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秘密のあやかしを探そう
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明らかに通常のあやかしではない。
まず、顔に目が三つある。角もある。一歩あやかしが前に出た。上半身にも目や角があった。おかしい。想像の斜め上のさらに上をいっている。
「あやかしなの、あれ!?」
『知らぬ!』
慌てる二人の横でおはぎが人型になった。スマートフォンのアンテナも三本きっちり立っている。やはり、古墳にいたのはこのあやかしだ。
被害報告が無いのだから危害を加えられないだろうなどと予想していたが、この姿を見た瞬間、その考えは一切消え去った。
何なのかさっぱりだが、その辺をうろつくあやかしではないことだけは確かだ。
どちらが言うでもなく、二人は同時に逃げ出した。清仁に手を繋がれたおはぎは状況が呑み込めていないのか、きょとんとした可愛らしい顔であやかしに手を振って見送っていた。
「おはぎッあんまり見ない方がいいかもッ見たら呪われる類のものだったら大変!」
『我の呪いより恐ろしいものはない!』
「ならなんでお前も逃げてるんだよ!」
『反射だ!』
どれだけ走っただろうか。どれだけ走っても足りない気がする。
後ろを見る。付いてきてはいないらしい。ただ、おはぎがまだ人型のため安心は出来ない。
「おはぎちゃん、さっきのあやかしが近くにいるか分かる?」
「わからない」
「早良親王は?」
『いない、はずだ』
心許ない返答だ。しかし二人とも何も感じていないのなら、いない可能性の方が高いはず。
「というか、いてももう走れない」
その場にしゃがみ込むと、おはぎが膝を撫でてくれた。優しい子に育ってくれて、たった数週間しか経っていない子育てに思いを馳せる。
「そういえば、早良親王は幽霊なんだから、消えれば逃げられたのに」
『あ……』
清仁がそう言った瞬間、早良親王の姿がすう、と透けて消えた。あまりの事態に気付かなかったらしい。気付いていなかったのなら、言わなければよかった。
「まあでも、ここまで来れば」
あのあやかしも諦めただろう。歩き出そうとした清仁の目の前に、異形のあやかしが空から下りてきた。
「うぉああああああ!」
フラグ回収もいいところである。いくらなんでも早すぎはしないか。せめて、早良親王がいる時なら、彼を囮に出来たのに。
「逃げ」
逃げられない。逃げられる距離ではない。清仁は悟った。せめて、おはぎだけでも守る。おはぎを服で覆って隠しながら、あやかしと交渉を試みる。
「何か私に御用ですか?」
出来る限り平静を装う。慌てたらそこで終わりだ。相手の目が沢山あり過ぎてどこを見たらいいか分からないながら、顔を見つめ続ける。
人語が伝わっているか不安になった頃、異形の口が僅かに開いた。
『時は動く』
「時……?」
それ以上何も言わず、異形は空高く舞い上がり、姿を消した。呆然とした清仁はしばらくそこから動けずにいた。
まず、顔に目が三つある。角もある。一歩あやかしが前に出た。上半身にも目や角があった。おかしい。想像の斜め上のさらに上をいっている。
「あやかしなの、あれ!?」
『知らぬ!』
慌てる二人の横でおはぎが人型になった。スマートフォンのアンテナも三本きっちり立っている。やはり、古墳にいたのはこのあやかしだ。
被害報告が無いのだから危害を加えられないだろうなどと予想していたが、この姿を見た瞬間、その考えは一切消え去った。
何なのかさっぱりだが、その辺をうろつくあやかしではないことだけは確かだ。
どちらが言うでもなく、二人は同時に逃げ出した。清仁に手を繋がれたおはぎは状況が呑み込めていないのか、きょとんとした可愛らしい顔であやかしに手を振って見送っていた。
「おはぎッあんまり見ない方がいいかもッ見たら呪われる類のものだったら大変!」
『我の呪いより恐ろしいものはない!』
「ならなんでお前も逃げてるんだよ!」
『反射だ!』
どれだけ走っただろうか。どれだけ走っても足りない気がする。
後ろを見る。付いてきてはいないらしい。ただ、おはぎがまだ人型のため安心は出来ない。
「おはぎちゃん、さっきのあやかしが近くにいるか分かる?」
「わからない」
「早良親王は?」
『いない、はずだ』
心許ない返答だ。しかし二人とも何も感じていないのなら、いない可能性の方が高いはず。
「というか、いてももう走れない」
その場にしゃがみ込むと、おはぎが膝を撫でてくれた。優しい子に育ってくれて、たった数週間しか経っていない子育てに思いを馳せる。
「そういえば、早良親王は幽霊なんだから、消えれば逃げられたのに」
『あ……』
清仁がそう言った瞬間、早良親王の姿がすう、と透けて消えた。あまりの事態に気付かなかったらしい。気付いていなかったのなら、言わなければよかった。
「まあでも、ここまで来れば」
あのあやかしも諦めただろう。歩き出そうとした清仁の目の前に、異形のあやかしが空から下りてきた。
「うぉああああああ!」
フラグ回収もいいところである。いくらなんでも早すぎはしないか。せめて、早良親王がいる時なら、彼を囮に出来たのに。
「逃げ」
逃げられない。逃げられる距離ではない。清仁は悟った。せめて、おはぎだけでも守る。おはぎを服で覆って隠しながら、あやかしと交渉を試みる。
「何か私に御用ですか?」
出来る限り平静を装う。慌てたらそこで終わりだ。相手の目が沢山あり過ぎてどこを見たらいいか分からないながら、顔を見つめ続ける。
人語が伝わっているか不安になった頃、異形の口が僅かに開いた。
『時は動く』
「時……?」
それ以上何も言わず、異形は空高く舞い上がり、姿を消した。呆然とした清仁はしばらくそこから動けずにいた。
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