10 / 10
出会いの悪さ⑤
しおりを挟む私の最大の男運の男さは父親だと思う。
気に入らないことがあると手を挙げる人だった。
「人を叩くな!」と言いながら叩かれるという理不尽も受けた。
もう何年も父と顔を合わせていないが、それでも残る男性への不信感はここからきているかもしれないと思っている。
父は背が高い人だった。大柄ではないものの、存在感のある人だった。
私は小柄な人やスリムな人が好きだ。背が高いことに魅力を感じたことがない。大柄な人も、普通ぐらいの体型でもあまり惹かれない。
デブが嫌とかそういうとではないのだけど、なんとなく無理だなと思ってきた。例えガタイの良さが筋肉であろうと嫌だった。
それがここ最近、ふと気づいてしまった。
ギャップ好きなところがあるから、それだと思っていたのだけど違った。
男らしい体型の人は思い出してしまうんだ。
偏見かもしれないが、鍛えてる人ほど「守る」という意識が強くて喧嘩も強い。
私が恐れているのは、その力が自分に向く日が来るのではないかということ。
あまりにスリムで不健康そうな人は心配になるけど、がっしりしている人よりマシ。
細い人の方が殴られてもダメージが少なそうとか考えてるのがダメなんだ。
その人がどんなに優しくても、無意識に怖さを感じている自分がいる。体型に対しての嫌悪感とかではなく、恐怖感が拭えない。
ロールキャベツ男子や草食系男子だとしたらなお良い。ガツガツ来られるのも恐怖。その熱量が他へ向いた時の、自分に冷めた視線を向けられるのが怖いから。
怖いものだらけだな。
ダメじゃん。そりゃ出会いなんてないよ。出会いがないというより、そんな人と出会う確率が低いのに自分とどうにかなる確率は何%?
無理ゲーすぎる。
しかも、こんなの人に話すの重すぎるじゃん。
「スリムな人が好き」
なんて言えばただ見た目で人を判断する人と捉えられるだろうし。いや、実際間違ってないんだけど。過去の状況から生理的に受け入れられないトラウマ的なものと、単なる好みは違うじゃん。でも説明するには重すぎる。
これを話す頃には、もう結構な仲じゃん。
他の兄弟はそんなトラウマとかなさそうなんだけど。私だけなんで?
その答えにも、なんとなく気づいてる。
多分、私が1番と言っても過言じゃないくらい殴られてた。
気に入らないことがあれば叩けば解決するのかと思いそうになるくらいには叩かれた。叩いたら怒られたけど。
自分がされて嫌なことは人にしない。
これは当時の私が呪いのように自分に言い聞かせていた言葉。
その時の思いがけないトラウマが、私を苦しめてる最大の理由もしれない。
応援ありがとうございます!
0
お気に入りに追加
0
この作品の感想を投稿する
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる