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フルフェイスヒーロー
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「えッ!?」
突然の絶望に体が瞬時に動いて、俺は近くの木の影に隠れた。
なななんで? ゴールデンウィークには大分早くない?
まだ4月も前半だというのに、少し前に制服を着た由奈がいた。高校生だから制服なのは当然だとして、何故ここに立っているのか説明してほしかった。
ちなみに由奈は一人じゃなかった。
俺たちとは違う制服を身に着けた左目に眼帯した男といる。うわ……ッ厨二病男じゃん。ゴールデンウィークのイベント前倒しされてんじゃん。
もう諦めた。これまでも人生をやり直すたび少しずつおかしなことはあった。今さら一か月早まったところで驚くことじゃない。
けど、由奈から逃げる準備はできていなかった。
「無視して通り過ぎればいいのか」
簡単なことだった。
何食わぬ顔をして二人から距離を保ちつつ競歩で通過する。なんのアクシデントも無く俺はイベントを回避した。一瞬由奈が助けを求める目をこっちに向けた気もするけど、反応したら負けだ。
――やッッッッた!
なんだよ、拍子抜け。これでもう俺は自由の身! あとは校内で会わないよう努力すればいいだけだ。さっさと登校しちゃお。
「止めてください!」
「…………」
はぁ~ん? 俺の良心抉る叫びやん?
でも今の俺は違う。この程度に靡く人生一度目の人間じゃない。
「僕の左目が語っているんだ。君が前世のパートナーだとね。覚えていないかい、僕と愛し合った日々を」
「キモ」
ふほぉぉッ。厨二が語り始めたァ! おぅふ……そうだ、そんな変態案件を初対面に語る奴だった。
でもさぁ、億が一前世っていうものがあって今世に生まれ変わって前世の恋人に会った時、相手が覚えていない場合悲しいよね。話しかけたとしてもおまわりさん呼ばれるだけだしさ。まあ俺だったら、どう転んでもあんな気持ち悪く説明しないけど。
とりあえず行こ。俺には関係無いことだ。もしかしたらこの二人が上手くいくかもしれない。
「何を言っているんだ、ニーナ!」
「キモ!」
…………行こ。
「思い出すまで離さないよ」
「やだっぁぁあぁ」
…………んもぉぉ~~~~~!
なんであいつあんな気色悪いんだよ! 仮に本当でも成功する確率マイナス五億じゃん!
でもここで俺が出ていったら出会ってしまう。しかも厨二がキモ過ぎだから、助けた俺にフィルターがかかってきっとまた俺を好きになる。うぬぼれじゃない。
「ニーナ!」
「助けて!」
…………行かない!
「ニーナ! 思い出してくれニーナ!」
…………ニーナニーナうるせぇな!
俺《・》は行かないからな!
隣にあったバイクに置いてあるヘルメットを拝借して被る。バイクの持ち主さんごめんなさいまだ帰ってこないでください!
「あーあー、マイクテス、オーケー」
鞄を放り、揉める二人へ向かって走り出す。
「そこまでだ」
「誰だ!」
「私は誰でもない。お前こそ嫌がる女性の手を引いて、なんのつもりだ」
俺は堀塚蓮ではありません! 謎のヒーロー!
「なんだとぉぉ?」
怒るよねぇ、だよねぇ、知ってた。見てよ、由奈だって謎の人物が増えてぽかんとしちゃってるじゃん。由奈からしてみれば、フルフェイスの俺もワンチャン敵かもしれないもんね。
「僕たちの仲を裂こうとするとは、さては貴様、敵国のサイネルだな」
「サイネルだかカバネルだか知らないが、私はただの通りすがりだ」
「通りすがりがそんなに怪しいはずないじゃないか」
「これは私の正装。馬鹿にするとは、どうなっても知らないぞ」
知らないのは俺だ。設定ゼロで飛び込んだものだから何もかもがガッバガバ。何が制服にフルフェイスが正装なんだよ。喋り方も怪しさしかない。恥ずかしいから、由奈はさっさとどっか行ってくれないかな。
「すごい」
由奈いるし。すごいって何。良いのか悪いのか分からない感想もらっちゃった。本当、俺の為にも消えてくれませんか。
「ちくしょおおこれでもくらえ! 左目に宿りしドラゴンよ、今こそ目覚めよ。ダイナミックドラゴンアタ―――ック!」
だだだせぇぇぇ~~~~ッ。あばらが折れそう! フルフェイスの中、表情筋という表情筋が大炎上してるよ!
突然の絶望に体が瞬時に動いて、俺は近くの木の影に隠れた。
なななんで? ゴールデンウィークには大分早くない?
まだ4月も前半だというのに、少し前に制服を着た由奈がいた。高校生だから制服なのは当然だとして、何故ここに立っているのか説明してほしかった。
ちなみに由奈は一人じゃなかった。
俺たちとは違う制服を身に着けた左目に眼帯した男といる。うわ……ッ厨二病男じゃん。ゴールデンウィークのイベント前倒しされてんじゃん。
もう諦めた。これまでも人生をやり直すたび少しずつおかしなことはあった。今さら一か月早まったところで驚くことじゃない。
けど、由奈から逃げる準備はできていなかった。
「無視して通り過ぎればいいのか」
簡単なことだった。
何食わぬ顔をして二人から距離を保ちつつ競歩で通過する。なんのアクシデントも無く俺はイベントを回避した。一瞬由奈が助けを求める目をこっちに向けた気もするけど、反応したら負けだ。
――やッッッッた!
なんだよ、拍子抜け。これでもう俺は自由の身! あとは校内で会わないよう努力すればいいだけだ。さっさと登校しちゃお。
「止めてください!」
「…………」
はぁ~ん? 俺の良心抉る叫びやん?
でも今の俺は違う。この程度に靡く人生一度目の人間じゃない。
「僕の左目が語っているんだ。君が前世のパートナーだとね。覚えていないかい、僕と愛し合った日々を」
「キモ」
ふほぉぉッ。厨二が語り始めたァ! おぅふ……そうだ、そんな変態案件を初対面に語る奴だった。
でもさぁ、億が一前世っていうものがあって今世に生まれ変わって前世の恋人に会った時、相手が覚えていない場合悲しいよね。話しかけたとしてもおまわりさん呼ばれるだけだしさ。まあ俺だったら、どう転んでもあんな気持ち悪く説明しないけど。
とりあえず行こ。俺には関係無いことだ。もしかしたらこの二人が上手くいくかもしれない。
「何を言っているんだ、ニーナ!」
「キモ!」
…………行こ。
「思い出すまで離さないよ」
「やだっぁぁあぁ」
…………んもぉぉ~~~~~!
なんであいつあんな気色悪いんだよ! 仮に本当でも成功する確率マイナス五億じゃん!
でもここで俺が出ていったら出会ってしまう。しかも厨二がキモ過ぎだから、助けた俺にフィルターがかかってきっとまた俺を好きになる。うぬぼれじゃない。
「ニーナ!」
「助けて!」
…………行かない!
「ニーナ! 思い出してくれニーナ!」
…………ニーナニーナうるせぇな!
俺《・》は行かないからな!
隣にあったバイクに置いてあるヘルメットを拝借して被る。バイクの持ち主さんごめんなさいまだ帰ってこないでください!
「あーあー、マイクテス、オーケー」
鞄を放り、揉める二人へ向かって走り出す。
「そこまでだ」
「誰だ!」
「私は誰でもない。お前こそ嫌がる女性の手を引いて、なんのつもりだ」
俺は堀塚蓮ではありません! 謎のヒーロー!
「なんだとぉぉ?」
怒るよねぇ、だよねぇ、知ってた。見てよ、由奈だって謎の人物が増えてぽかんとしちゃってるじゃん。由奈からしてみれば、フルフェイスの俺もワンチャン敵かもしれないもんね。
「僕たちの仲を裂こうとするとは、さては貴様、敵国のサイネルだな」
「サイネルだかカバネルだか知らないが、私はただの通りすがりだ」
「通りすがりがそんなに怪しいはずないじゃないか」
「これは私の正装。馬鹿にするとは、どうなっても知らないぞ」
知らないのは俺だ。設定ゼロで飛び込んだものだから何もかもがガッバガバ。何が制服にフルフェイスが正装なんだよ。喋り方も怪しさしかない。恥ずかしいから、由奈はさっさとどっか行ってくれないかな。
「すごい」
由奈いるし。すごいって何。良いのか悪いのか分からない感想もらっちゃった。本当、俺の為にも消えてくれませんか。
「ちくしょおおこれでもくらえ! 左目に宿りしドラゴンよ、今こそ目覚めよ。ダイナミックドラゴンアタ―――ック!」
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