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第4章
夢想世界
しおりを挟む夢を見ていた。
夢を見ていると、何故だかわかっていた。
暗い、洞窟で1人。このままここで過ごすんだろうなって思っていた。
前は1人でも平気だった。だって、何年も1人で過ごしてきたから。何百何も、何千年も。
あれ、前っていつのことだっけ?
わからない。いつのことだろう。
朝も昼かもわからない暗闇の中。自分が生きていると言えるのかもわからない。
ある日、何故だか外が気になった。だから、初めて外に出た。
ピカピカ、ゴロゴロ。
真っ暗な空に光が走っていた。
外に出たことがない僕は空から降りる光が眩しくて、綺麗だと思った。一際、大きな光が地に降りたからそこに行ってみようと思ったのは、ただの好奇心だった。
せっかく、外に出たんだ。見に行ってみようって。
あれが雷だというものだというのは、後から知った。
確か、この辺に落ちたはず。
降り立つとそこには、自分とは見た目が全く異なる小さな何かがいた。僕と同じように意思を持って動くものだというのはわかった。
「えっ、龍!?」
彼女には、僕が何者かわかっているようだった。僕が知らない何かを知る彼女に、興味を持った。
今思えばあれは、自分の知らないことを教えてくれる初めての相手に執着していただけなのかもしれない。彼女が自分の目の前からいなくなった時には、それはもう悲しかった。それは愛ではなくて、今更1人で生きていくのは寂しかったから。僕の世界を広げてくれる相手がいなくなってしまったから。
話す相手がいないなら、また引きこもるだけ。
そうして引きこもって、何年経ったんだろう。
久しぶりに目を覚ました。寝ているつもりはなかったけど、久しぶりに目を開いた。青空が木の隙間から見えて、なんだか懐かしく感じた。
ガサガサッ。
動物だろうか。音のした方を見ると、目をまん丸くしたおじさんが立っていた。
「坊主、こんなところで何してる?」
聞かれて、首を傾げて考えた。
「えっと、寝てた?かな」
「こんなところでか?」
「うん」
しばらく、怪訝そうな顔で僕のことを見ていたが無理矢理納得させたようだ。
「どこから来た?親が心配しているだろう?」
「親、いないよ。会ったことないんだ。」
「は?」
おじさんがブツブツ言ってる間に、僕はやっと自分の現在の姿を認識した。以前、人間の姿になった時よりも幼い姿になっているようだ。なるほど。確かにこんな姿で森の中に1人でいたら変に思われるだろう。
「よし、坊主。俺ん家来い。」
ガシッと僕の腕を掴むと、ツカツカと歩き出した。
いやいやいや、僕は中身が年食ってるとはいえ体は子どもなんだ。そんな風に早足で歩かれたらついていけないぞ。
引きずられないように、小走りになってついていく。
それが、じいさんとの出会いだった。
今まで、何千何百年と生きてきて初めて家族と呼べる相手ができた。
後から知ったことだか、僕と彼女の出会いは童話となってこの国に残っていた。いいように盛られていたけど、あくまで童話。フィクションだ。そう思うことにした。それに、僕がその時の竜だと誰にも言えなかったから否定しようもない。
あぁ、眠い。眠いなぁ。
この前は寝ているつもりはなかったけど、今回はハッキリとわかる。これはまた、何千何百年と眠ることになるだろう。起きた時にはもう、ノアもあかりもいないんだろうな。それはちょっと、寂しいなぁ。
・・・・・・いや、アカリいなくなって眠りについたくせに、ちょっとなんかじゃ済まないだろうな。
それでも、もう自力で瞼を開くことができない気がする。
会いたいなぁ。
最後に、もう一度会いたかったなぁ。
起きた時、まだガラスペンは使えるだろうか。でも、使えても手紙を書く相手がいないや。
うーん。眠すぎて、そろそろ意識まで手放しちゃいそうだ。
・・・おやすみ。さよなら、アカリ。
君の人生が幸せなものでありますように。
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