。」
リアは僕のことを”ヤンデレ“なり”ツンデレ“なり言うけど、自分も相当だと言うことに気づいているだろうか?まぁ僕にとって、そんなに執着してくれるなんて嬉しいしかないけど。
ニコニコしている僕を不満そうに見るリア。でもそんな顔も長くは続かない。
「はぁぁ、今回は譲りますわ。黙って守られてあげます。」
「ありがとう。」
似た者同士の僕ら。長くいることもあって、お互いのことなんて互いが一番わかってる。もう、自分の一部と言っても過言ではない。僕も君もわかっている。もう互いがいない世界で生きていけないんだ。
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