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おはぎ覚醒
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「毎日楽しいね」
すっかり早朝散歩が日課になり、心身ともに健康になった清仁。たまに貴族の青年に追突されることはあるが、二三言会話をすれば薄笑いを浮かべながら帰っていくのでたいした負担にはなっていない。
このままここでスローライフを送るのかと思ったところで、当初の目的を思い出す。
「ヤバイ。ちゃんと忘れないで達成しないと」
もたもたしていたら最近涼しくなってきた。秋になったのかもしれない。というより、夏だったと思われる数週間もわりと過ごしやすい気温だった。熱中症とはなんだろうという気温だった。地球温暖化はこんなところで実感した。
しかし、今日も今日とて特にすることはない。清麻呂が再進言する様子も無い。こちらから強く頼める立場ではないのがツライ。自分が勝手にやらかして、天皇から清麻呂が罰を与えられたら困る。
「散歩が終わったら、大根とネギの水やりしよっか」
『ぷ』
「そこの貴族」
「はい!?」
通りには誰もいなかった。隣は林である。話しかけられると思っていなかったので、声が裏返ってしまった。しかもなんだろう。嫌な予感がする。
「服をここに置いて去れ。そうすれば、命だけは助けてやる」
──盗賊だぁ!!
初めて出会ったこの時代の犯罪者に逃げ出すことも出来ず、その場に固まる。それも仕方がない、こちらは丸腰、相手は武器持ちかつ三人組なのだから。
「俺を殺しても何も出ません」
「だから、服を置いていけば命は助けてやるって言ってんだろうが!」
さっそく盗賊を怒らせてしまった。ここは言うことをきくべきだ。しかし、この服は清麻呂からもらった大切な正四位下のものである。簡単には渡せない。清仁が迷っていると、包丁をもった一番前にいる盗賊が声を荒げた。
「死にてぇのか!」
「ひぃッ脱ぎます!」
『ぷぅッ!』
これに怒ったのはおはぎだ。清仁の前に立ち、盗賊から守る仕草をしている。それに感動した清仁だったが、男三人対小さな式神兎ではどう見ても負ける未来しか見えない。相手が式神を認識出来ていないのが幸いだが、おはぎが盗賊に突撃したら大変だ。
「おはぎ、大丈夫だから。すぐ逃げれば俺は平気だから」
「何一人でぶつぶつ言ってんだ」
「今すぐ脱ぎますので!」
清仁の焦りが頂点に達した瞬間、それを感知したおはぎの体が光り出した。驚いたのは清仁のみ、ではなかった。三人もぼんやりとした光を感じ取ったらしく、地面の辺りを観察し始めた。
「なんだ? 何か光って──うわぁぁぁ!」
いったい何が起きたのか。気付いた時には男たちは林の中に吹き飛んでいた。木に当たり、目を回している者、痛みに呻いている者。全く理解出来ないが、逃げるなら今しかない。清仁はおはぎを抱っこして全力で走り出した。
「さよなら!!」
「おまッくそッッ!」
追いかけてくる元気はないようで、一人と一羽は無事長岡京に帰ることが出来た。
「はぁ……はぁ……すごいね、おはぎちゃん」
『ぷ?』
「あはは、とりあえずありがと」
本兎もあまり分かっていないらしく、とりあえずおはぎの頭を優しく撫でて礼を言った。
「それにしても、盗賊っているんだな。これからはあまり遠出しないようにしよ」
すっかり早朝散歩が日課になり、心身ともに健康になった清仁。たまに貴族の青年に追突されることはあるが、二三言会話をすれば薄笑いを浮かべながら帰っていくのでたいした負担にはなっていない。
このままここでスローライフを送るのかと思ったところで、当初の目的を思い出す。
「ヤバイ。ちゃんと忘れないで達成しないと」
もたもたしていたら最近涼しくなってきた。秋になったのかもしれない。というより、夏だったと思われる数週間もわりと過ごしやすい気温だった。熱中症とはなんだろうという気温だった。地球温暖化はこんなところで実感した。
しかし、今日も今日とて特にすることはない。清麻呂が再進言する様子も無い。こちらから強く頼める立場ではないのがツライ。自分が勝手にやらかして、天皇から清麻呂が罰を与えられたら困る。
「散歩が終わったら、大根とネギの水やりしよっか」
『ぷ』
「そこの貴族」
「はい!?」
通りには誰もいなかった。隣は林である。話しかけられると思っていなかったので、声が裏返ってしまった。しかもなんだろう。嫌な予感がする。
「服をここに置いて去れ。そうすれば、命だけは助けてやる」
──盗賊だぁ!!
初めて出会ったこの時代の犯罪者に逃げ出すことも出来ず、その場に固まる。それも仕方がない、こちらは丸腰、相手は武器持ちかつ三人組なのだから。
「俺を殺しても何も出ません」
「だから、服を置いていけば命は助けてやるって言ってんだろうが!」
さっそく盗賊を怒らせてしまった。ここは言うことをきくべきだ。しかし、この服は清麻呂からもらった大切な正四位下のものである。簡単には渡せない。清仁が迷っていると、包丁をもった一番前にいる盗賊が声を荒げた。
「死にてぇのか!」
「ひぃッ脱ぎます!」
『ぷぅッ!』
これに怒ったのはおはぎだ。清仁の前に立ち、盗賊から守る仕草をしている。それに感動した清仁だったが、男三人対小さな式神兎ではどう見ても負ける未来しか見えない。相手が式神を認識出来ていないのが幸いだが、おはぎが盗賊に突撃したら大変だ。
「おはぎ、大丈夫だから。すぐ逃げれば俺は平気だから」
「何一人でぶつぶつ言ってんだ」
「今すぐ脱ぎますので!」
清仁の焦りが頂点に達した瞬間、それを感知したおはぎの体が光り出した。驚いたのは清仁のみ、ではなかった。三人もぼんやりとした光を感じ取ったらしく、地面の辺りを観察し始めた。
「なんだ? 何か光って──うわぁぁぁ!」
いったい何が起きたのか。気付いた時には男たちは林の中に吹き飛んでいた。木に当たり、目を回している者、痛みに呻いている者。全く理解出来ないが、逃げるなら今しかない。清仁はおはぎを抱っこして全力で走り出した。
「さよなら!!」
「おまッくそッッ!」
追いかけてくる元気はないようで、一人と一羽は無事長岡京に帰ることが出来た。
「はぁ……はぁ……すごいね、おはぎちゃん」
『ぷ?』
「あはは、とりあえずありがと」
本兎もあまり分かっていないらしく、とりあえずおはぎの頭を優しく撫でて礼を言った。
「それにしても、盗賊っているんだな。これからはあまり遠出しないようにしよ」
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